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こせきよういち
世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#6 「今週のアメリカはスーパーボウル・ウィークだけど……」
今週のアメリカは全米最大のスポーツイベント=NFLのチャンピオンシップ「スーパーボウル」一色に染まります。例年、テレビ視聴率が50パーセントに迫るほど、全米の関心はこのゲームに集中するのです。
でも、それに負けないくらいの熱狂に包まれるのが、米ツアー競技の「フェニックスオープン(大会名称:ウェイストマネジメント・フェニックスオープン)」です。
昨年、松山英樹がプレーオフでリッキー・ファウラーを下し、ツアー2勝目を飾ったトーナメントですが、世界一のギャラリー数を誇る大会なんです。
昨年のギャラリー数は大会新記録の61万8365人!
松山が優勝した昨年は、月曜日~日曜日の6日間合計のギャラリー数が史上初めて60万人を突破。
一昨年の最多記録を5万人余上回る61万8365人にものぼりました。
この数は、目下盛況を誇る国内女子ツアーの昨年(37試合)の合計ギャラリー数=53万894人を8万人以上も上回るのですから(1試合で!)、ビックリです。
●2016年の各日の入場者数
月曜日: 4,030人 (過去最多:2万2,520人=2001年).
火曜日: 2万7,864人 ( 同: 4万5,000人=1995年).
水曜日: 5万8,702人 ( 同: 7万5,380人=2015年).
木曜日:10万1,021人 ( 同:11万8,461人=2015年).
※金曜日:16万0,415人 ( 同:12万3,674人=2014年).
※土曜日:20万1,003人 ( 同:18万9,722人=2014年).
日曜日: 6万5,330人 ( 同: 9万3,475人=2007年).
※合計 :61万8,365人 ( 同:56万4,368人=2015年).
※=最多記録更新
なかでも多くのギャラリーが詰めかけるのが、見出し下のインスタグラム動画に見みられる、名物の16番ホール(パー3)です。
ホールの周囲をぐるりと取り囲むスタンド(ほとんどの部分が3階建て)は、ビールで酔っ払った2万人近い観客でいっぱいになり、さながらロックコンサートの様相となります。
ここでは、2015年から公式には禁止されているのですが、選手たちが契約メーカーのスポンサーグッズなどをスタンドに投げ入れるファンサービスが名物でした(現在は、スタンドの最前列のファンに手渡しでプレゼントする程度)。
2014年、ライアン・パーマーは「理由は分からないだけど、なぜかそうするのがクールだと思ったんだ」と、100ドル紙幣を「この金でビールを楽しんでくれ」と投げ入れるファンサービスを実行。
彼は翌15年には、同様に「俺のおごりで、ビールを飲んでくれ」と書いたボール、12個に各10ドル紙幣を巻き付けてスタンドに投げ入れています(リンク先)。
フェニックスオープンの16番ホールといえば、このシーン
エキサイティングな16番ホールの歴史的名シーンと言えば、1997年大会のこのタイガー・ウッズのホールインワンです。
その瞬間、ギャラリースタンドは興奮のるつぼ。
タイガーも興奮し、ギャラリーを煽り立てます。
すると、スタンドからは手にしていたビールのコップが投げ入れられ、収拾がつかないことに。
グラウンドレベルのティの周囲にいた観客はビールの雨を浴びることになりました。
そのことをツアー1勝のロバート・ガリガスが証言しています。( http://www.pgatour.com/news/2015/01/27/tiger-woods-hole-in-one-tpc-scottsdale-1997.html )
ガリガスは、当時地元のスコッツデイル・コミュニティ・カレッジの学生ゴルファーで、この試合では会場の駐車場で働いていました。
でも、そこをこっそり抜け出して、16番ティのすぐそばで観戦していたとき、その瞬間が訪れたのでした。
「分からないけど、多分僕が最初にビールを投げたんだと思う。でも、それからはビールの雨が降り始めたんだ。僕の周りはみんな”ノー、ノー!”と言ってたけど、全員びしょ濡れさ。信じられない出来事だった」とガリガス。
もとはといえば、自分が火をつけた事態ですけど、大変な目に遭ったようです。
リンク先はタイガーのホールインワンの、より鮮明な画像です(ただし、ビールのシャワーのシーンまでは映されていません。)
タイガーにはこんな迷シーンも
タイガーのファンには有名な逸話ですが、1999年大会ではこんなことがありました。
第1ラウンドの13番ホール。
タイガーのティショットはやや左方向に飛び過ぎ、ボールは大きな石(岩?)の後方へ。
そこからは、直接グリーン方向に打つことはできません。
ところが、ゴルフ規則上、石は「ルースインペディメント」で、スルーザグリーンにある場合については、R&AとUSGA(全米ゴルフ協会)が「土に固くくい込んでいなければ、大きさに関係なくすべて石はルースインペディメントであり、取り除くためにプレーを不当に遅延(規則6-7)しない限り、それを取り除くことができる」と裁定しています。
また、その際に、ギャラリーなど他人の協力を得ることも違反ではありません。
そこで、タイガーも、数名のファンによって石が取り除かれ、窮地を無事脱したのでした。
ちなみに、この石はこのとき動かされた先に、記念のプレートを付けて、いまも横たわっています(リンク先)。
そして、TV中継では近くにボールが飛んだ際には、この逸話が紹介されています。ここでトーナメントがある限り、この石の伝説は語り継がれることでしょう。