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Gridge編集部
わたしのゴルフ履歴書〜Vol.5〜アトラエ新居佳英社長
第5回目を数える長編インタビュー企画「わたしのゴルフ履歴書」。
毎回ゴルフを愛する経営者の方々に登場してきていただいていますが……。
「僕、そんなにゴルフ愛なんてないですよ!」と出鼻をくじいてきた、株式会社アトラエの新居社長。
とはいえ、好きじゃなかったらインタビューも受けてくれないはず。ということで、めげずにゴルフ話を伺ってきました!
バトンをつないでくださったのは↓
目次
新居佳英(アライヨシヒデ)さんはこんな人
株式会社アトラエ代表取締役。
アトラエ(atrae)とはスペイン語で「魅了する」「引きつける」という意味。「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンが社名に込められています。
1998年、「株式会社インテリジェンス」からキャリアをスタートさせた新居さんは、子会社での代表取締役を経験後、2003年に「アトラエ」を設立。
新居さんにはその時から「こういう組織を作りたい」という想いが明確かつ強くあったそう。
現在展開している主なサービスは3つ。
①Green(グリーン):IT/Web業界に強い求人メディア
②yenta(イェンタ):ビジネスパーソン向けのマッチングアプリ
③wevox(ウィボックス):組織改善プラットフォームサービス
実はGridgeヒッティが訪れた、2018年6月中旬。
アトラエさんは そのつい数日前に、東証一部に市場変更をされたばかり! ということで大変お忙しい中インタビューに応じてくださいました。
負けず嫌いが上達のエネルギー!
――ゴルフを始められたキッカケは?
26歳のときに前職の子会社の代表取締役になって。社会人3年目だったんですけど。
当然ですけど代表取締役になると、取引先が経営者になってきて。誘われるケースが多かったんですよね。
これはやらなきゃいけないだろ社長として、ということで始めたんですよね。
一番多かったのはIT系ですよね。ベンチャー企業の大御所の人たち。あとはインテリジェンスの経営陣たちにも「やれば」ってよく言われてたんで。
――IT企業で社長業をしていたら、結構お忙しかったと思うのですが?
そうですね、だからそんなに集中的に練習しまくったという経験はなくて。忙しい合間に始めたら、やっぱり負けず嫌いなのでゴルフが下手な自分は嫌だったんです。
だからスキマスキマで頑張ってレッスン書読みながらやってきたんですよね。
定期的にレッスンに通うほどの時間はなかったので、スポットでちょっとレッスン受けながら、そんな感じですね。
ゴルフは鍛錬
――ゴルフの好きなところ・良いなと思うところはありますか?
ひとつは、ゴルフって一人でやるスポーツだと思われがちですけど、仲間とともにワイワイやれることが楽しいと思うところですね。
あともうひとつは、言い訳できないくらい、自分次第のスポーツということ。メンタルも結構影響するじゃないですか。
そういう意味では経営者として鍛錬されるので良いんじゃないかなと。
――なるほど。「鍛錬」ですか。
まぁ鍛錬というよりは、努力したものが少しずつ良くなって結果に表れるというのが“嫌いじゃない”という感じですかね。
別に“愛して”はいない(笑)。
――悲しい(笑)。クラブにもこだわりはないですか?
別にクラブのこだわりもあんまりないですね。
どちらかというとクラブに頼って飛距離を出すようなゴルファーにはなりたくない。
なので基本的にはアスリートユースなものだけを選んでいますね。
カジュアルに行けるゴルフコースを増やせばいい
――ゴルフ界を活性化させるには?
まず、いわゆる“古い感覚”が根強いですよね、日本は特に。ジャケット着用、短パンを履いても「くるぶしは隠せ」とか。
あんなの若者にとっては窮屈すぎるから、「じゃあいいや」ってなっちゃいますよね。
――ドレスコードをなくしたゴルフ場とか?
そうですね。もちろんキッチリとドレスコードを守ったゴルフ場もあっていい。ただ、若い人がもっとカジュアルに行けるコースがあってもいいと思います。
そうしないとゴルフ人口が増えていかないし。今はおじさんがおじさんのためのテリトリーを守りすぎている気がするから。
ジャケットを着ていかなきゃいけないとか、若い人からすると「面倒くさい」わけですよ。
さすがにボロボロに破れたジーンズを履いていったらいいかっていうと話は別かもしれないけど、まぁ不快感のある格好じゃければ良いんじゃないかという気がします。
最近のIT業界の若者はゴルフに繰り出している!?
――御社の中でゴルフやっている人はいますか?
