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ラウンド中に必要な「集中力」について考える
集中できない、やる気が起きない、なんとなく気分が乗らない……。
人間生きているとそういう気分になることもありますよね。それはゴルフ中でも、例外ではありません。
ラウンドの最中にこのような状態になってしまうと、信じられないミスの連発!
そんな経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそも集中とはなにか、集中力が切れてしまった場合はどうすればいいか、集中力を高めるトレーニングの方法などをご紹介していきます。
目次
集中とはなにか?
そもそも集中力とは、一般社団法人日本集中力育成協会の代表理事・森健次朗さんによると「一時において、一点にあなたの力を高める技術」とされています。
小学校の理科の授業で、鉛筆で黒く塗った丸に、虫眼鏡で光を集めて紙を燃やす実験をした覚えはありませんか?
光を一点に集めることで、すごいパワーを生み出すということを視認させてくれる実験でした。
集中している状態の人間も、これと同じです。
脳の活動を一部に絞って一点に向き合い、バラバラの意識を集中させることで、とても大きなパワーを生み出し、最高のパフォーマンスでのプレーが可能になるのです。
集中を高めるメリット、デメリット
「集中」がどういう状態かがわかったところで、集中することでどのようなメリットがあるか、また、デメリットがあるかを見て行きます。
人間は集中状態に入ると、脳の一部が通常時より活性化している状態になります。
こうなると、普段は気付かない点や思い至らない部分まで目が届くようになります。
ラウンド時の風の強さや向き、芝のコンディション、自分のアドレスの状態など様々な情報を瞬時に処理できるようになります。
これにより、普段よりも高いパフォーマンスを発揮できるということが最大のメリットです。
逆に、集中状態に入ることで他のことに気が向かなくなるため、集中している項目以外の見落としが多くなったり、ついさっきまで見えていたものが見えなくなったりすることがデメリットとして挙げられます。
気になる一つのことを頭の中で考えていると、他の人に話しかけられているのにしばらく気が付かなかった、という経験はありませんか?
それがまさにこの状態です。
また、集中が切れたときには虚脱感のような感覚を味わい、しばらく集中に入るのに時間を要するといったこともデメリットとして挙げられます。
ゴルフは一打の集中力が必要なスポーツ
ゴルフは、一打一打に集中力が必要なスポーツです。
自分の打順が回ってきたとき、目の前の自分のボールを、どこに打とうか、どう打とうか、そう打つには芝のライはどうか、風は影響してくるのか、落ちた後の転がりなど、考えて計算することがたくさんありますよね。
けれど、自分が「こう打とう」と決めてアドレスに入った後は、そのすべてを置いて、一打の一瞬の時間にすべての集中を傾ける必要があります。
集中をしていなければ、たとえパターで、1ピン以内の短いショットでも、思った通りにヒットできず外してしまうこともあり得ますし、簡単に見えるアプローチがシャンクしてOBになってしまったという悔しい結果を生むこともあるのです。
一打にかかる時間は、長くても30秒くらいです。
前の人が打ったボールが止まってから40秒以内に次の打順の人がボールを打たなければいけないというルールがありますので、実際はもっと短いと思います。
ゴルフは、1ラウンドするのに前後半合わせて5時間程度の時間を要するのに、その内のショットにかける時間は極端に短いのです。
つまり、集中力を必要としない時間のほうが、集中力を必要とする時間より、圧倒的に長いというのが特徴のスポーツになります。
5時間すべての時間に集中し続けるのは、無理ですし必要ありません。
集中するとき、しないときのオンとオフを上手に切り替えることが、ゴルフで最大のパフォーマンスを得る秘訣になります。
集中力が切れてしまう1つめの原因:心身の問題
では、この集中力、なぜずっと持続せず、途中で切れる、ということが起こるのでしょうか?
