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Nick Jagger
「動かせない障害物」のルーツは洗濯物のシーツだったのです
ゴルフの世界最古のルールは、1744年にスコットランドのリース・リンクスの「ジェントルマン・ゴルファーズ・オブ・リース」で定められた13か条です。
そのルールは、「ボールは地面からティーアップされなければいけない」、「一度ティーオフされたボールは、その後変更してはならない」など、現在のゴルフルールの原型になっており、スコットランドの図書館に保管されています。
ボールはあるがままの状態で打たなければならない
ゴルフは本来、ボールがあるがままの状態で打たなければなりません。
これは最古のゴルフルールの13か条にも書かれています。
しかし、ボールがカート道路や立ち木の支柱のすぐそばにあって、スイングの邪魔になるようなケースでは、これらは「動かせない障害物」となって、ホールに近づかない範囲でスイングができるニアレストポイントを決め、そこから1レングス以内に無罰でドロップできます。
この救済措置がルール化されたのは、18世紀のセント・アンドリュースでのことです。
セント・アンドリュースは市民の憩いの場だった
当時のオールドコースは、町の公共施設であり、市民の憩いの場でした。
人々がピクニックやフットボールを楽しんだり、主婦が井戸端会議を楽しんだり、コース内を流れるクリークで洗濯をしたりしていたのです。
ただ、リンクスランドですから、海風が強かったため、洗濯物を干すときには芝生の上にシーツなどを広げて、四隅に石を置いて固定していたといいます。
そうなると、そのシーツの上に、オールドコースをプレーしているゴルファーのボールが転がってきても不思議ではありません。
やはり主婦たちの主張は当時から強かったのです
ボールはあるがままの状態で打たなければなりませんから、ボールを打ち込んだゴルファーは、シーツの上に土足で上がってスタンスを取らなければなりませんが、主婦たちがこんなことを許してくれるはずがありません。
やむなく、セント・アンドリュースのゴルフクラブ(℞&A)では、シーツなどの洗濯物の上にボールがあるときは、無罰で近くにドロップしていいルール改正を行うことになったのです。
「動かせない障害物」に対する救済措置はかくして生まれたのです。