ここ最近急速に増えた感じですよ。僕の周りでは6、7人います。若い20代の人も興味を持ち始めていますよ。
社会人になって継続できるスポーツって珍しいじゃないですか。運動不足になりやすいから、なんかできることないかなって。それで始めるんでしょうね。
僕のススメでゴルフを始めてハマったヤツが、みんなを染めようとして。頑張ってカーシェアで車借りて、みんなを連れて栃木の方のゴルフ場、初心者を連れて行っても怒られなさそうなゴルフ場に行ったりしてますよ。
みんなを連れて練習にも行ってますしね。
だからよく「一緒に回りましょうよ」って言われるんですけど、うーん。「まずは130切ってから誘って」って感じです(笑)。
初心者大歓迎のゴルフ場を作ったら?
――それもよくわかります(笑)。ゴルフ人口を増やさなきゃという使命感はあるけど、実際 初心者と一緒に回るのは大変ですよね。
そう。だから初心者歓迎なゴルフ場を作って、そこは初心者でもなんでも構いません、そのかわり、組と組の間は20分空けてますよ、みたいなコースがあってもいいんじゃないかと。
そこだったら何も気にせず回っていいですよ、その代わりちょっと高いですよ、というね。そういうのも良いんじゃないかと思いますね。
――でも結局、初心者の料金を高くすると、「高い」と言ってゴルフ場に来ないのではないでしょうか……。
確かに。でも例えば栃木のゴルフ場とか、週末でも3000円くらいで回れるらしいですよ。それって東京の神宮外苑の練習場で1回練習したら終わりな値段ですよ。
だったら5000円とか6000円にして、仮に6000円取るとしたら倍取れるわけだから、間の一組を抜けばいいでしょ。
スタートって大体8分間隔だから、そうしたら倍の16分になるわけじゃないですか。
それで初心者歓迎ってやったら、他の周りのゴルフ場よりちょっと人が入ると思うんです。
そういうゴルフ場があってもいいんじゃないかなぁって思いますね。
改善策はいくらでもできる
例えば千葉県のゴルフ場3つが協力しあって、東京にシミュレーションゴルフをひとつ作るとか。
会員制にして、そこの会員はとんでもなく安いレッスン価格なのに、ちゃんとしたレッスンプロも付いています、打席も自由に使えますと。
で、そこの会員になると提携先の3つのゴルフ場は会員価格で回れますとか。
そうすれば、そこでの新しい客層がゴルフデビューするのはそこのゴルフ場になるわけだから。
そういうの、いくらでもできると思うんだけどな。
もっと「ゴルフ=魅力的なスポーツ」という発信を
何よりも、若者がゴルフを始める上でのハードルを徹底的に下げることが大事ですよね。
やはりゴルフに興味があっても何から始めればいいのかわからないという若者が多いと思います。
多くの若者が車を所有しない今の世の中、若者がゴルフ場に行く上でハードルとなっている様々な要素を取り除く必要があります。
例としては、ゴルフレッスンの大衆化であったり、都市からゴルフ場までの移動手段の提供、必要以上の規則(服装など)の緩和などでしょうか。
その上でゴルフをマンガなどでも取り上げるなりして、これまでのおじさんの趣味としてのゴルフから、アスリートから若者、そしてシニアまで楽しめる魅力的なスポーツというブランドを作っていければ、もう少し変わるのではないでしょうか。
そもそもこんなに老若男女、世界中で楽しめるスポーツはテニスとゴルフくらいだと思うので。
キレイなスイングを作るために
――こんな練習をしていますとか、スイングで気をつけていることはありますか?
基本的に、理屈に関してはすべて頭に入っていますね。誰かの理論を鵜呑みにするタイプではないので、どの理論はなんでこう言っているのかって、自分で理解してやってみないと気が済まないのです。
だからレッスンをたまに受ける理由も、理論を知りたいんじゃなくて、誰かに見てもらわないと自分のスイングはわからないので。
理論はわかっているのにできていないことがあるんだったら知りたいっていう感じですね。
――理論を勉強していると、いろいろな人が様々なことを言っていて混乱しませんか?
