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チャンスの時こそリスク管理を、ピンチの時こそ冷静さを
ゴルフにおける「マネジメント」という言葉は、単純にコースをどのように攻略するのかというマネジメントに加えて、自分自身の心をどうマネジメントするか、という要素も含まれていると思います。
バーディチャンスに付けたパット
パー4ホールのセカンドショット、パー3ホールのティーショットが完璧に打てて、バーディチャンスに付けるシチュエーションがあるとします。
グリーンに向かうまでの間に、同伴者から「バーディ間違いなしだね」とか、気が早い人だと「ナイスバーディ」といった言葉を掛けてきます。
実際に、意気揚々としながら歩いていることでしょう。
またとないチャンスを活かそうと、誰もがラインは丁寧に読みます。
そのパットが入ればバーディですし、オーバーしても返しのラインを見ることができるので、ファーストパットは最低でもカップに届かせることが鉄則です。
そして、カップインする確率を上げるには、ラインは薄めに、タッチは強めにするのがセオリーです。
しかし、心がイケイケの状態のままだと大事なことを見落とします。
カップの先がどうなっているか、です。
チャンスの時こそ、リスク管理を!
カップまでのラインは必死で読みますが、カップの先がどうなっているかは意外と見落としがちになります。
もし、カップの先が下りになっていたとしたら、カップを外すと強気のタッチと相まって、バーディパットと同じくらい、下手したらそれ以上の距離のパーパットを打たなければならなくなります。
バーディチャンスが一転、3パットのボギーという悪夢を生み出しかねません。
次のホールのティーショットにも悪影響を及ぼしてしまいます。
カップの先が下りだという情報を事前に察知していたら、多少カップインする確率を下げてでも、ラインを厚めに、タッチを弱めにすることで対策できます。
バーディとはならなくても「お先に」の距離に付ければ、楽々とタップインしてパーです。
バーディパットを外した無念さはあったとしても、少なくともストレスは一切掛かることなく、次のホールへと向かえます。
チャンスの時は、心に余裕がある時です。そんな時こそ、リスクも想定したプレーを心掛けたいですね。
直前のショットでミスをしてしまった
ティーショットを林に入れてしまった、ボールが崖の下に行ってしまった、そんなことはアマチュアだけでなく、プロでも起こり得ます。
しかしながら、この後の対応がアマチュアとプロでは決定的に違います。
残念ながらアマチュアゴルファーは、周りの環境を軽視し過ぎで、自分の実力を過信しています。
木に当たらないだろう、崖を越えるだろうといった軽い気持ちでショットに臨み、さらに大叩きへの道へと自ら進めてしまいます。
プロはその状況でやれることと、自分の実力を明確に理解しています。
成功するメリットと失敗するリスクとを天秤にかけて、前者の方が得られるものが大きい場合に限って、トラブルショットを敢行します。
2012年のマスターズ。
優勝したババ・ワトソンがプレーオフ2ホール目の10番ホールで、林の中からのインテンショナルフックを打って見事にグリーンをとらえました(写真)。
非常に印象深いトラブルショットだったのですが、あれは極限状態でプロが持てる技術をすべてつぎ込んで打ったショットです。
アマチュアが真似して良いことは絶対にありません。
ピンチの時こそ冷静さを!
林に入れてしまったら、崖の下に打ち込んでしまったら、そこから無理してグリーン方向を狙うようなことはせずに1打の“ペナルティ”を払ってフェアウェイに戻すことを考える方が無難です。
直前のミスを、次の1打で取り返そうとしないことです。冷静に対処して次のショットに臨めば、ボギーで収まりますし、あわよくばパーも拾えます。
夏場のラフもある意味トラブルです。
ラフの中からグリーン方向を狙って、ボールがうまく出ずに再びラフへ入ってしまうよりも、短いクラブを持ってフェアウェイ方向に打てば、少なくとも次のショットはストレスなくグリーンを狙えます。
次のショットで取り返そうとする気持ちが、ボギーで済んだはずのホールで、ダボ・トリといった大叩きを助長してしまいます。
ピンチの時は気持ちが焦ってしまいがちですが、そんな時こそ冷静に置かれている状況と自分の実力を分析して、リスクを回避できれば、一段上のレベルに上がれると思います。