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こせきよういち
ジョーダン・スピースには“劇的”が良く似合う ~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#27
今週のゴルフメディア界隈は「トラベラーズ選手権」を制したジョーダン・スピースの劇的なバンカーショットの話題と映像であふれていました。
スピースは米ツアーでも屈指のショートゲームの名手。2015年のマスターズと同年の全米オープンに勝利できたのも、その卓越した小技によるところが「大」でした。
そこで今回はトーナメントを制した、あるいは制することにつながった、スピースの劇的なアプローチを振り返ってみます。
目次
プレーオフを制したバンカーショット(2017トラベラーズ選手権)
まずは、先週の「トラベラーズ選手権」の劇的すぎるバンカーショットです。
優勝争いはジョーダン・スピースと、彼と同じ1993年生まれのダニエル・バーガーによるプレーオフに持ち込まれました。
その1ホール目。スピースはティショットをミス。グリーンを狙った第2打は、飛距離がやや足らずに手前のガードバンカーへ。
一方のバーガーもティショットを左に引っかけ、難しいライからの第2打はグリーンの左端に乗っただけ。ピンまでは15メートルもありました。
どちらもパーセーブ狙いかと思われたのですが、次にバンカーから放ったスピースのアプローチがよもやの……。
そして、割れんばかりの拍手・歓声のなか展開されたのがスピースとキャディのマイケル・グレラーによるセレブレーションでした(動画は、上記YouTubeおよび下記リンク先をご覧ください)。
ふたりはそれぞれ手にしていたサンドウェッジとバンカーレーキを空中で交差するように放り投げると、体をぶつけあうチェスト・バンプ。
チェストバンプは、今後、米ツアーの若いプレーヤーの間で流行するかも。
初優勝をもたらした72ホール目のバンカーショット(2013年ジョンディア・クラシック)
振り返ってみれば、スピースの最初のツアー優勝もバンカーからのスーパーショットでした。
2013年の「ジョンディア・クラシック」。最終日、スピースは首位と6打差の9位タイからスタートすると、8バーディ・2ボギーの65でラウンド。
終わってみれば、ザック・ジョンソン、デビッド・ハーンとトップタイに並び、プレーオフへ。
その4ホール目で、ひとりパーをセーブしたスピースが19歳で初のツアータイトルに輝いたのでした。10代でのツアー優勝は82年ぶりの快挙でした。
そして、そのプレーオフに持ち込んだのが、最終18番ホール=72ホール目で放たれたこのミラクルなバンカーショットだったのです。
地元テキサスでの初優勝を決定づけたチップイン(2016年ディーン&デルーカ招待)
スピースにとって2016年は、連覇を目指したマスターズで悪夢の逆転負けを喫した年です。
精神的に大きなダメージを負ったのでしょう。その後、約1か月の休養。復帰戦となったプレーヤーズ選手権は、あえなく予選落ち。
果たして復活はいつ? と注目が集まるなか、彼はそれまで未勝利だった地元・テキサス州での2連戦でプレーすることになりました。
彼の大スポンサーであるAT&Tがスポンサードする「AT&T バイロン・ネルソン」と「ディーン&デルーカ招待」です。
「バイロン・ネルソン」は3日目までの2位から最終日に74を叩き、18位タイに撃沈。
しかし、この「ディーン&デルーカ招待」では、3日目にトップに立つと、最終日は序盤に一時逆転されるも、終始落ち着いたプレーを展開。ほぼ半年ぶりに、復活のツアー優勝を果たしたのでした。
その勝利を決定づけたのも、ミラクルなアプローチショットでした。17番(パー4)の第2打はグリーン奥のギャラリースタンドへ。
救済のドロップができたのですが、カップはグリーンエッジから近く、しかもやや下り傾斜です。ボギーの可能性も十分だったのですが……。
地元ファンの興奮は「最高潮」といったところでしょうか。
最後に、スピースのアプローチの冴えは、今年3月の世界ゴルフ選手権「メキシコ選手権」でも見られました(下記リンク先をご覧ください)。
これこそ、ジョーダン・スピース!