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こせきよういち
今年の全米オープンの主役はフェスキュー? ~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#25
メジャー第2戦の全米オープンが始まりました。
今年の舞台はウィスコンシン州にあるエリン・ヒルズという、全長7700ヤード超の戦略性の高い、タフなコースです。
距離が長く、グリーンは硬くかつ速い。そして、ガードバンカーはときに深かったり、ときに幅が狭かったり。
スタンスをとるのも難しいライになるなど、選手を大いに苦しめています。しかし、大会前から最も話題になったのは、フェアウェイから数メートルのところに迫り、選手の前に立ちふさがるように伸びたラフでした。
力強く垂直に伸びるフェスキューのラフは、今回の全米オープンの主役のひとり(?)かも知れません。
ケビン・ナがフェスキューを相手に“大太刀まわり”
今大会のラフの様相に、最初に驚かされたのはウェズリー・ブライアンがSNSにシェアした下記リンク先の映像でした。
フェアウェイの端から(大股で)わずか2ステップの距離に、いきなり現れる深さ2フィート(約61センチ)のフェスキューのラフ。
しかも、そのラフは密生しており、ここに落ちたボールは真上から見ても見失うほどです。
入れてしまえば、実質的にバンカー以上の“ハザード”になりそう。
そして、そうなるだろうことを実際に見せてくれたのが、大会直前のケビン・ナの映像でした。
ちょっと演技が入っていたとのことですが、ナはフェスキューのラフを相手に“大太刀まわり”。
ここが今大会の最大の難関、最凶のハザードになることを示してくれました。
フェスキューを相手に遊び心を発揮したウエストウッド
でも、世界のトッププロたちは今回のラフにただおびえていたわけではありません。
例えば、優勝候補のひとり、ジョーダン・スピースは「もしストレスのないトーナメントを求めて来たのなら、ここじゃない。別のところに行ったほうがいい」と語っています。
プレーヤーにとって、どんなプレーグラウンドも条件は平等。自分だけタフなコンディションでプレーするわけではありません。
コースのタフさを楽しむくらいのメンタルが大事なのでしょう。
実際に、ベテラン実力者のリー・ウエストウッドは、キャディにこんなことをさせて楽しんでいました。
ラフに打ち込んだウエストウッドのボールをキャディが探し出し、「見つけたよ」と登場。
愉快な遊び心に、敬服です。
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“ビーフ”ジョンストンもラフを相手にお遊び
ウエストウッドと同じイングランド出身の若いプレーヤー、アンドリュー“ビーフ”ジョンストンも、ウエストウッドに負けじと、深いラフを相手に面白い動画をシェアしています。
こうして深さが喧伝されたラフですが、大会2日前の火曜日、主催者の全米ゴルフ協会は数ホールでフェスキューを一部、短くカットしました。
ただし、その理由は選手たちの反応を見て、「深すぎた」と判断したためではなく、今週は雨模様の天候が予想されるためでした。
強い風雨にさらされると、高く伸びたフェスキューは倒れ、横になってしまいます。そうなると、ラフのタフさは倍増。ほとんど“アンプレヤブル”の状況になると判断したからでした。
しかし、それを見たロリー・マキロイは「ファアウェイの幅は60ヤードはある。ここにいるのは世界の156人のベストプレーヤーだ。フェアウェイに打てないというなら、荷物をまとめて帰ればいい。ここはこれまでの全米オープンで最も広いフェアウェイだし、ラフが問題とは思えない。そこはハザードなんだ」と主張。
カットしたことに対し、否定的でした。
さまざまな見解はあるようですが、フェスキューが今大会のドラマの重要な演出者になることは間違いないでしょう。
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