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中京高校ゴルフ部・朝倉吉則教諭インタビュー②業界活性化にはジュニア世代への浸透と環境改善が不可欠
こんにちは、ライターのとやです!
引き続き中京高校ゴルフ部顧問、朝倉吉則先生にお話を伺って参ります。
前回の記事は学生へ向けての記事でしたが、低迷するゴルフ業界の活性化についてもいろいろとお答えいただきました。
目次
前回の記事はこちら
ゴルフ人口減少にどう歯止めをかける?
──ゴルフの2015年問題(団塊世代のゴルファーが一斉にゴルフをやめてしまうことを危惧された問題)があって、現在もゴルフ人口が減ってしまっています。これについてどう思われますか?
ゴルフはやっぱりお金がかかること。これがゴルフ離れを加速させている原因かもしれません。
レジャーとして考えたとき土日祝日ならば1万円以上のお金がかかってしまいます。うちの学校でも、昔はコンペとかあったんですよ。
けれども今じゃゴルフをする人そのものが減ってしまいました。ゴルフにかかる金銭的な問題をなんとかしなければ、ゴルフ人気復活! とまではいかないでしょう。
ジュニアゴルファー増加はハードルを下げることにつながる
ゴルフはなかなか敷居が高いスポーツとして認識されていると思います。
そのためジュニアの参入が少ないことも理由かもしれません。「マナーやドレスコードが難しい」「よくわからない」「ゴルフはお金がかかるスポーツ」と、どれもゴルフに対するハードルを高くしているんです。
そこで自分の友達がゴルフ経験者だったり、ゴルフを楽しんでいる姿を見たりすることは、ゴルフ人口を増やしてくれる一端になります。
「友達がやっているから」という理由で少年団などのスポーツを始めた方って多いでしょう(笑)。それと同じですよ。
ジュニアゴルファーが増えれば増えるほど、ゴルフに対するハードルを下げてくれることになります。
ゴルフの道をあきらめてもゴルフはできる
──ゴルフって社会に出てからもプレーできますから、若いうちにやっておいて損はないと思っています。ゴルフをしていてよかった、というエピソードはありますか?
以前、高校でゴルフをスパッと辞めた子がいましてね。普通に就職したんですが、入社してすぐに会社内のゴルフコンペがあったそうなんです。
入ったばかりの女の子が、そんなに上手だなんて普通思わないじゃないですか。
そんな子がいきなり70台とかで回ってきちゃうんです。そりゃ周りの人はびっくりしたみたいで、次の日から会社内の課長さんや部長さんから毎週ゴルフの誘いを受けたと聞いています。
顔や名前も覚えてもらえますし、ずいぶんと目をかけてもらったみたいです。ゴルフが会社内のコミュニケーションツールとして役に立った良い例です。
ジュニアがゴルフをする環境を整える必要がある
──入社したばかりでゴルフの付き合いができると、社内でのコミュニケーションが円滑になるのはよく聞く話ですね。
そのためにはジュニアがゴルフをできるような環境を整えてあげる必要があります。
ゴルフ場は営利企業ですから、収益を上げなきゃいけない。逆にジュニアゴルファーは少しでも安く練習、ラウンドがしたい。
ジュニアゴルファーをバックアップする体制がもう少し充実しなければいけないと感じます。ゴルフ場さんだけに負担を強いるようでは長くは続きません。
現状はゴルフ場さんに力を貸していただいて、少しでもゴルフがやりやすい環境を提供していただいてます。ジュニアゴルファーを育成することで、将来的にゴルフ人口を確保しようという、いわば「種まき」の時期です。
そんな中で、生徒の一部には上を目指せるようなゴルファーになってもらって、残りは生涯スポーツとして楽しめる、というのが理想になります。
ジュニアの試合を確保するのも一苦労
ジュニアの試合をしようと思うと、それに賛同してくれるゴルフ場さんも必要になります。
担ぎの高校生とカートの一般プレーヤー。ペースの違いがあって一般のお客さんと時間をずらしてプレーするのは難しい問題があります。
さらに土日で大会を組んでしまうとメンバーさんから不満が出る場合も。また平日じゃ学校もある、など問題が山積みです。
ゴルフ場の収益を確保しながら、生徒がプレーしやすい学校の体制、また練習が続けられる金銭的なもの。
こうした問題をクリアするのは大変です。ジュニアゴルフの活性化は一筋縄ではいかないでしょうね。
編集後記:地道にゴルフの裾野を広げること
中京高校ゴルフ部顧問の朝倉先生にお話を伺いました。
学生向けのゴルフ市場は、他のメジャースポーツと比較して決して大きいものではありません。またメディアへの露出も控えめです。
それはまだまだゴルフというスポーツが、学生の競技として根付いていないことが根幹として挙げられます。
プロゴルフの大会もスポンサーに頼り切った運営からの脱却が待たれますし、ゴルフというスポーツをもっと身近に、誰でも楽しめるものとして一般に浸透すればもっとゴルフ人口を増やしてくれる一助となるでしょう。
地道にゴルフの裾野を広げて、ゴルフの市場規模が拡大すれば日本のゴルフ業界は明るいのものになるかもしれません。