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いよかん
日本最古の神戸ゴルフ倶楽部をヒッコリーで回ってみた:あらたに見つけた豊かなゴルフライフ♪
ゴルフ本来の精神と豊かさを感じることができるヒッコリーゴルフ。最新のゴルフ用具や技術を用いたモダンゴルフとは違った、その楽しさをご紹介します。
これが初めての記事となります。どうぞよろしくお願いいたします。
目次
ヒッコリーゴルフを知っていますか?
日本最古のゴルフ場、神戸ゴルフ倶楽部のコースを開場当時のゴルフ道具でプレーする機会に恵まれました。
ヒッコリーのゴルフクラブと、糸巻のボールで、歩きながらコースを回るのです。これは、かつて経験したことがない程の、予期せぬ楽しさでした。
いつものゴルフとは違う、ヒッコリーゴルフの楽しさを広くご紹介したいと常々思って来たことが、ここで初めてやっと叶います。
ヒッコリーってなに?
昭和時代のウッドクラブのヘッドが木でできていたことは、昭和生まれのゴルファーの皆さまにはお馴染みかもしれません。
昭和のクラブの木のヘッドがパーシモン(柿の木)であったのに対して、それ以前に使われていたゴルフクラブは、シャフトの部分が木でできていました。
このシャフトに使われていた木材がヒッコリー(クルミの木)で、クルミのことを英語でヒッコリー(Hickory)といいます。
1900年代の初めの頃まで、ゴルフクラブのシャフトはみな木で作られていました。スチールシャフトが発明されたのが1914年ということです。
日本最古のゴルフ場である神戸ゴルフ倶楽部ができたのが1903年なので、当時の日本で、ゴルフと言えばヒッコリーゴルフのことだったということになります。
ヒッコリーゴルフには癒しがある
ヒッコリーのシャフトは、現代のスチールシャフトやカーボンのシャフトと比べると太めです。木目からは木の温もりを感じることができ、グリップにはスウェード皮が規則正しく巻かれています。
ヒッコリーのゴルフクラブは、今も職人が一本ずつ手作りをしています。そこには、現代の量産品からは感じられにくい、職人の魂が込められているのを感じます。
そんなヒッコリーのゴルフクラブを手にすると、まるで小動物を抱きかかえているような癒しを感じるのです。いつもの金属の冷たい感じのするゴルフクラブとは、そこがまず違います。大事に扱わないと壊れてしまうかもしれないと思うくらい、愛おしく感じるのです。
プレーの時には、スイングも自然とゆったりとしたものになります。力任せに叩く、そして叩きのめされるゴルフばかりを続けて来たことを省みました。
叩き飛ばすのではなくて、そっと運ぶ“心優しいゴルフ”の存在に、初めて気づいたのです。
道具が主体のモダンゴルフ
ゴルフ規則ではレーザー計測機を使用して距離を計測するプレーが認められています。
仮に、技術とゴルファーの技量を究極に高めたとしたら、同じコースを何度プレーしてもスコアは一定に収束して行くに違いありません。例えるならば、プレーする前からスコアや試合の結果がわかってしまう、まったく面白みに欠けるゴルフです。
ショットをするたびに乗用カートに戻り、ハンドルとアクセルやボタンを操作して、轍(わだち)や人に気を付けながら次打地点に移動する。着いたら今度は、腰に付けた距離計測器をホルダーから取り出しピンまでの距離を測りそれをまたしまう。そのようなことを何度も繰り返すのが、現代のゴルフです。
そうした機器の操作に煩わされる手間と時間は、本来のゴルフとは関わりのない時間ではないでしょうか。ハーフ約2時間のプレーのうち、きっとその半分以上がゴルフとは関わりのない機械操作に断続的に費やされているとも考えられます。
ヒッコリーゴルフはプレイヤーが主体
一方で、ヒッコリーゴルフの楽しさを一言でいえばマニュアルの良さです。同じゴルフなのですが、そこにあえて文明の利器を使わないでプレーする意義があります。
最低限のコースの情報の他は、目測や歩測などの自分自身の感覚だけに頼り、真っすぐに次打地点に歩いて行けると、プレーに没頭できます。
ゴルフをしているすべての時間をコースや同伴者との対話に使うことができます。プレーに無駄がない分プレーファスト(Play Fast)にもつながります。
自然の風を感じながら、六甲山から神戸港の景色をしばし見下ろしたり、コース脇の竜胆(りんどう)に目を止めたり、歩きながらコースを眺め、次の一打をどう運ぶかを考えるヒッコリーゴルフには、文明の利器を諦めることで得られる心の豊かさがありました。
ヒッコリーゴルフはゲーム性が高い
プロや競技ゴルフのトッププレイヤーとは異なる一般のエンジョイゴルファーが、100ヤードと110ヤードの距離の差をあらかじめ正確に知ったところで、105ヤード先の前後5ヤードを打ち分ける技術を身に着けることは困難だと思われます。
しかし、ヒッコリーゴルフでは、そもそもそプレーに使用するクラブの本数が通常で6本~7本と少なく、細かなヤーデージをクラブのロフトの違いによって正確に打ち分けることを前提としていません。その代わりに、自分の感覚によりスイングを調整してシンプルに距離を打ち分けるのです。
元からクラブの本数が少ないので、その選択を迷う時間も減ります。すると、スイングの仕方や運びたい球筋を考えるための時間が増えます。
道具主体のプレーではないため、もしショットに失敗しても諦めがつきます。その一方で、自分のプレー勘により多くを頼るプレーが求められるため、成功した時の喜びが大きくなります。
不確実性が高まることでゴルフそのもののゲーム性が高まるのも、ヒッコリーゴルフの楽しさのひとつなのでした。
ヒッコリーゴルフは、ゴルフの精神に純粋だった
神戸ゴルフ倶楽部のコースは、六甲山の山肌をそのまま生かしたコースなため、アップダウンの連続です。
初めてラウンドした時には、いつものカーボンとスチールシャフトのゴルフクラブを使用しましたが、まったく距離感が合いませんでした。そんなにミスをした感じでもないのに、なぜかいつもよりもはるかにスコアを崩し、疲労感の残るゴルフでした。
しかし、今回ヒッコリーでプレーした時には、スコアのことがまったく気になりませんでした。
ただ美しい景色を眺めながら爽やかな山歩きをし、最高のプレーの思い出と一緒に降りてきた、そんな満たされた気持ちになりました。
まとめ
・ヒッコリーゴルフは、クルミの木のシャフトのゴルフ
・ヒッコリーゴルフは1920年代クラシック
・ヒッコリーゴルフには癒しがある
・ヒッコリーゴルフはプレイヤーが主体
・ヒッコリーゴルフはゲーム性が高い
以上から、ヒッコリーゴルフはゴルフの原点に近く、ゴルフの精神に純粋だ!
最後にひとつ付け加えることがあります。プレイヤー主体の心豊かなヒッコリーゴルフを楽しむには、コース選びが実は大切です。
それを次回の記事で紹介させていただきたいです。ご高覧いただけますとうれしいです。