ライフスタイル
Nick Jagger
無謀とチャレンジは違います!ゴルフは確率のゲームなのです。
ゴルフではProbability(確率、公算)とかPossibility(可能性、実現性)という言葉がよく使われます。
ほとんど同じような意味で、平たく言えば確率です。
「スコアアップは確率のいいプレーをすることだ」というアドバイスをよく耳にしますが、この「確率」という言葉をアベレージゴルファーが正しく解釈しているかというと、そうでもないようですね。
プロのスーパーショットも確率から生まれる
確率には客観的なものと、自分の技術、ゴルフレベルとの兼ね合いによるものがあります。
誰がやっても難度の高いショットと、その人にとって難度が高いショットがありますよね。
しかし、こんな傾向があります。
1 プロや上級者は確率の高い方法を最優先して、無謀なことはしない
2 上手いプレーヤーほど確率の重要性を知っている
3 未熟なプレーヤーほど自分本位に考え、安全性を無視しがち
攻撃的なプレーヤーの代表選手といえば、かつてはアーノルド・パーマー、セベ・バレステロスらが、林の中から常識では考えられないようなスーパーショットを放って、ピンそばにピタリというシーンを何度も見せてくれました。
ギャラリーは熱狂し、「わずかな可能性があれば、それにチャレンジするのがプロフェッショナルなんだ」と思ったことでしょう。
なんともかっこよく、派手なショットですが、彼らは決して「わずかな可能性」に賭けていたわけではありません。
自分の技量から判断して、少なくとも70パーセント以上成功させる自信があったのです。
これを見落としてはいけません。
常に最悪の状況を想定して、覚悟する
もし、あなたが林の中へ打ち込んでしまったら、まず第一に最も簡単に林から脱出できる安全なルートを探してみることです。
それから少しずつ自分の有利になるルートを探し、これ以上無理だと感じたら、そこからまた逆戻りをして、成功率80パーセントの方法(少なくても70パーセント)を採用します。
真っ先に考えるべきことは、最も安全な方法なのです。
ところが、アベレージクラスはまずグリーンが狙えるわずかな空間を探す傾向が強いのです。
欲が絡んでくると、せっかく確率という冷静で客観的なものがあるにもかかわらず、「チャレンジ」という名目で、無謀なショットを試みては痛い目に遭ったという経験は、きっと誰にでもあるのではないでしょうか。
あるプロゴルファーにこんな話をしてもらったことがあります。
「ラフや林、あるいはバンカーなどに打ち込んでしまったら、最悪の状況を想定し、覚悟する」と。
長くてまともに打てそうもないラフ、木の根っこにくっついているボール、目玉のバンカーなど、最悪のケースを予想するのです。
最悪のケースさえ覚悟すれば、たいていの場合、現実はそれよりも良い状況で助かることが多く、焦ったり、ショックを受けないで済むからです。
どんなときも心のどこかに余裕を残すためのメンタルコントロールといっていいでしょう。
ゴルフレベルで確率を判断する
なんでも楽天的に自分に都合よく考えることをプラス思考だと思っているならば、それは大きな勘違いです。
ひとつのことが成功するかどうかのカギは、常識的に見た確率論がベースになります。
ゴルフは「ミスのゲーム」と言われますが、ミスを最小限に食い止める方法を取ることが基本なのです。
もっと分かりやすく説明します。
コースにはさまざまなトラップが待ち受け、絶対に打ってはいけないOBゾーンや池などがあります。
これらを徹底的に避けることが、スコアを崩さない条件になります。
もちろん、いくら頭では分かっていても、技術レベルが伴わなければ、最も打ってはいけない場所に打ってしまう可能性も高いわけです。
ですから、まず最悪の場所に対する危険予知能力を働かせ、次にそこへ絶対に打ち込まないクラブチョイスと打ち方をすることです。
これはミスを恐れるのではなく、ミスを防ぐための自衛手段で、立派なプラス思考といえるのではないでしょうか。
冷静なゲームプランを持続させて、ミスを防止する
スコアは自分の技術との相談で決まるといってもいいでしょう。
どの程度の可能性ならばチャレンジするのか、それとも安全策でいくのか、自分で判断し、しかもこの判断を毎ショット行うのがゴルフです。
ベン・ホーガンは「ゴルフは20パーセントの筋力と80パーセントの頭脳のゲームだ」という言葉を残しています。
プロとアマ、レベルの差はあっても、基本的な考え方はまったく同じであり、問題は冷静にゲームプランを積み重ねる心理状態をキープさせられるかです。
ラウンド中、欲が芽生えることも多々あるでしょう。
そこで自分の可能性、確率を冷静に判断し、しっかりメンタルコントロールできれば、極めてゴルフに適したプラス思考のゴルファーであると言えるんじゃないでしょうか。