その都度消化しています。例えば手首をリリースさせるんだっていう人と、体と一体化して手首は使うなっていう人と。
片山晋呉さんとか石川遼くんとかはこのタイプですよね。積極的に手を使えみたいな話とかも理解しているつもりです。
ちなみに僕は腕は使わない系の理論を推奨しているんですけどね。ただ、初心者は手を使ったほうが早く覚えるというのはあるかもしれません。
上級者になったら腕は使わないほうが良いとは思います。
――私は7歳からゴルフを始めたのですが、小さいころに教わっていた理論と、20年経った今のトレンドって乖離があるんですよね。私はその都度「そうなの?」「そうなの?」と試していって混乱しちゃうんですけど(笑)。
でも7歳からやってたら体がある程度覚えているから、理論とか気にしなくてもできると思いますけどね。
英語もそうだけど、ちっちゃいころに英語に触れると、文法とか何も考えずに話せるようになるじゃないですか。でも大人になってから学ぶと、文法から入らないとわからないから。
ゴルフもそうで、おじさんたちは理屈から入らないとわからないわけですよね。気にせずナチュラルに振っていると「おっさんスイング」になりますよね。
谷将貴コーチの教え
――レッスンのお話などを聞いていると、十分ゴルフ好きだと思いますけど(笑)。
いや、別にそんなことはないんです。ただやるんだったら上手くなりたいというか。
知り合いのツアープロコーチ、谷将貴(たにまさき)さん(以前、片山晋呉プロをコーチしていた。写真左)にたまに教わっているんですけど、彼に最初に会ったときにこう言われました。
「ちょっと直せば良くなる。だけど本当に片手シングルを目指すんだったら根本からスイング改造しなきゃいけなくて、その間ちょっとスコアは出なくなるかもしれない。どうする?」と。僕は迷わず「根本から」と答えました。
中途半端に80台で回っても意味がないから。そこは目指してないから。
ゴルフするんだったらアンダーで回りたいから、そっちに行けるようにスイングを作って欲しい、と依頼した覚えがあります。
スコアが良いよりも、とにかく「キレイだね」って言われるスイングをしたい。結局それが良いスコアにつながるからと。
――そうですね。遠回りなようで、それが一番の近道だと。
そう。スイング改造中に上手くいかないことが多いのはしょうがない。
クラブのこだわりはない。……というけれど?
――今はなんのドライバーをお使いなんですか?
M4(テーラーメイド)です。ヘッドは良いんだと思うんだけど、シャフトはちょっと合ってないかもしれないと悩んでますね。
もともと70グラム台のフレックスXを使っていたんだけど、まぁまぁ重たい。
打ったとおりに球が出るという感じだったんですけど、今回グラファイトデザインの「ツアーAD IZ」の60グラム台のSを使っているので、ちょっと、一気に軽くなったからしなるので腕を使いすぎちゃって、うまく生かせる時と生かせない時があって。
慣れれば良いのか、もしくは合っていないのかがわからなくて。替えたばっかりなのでもう少し試してみようと思っています。
僕はあんまりクラブを替えないんです。前まではタイトリストの(910)D3が好きで、2010年からだから、8年くらい使ってたんですよ。
ただ、新しいタイトリストを試したら全然合わなくて、それで評判が良かったM4とM3を試して。
基本的に小振りで、今っぽくないのが良い。僕はフッカーなので、基本的に右を怖がることはほとんどなくて、左サイドを警戒するんですよ。
だからつかまりは良くなくていいと。
ただ打ってみたらなんとなくM4にやさしい感じがあって、もしかしたらこういうのにチャレンジしたらスコアも変わるかもしれないなーと思って、挑戦してみました。
今のところあんまり良くないけど(笑)。
ほんとにゴルフオタクじゃないの?(笑)
いわゆる“オタク”じゃないんですよね。ギアに凝ったり、試合の放送観たりとか海外のあの選手がどうとか、っていうのはないですよね。
僕ゴルフに興味ないって言いながら、レッスンプロに「よく観てるね」って言われるんです。
「腕をこういう風に使って」とか言われたら「○○プロがやっているような感じですね」って答えるから、よくわかっているねって感心されることはありましたね(笑)。
インタビュー後記
頑なに「ゴルフをそんなに好きではない」と言いながら、驚くほど造詣の深い新居社長。
目標設定が明確で、自分が上手くなるための情報収集をして、必要なことを抽出したら深掘りはしない。すごく要領よくゴルフを学ばれているんだなと感じました。
これぞ経営者らしい、ゴルフとの付き合い方なのかもしれません。
ヒッティはゴルフ歴が長いわりに、Gridgeに入ってからギア知識を徐々に身につけてきました。
現役の頃にもっと興味を持っておくべきだったなぁ(小並感)。
プロフィール
【ゴルフ歴】17年
【ベストスコア】81
【クラブセッティング】※2018年6月現在
1W:テーラーメイド M4 ツアーAD IZ-6(S)
5W・7W:タイトリスト 910
ユーティリティ:タイトリスト 910H
アイアン:ロイヤルコレクション CV
ウェッジ:50、54、58度 タイトリスト ボーケイSM6
PT:スコッティ・キャメロン ツアーパター スクエアバック
【愛用ブランド】クラブはタイトリスト、ウェアはラッセルノ
新居佳英(あらいよしひで)プロフィール
1974年7月29日東京生まれ。
1998年上智大学理工学部卒業後、当時未上場のベンチャー企業であった株式会社インテリジェンスに入社。
2000年に同社子会社の代表取締役に就任。3年努めた後、株式会社アトラエを設立。
アトラエは現在ITに軸足を置き、主に3つのサービスを展開。2018年6月に東証一部に上場を果たした。
「世界中の人々を魅了する会社を創る」ビジョンを掲げ躍進中。