週が変われば、ゴルフも変わる　～世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み＃32

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こせきよういち

先週の米ツアー戦、RBCカナディアンオープンはジョナサン・ベガスが最終日に65をマーク、逆転で大会2連覇を果たしました。

ベガスは2011年に、ベネズエラ人として初めて米ツアーを制覇。

当時26歳の若さで、将来が大いに嘱望されました。

ところが、その後は故障もあって不振続き。2015年にはランキングを153位にまで落とし、2部ツアーとの入れ替え戦を経験しました。

しかし、翌2016年のこの大会で復活優勝。そして、先週の2年連続優勝となったのです。

でも、この優勝も順調に勝ち取ったものではありませんでした。

そして、今季はそんな選手が他にも。

５試合連続予選落ち、からの優勝！　ジョナサン・ベガス

今季のベガスは4月のマスターズ（予選落ち）以降は、出場10試合で予選落ちが8試合。

先週のRBCカナディアンオープン優勝の前は5試合連続予選落ちと、不調に苦しんでいました。

しかし、ベガスには自分の成績よりも気がかりなことがありました（現在も）。母国のベネズエラは目下、大統領の強権的な政策で政情不安。

政府と反対派の衝突で、多数の死者が出ています。

「そのことはいつも心に引っかかっている。僕の故郷だし、家族も暮らしている。

国民が現政権を拒否したとき、政府は人々をどうしようとするだろう。

政府に対しては怒りを覚えるが、それが自分のモチベーションにもなった。

この優勝が母国の人々の励みになればいい」

母国の苦境を思えば「たかだか5試合連続の予選落ちくらいで落ち込んではいられない」。

そんな思いが優勝につながったのかも知れません。

↓ジョナサン・ベガスの成績（英語）

4試合連続予選落ち、からの優勝！　ビリー・ホーシェル

今季はもうひとり、ビリー・ホーシェルが4試合連続予選落ちのあと、5月のAT&Tバイロン・ネルソンで3年ぶりのツアー4勝目をマークしました。

その3年前、ホーシェルはプレーオフ・シリーズのBMW選手権とツアー選手権で2週連続優勝、年間王者に輝いたのでした。

ところが、その後、不振のシーズンが続くことに。

実は、ホーシェルにも自分のゴルフ以上に気がかりなことがあったのです。

それは、この5月の優勝直後に、夫人のブリタニーさんが自身のSNSで明かしたことです。

彼女は以前からアルコール依存症に苦しみ、昨年5月末には2カ月間ほど施設に入って治療を受けていたというのです。

そして、その間は、ホーシェルがツアーに参戦しながら、当時1歳半の長女・スカイラーちゃんの面倒を見ていたそうです。

現在、ブリタニー夫人は同依存症を克服。

そして、ホーシェルも連続予選落ちという苦しみから抜け出したのです。

↓ビリー・ホーシェルの成績（英語）

昨年8試合連続予選落ち、からの優勝！　ジェームズ・ハーン

連続予選落ちからの優勝、といえば、昨年ジェームズ・ハーンが2月のAT&Tペブルビーチから5月のチューリッヒクラシックまで8試合連続予選落ち。

直後のウェルズファーゴ選手権でツアー2勝目を飾ったことがありました。

米ツアーでは、毎週のように芝も変われば、コースのキャラクターや気候など、トーナメント環境が大きく変わります。

その週の試合を得意とする選手もいれば、苦手とする選手も……。

だから、「先週は先週。今週とは違う」。

週が変われば、ゴルフも変わる。それまで不調だった選手が突如大変身することだってあるのです。

今季はほかにも、ブライソン・デシャンボーが8試合連続予選落ちのあと、4週間後に優勝。

今年は出場14試合中、予選落ち6試合、途中棄権3試合だったキム・シウが準メジャーのプレーヤーズ選手権で優勝など、いきなり大変身を遂げた選手がいます。

8月17日からのウィンダム選手権が今季最後のゲームになる石川遼だって……、そうなる可能性はあるのです。