ライフスタイル
野村タケオ
ゴルフマン【第44話】叫ぶゴルファー
木曜日のお楽しみ、ゴルフマンの第44話です。
ゴルファーってのは欲深いもんです。
【第44話】叫ぶゴルファー
まあゴルフってのは基本的に思い通りになかなか行かないもので、だからこそたまに思った通りに打てたりした時は、そりゃもううれしいわけですよ。
しかしね、1ラウンドの中で、はたして思い通りに打てたショットやパットがいったい何回あるか?
ほとんどのショットがちょこっとミスしたりしているもので、そのミスの範囲が少なければまあまあのスコアになったりするわけ。
だから練習っちゅうのは、そういうミスの範囲を少しでも少なくするためにするものなんです。
OBまで曲げてしまうミスよりは林にちょこっと入るくらいのミスの方がいいし、ラフに入ったくらいのミスならラッキーだし、狙いと違う球筋や当たりの悪いショットでもフェアウェイに行っていれば満足しなければいけないんです。
しかしゴルファーってやつはどんどん贅沢になっていくもんで、フェアウェイをキープしてても「飛んでない」とか「ヒールに当たった」とか「右より左サイドのほうが良かった」とかいろいろと注文をつけちゃうんですな。
まったく困ったもんです。
注文といえば、打ったあとのボールにもいろいろと注文をつけちゃうもんです。
飛びすぎちゃったな〜って時には「早く落ちろ〜!」とか、強く打っちゃったアプローチでは「スピン!」、バンカーに入りそうになった時には「右に跳ねて〜!」とかね。
もう打っちゃったあとなので、いくら声をかけてもそこからボールの動きに変化があるわけではないのですが、ついつい声に出ちゃうんですな。
これはトーナメントに出ているトッププロも同じで、テレビ中継なんかを見てても「バイト!」とか「ダウン!」とか「カット! カット! カット〜!」とか叫んでるのを目にします。
トッププロでもついつい叫んじゃうんだから、僕たちアマチュアが叫んでも仕方ないですよね。
しかしね、たまに言ったとおりにボールが動いてくれる時があるんですよ。
池に入りそうな球に「止まってー!」とかとか叫ぶと、ギリギリのラフで止まってくれたりね。
まぁもちろん、叫んだから止まったわけじゃないんだけど、なんとなく叫んだおかげで止まったような気もしてくるんですよ。
なので、また願いを込めてボールに叫んじゃうわけです。
ただね、空中を飛んでるスライスボールに「そこからドロー!」とか叫んでも、絶対に曲がったりしませんからね(笑)。