1つめの原因は、寝不足やストレスによる心身の問題が影響していると考えられます。
十分な睡眠が取れていないと、脳の疲労につながり、思うように考えることができなくなり、持続的な集中を妨げます。
また、ミスショットへの不安などにより強いストレスを感じることが、原因になる場合もあります。
これにより集中力が切れてしまう人は、多くの場合、ストレスを下げる方向で緩和を狙うものですが、人により、圧倒的に強いストレスを受けたほうが、良いパフォーマンスを生み出す人もいます。
どの方法が自分に合っていて、良い集中状態でショットができるのか、見極めていくことも大切ですね。
集中力が切れてしまう2つめの原因:マルチタスク型になっている
例えば仕事をしながら、片手に持ったスマホで今日の最新ニュースをチェックする。
本を片手に読書をしながら、テレビの画面を観て音を聴いている。
忙しい現代人は、日常の中で「ながら作業」をするのに慣れていて、目の前の1つのことに取り組みながら、他のことを考え、こなしています。
膨大な仕事量をこなすことができるという効率の良さを手に入れた反面、失ったと言われているのが、集中力です。
集中力は一点にあなたの力を高める技術ですので、その作業に必要な要素をフル稼働させて、その作業に向き合っている状態です。
マルチタスク型はこれの真逆とも言える脳の状態で、いろいろな機能が活動しなければならない状態で、集中に入ることが困難になっています。
ゴルフの一打を放つ前に、様々な情報が目や耳を通して、あなたに届きます。
そのすべてに身体の機能を使っていたら、一打に対しての集中力が散漫になってしまうということですね。
余分な情報を排除し、一つのことへ注目する力が必要です。
集中力が切れてしまう3つめの原因:思考の重要度が別のところへ向いている
しっかりと集中をしていても、今このことが“重要でない”と脳が判断した場合、意識は急激に他のことに向いてしまいます。
これは人間がそう思って考えることではなく、脳が無意識に判断します。
この状態になってしまうと、脳はすでに目の前のゴルフに対しての集中を手放しているので、集中しようと意識をしているのに他のことが頭にチラついて集中できなくなり、しっかりと一打に向き合うことが難しくなってしまうのです。
その日ゴルフをすることよりも、重要なことがある人もたくさんいると思います。
できる限り不安要素を取り除いてからゴルフに行くことで、集中力を保つことができると思います。
集中力を高めたいときの対策その1:ルーティンを決めておく
せっかく出かけたゴルフで、高いパフォーマンスを発揮するのに、どうすれば集中状態に入れるのでしょうか。
1つはアドレスに入ってスイングを始めるまでに行うルーティンを決めておくことです。
プレショットルーティンとも言われ、ショットの前に行われる一連の動作の流れのことです。
アドレスに入る前に必ず伸びをする、素振りは3回する、など、人によってその動作は様々ですが、このプレショットルーティンを毎回同じ動き、同じリズム、同じタイミングで行うことで、一定のリズムができ、集中力が増すと言われています。
そのルーティンにちょっとでもブレがあり満足できなかった場合、最初からやり直すくらいのつもりで、真剣に取り組むことが大切です。
ラウンドの始まった朝一のティーショットは、誰もが身体が固く、緊張を感じる人もいるものです。
プレショットルーティンを取り入れることで、この動作を行うことに意識が集中し、他の不安や雑念が消えてしまいます。
これにより状況が変わっても自分で調整することができるため、集中した状態を作りやすくなります。
集中力を高めたいときの対策その2:耳をふさぐ
もう1つは意識的に雑音を頭から消すことです。
どうしてもラウンド中は他の人の声や周りの音などが気になってしまいます。
自分がショットを打つ番なのに、カートに乗っている同伴者からぺちゃくちゃ話声がしたら、そちらに意識が行ってしまいますよね。
そんなときは、1度自分で耳をふさぎ、集中すべき項目を頭の中で復唱することがお勧めです。
この行為を行ってから動作に入ることで、しっかりその動作に向き合うことができます。
どうしても頭の中で関係のないことがチラつくときは試してみてください。
結果を受け入れる心構えを身に着けよう
集中力が高まったとき、ほとんどはその心構えはできていることと思いますが、集中するためのその行為に自分自身が満足できれば、その後の結果は受け入れるしかない、という心境になります。
形だけのプレショットルーティンを行っても、自分がミスしてしまうかもしれないという不安は消えません。
プレショットルーティンを本気で行うことや、外部からの雑音を遮断し、頭の中で集中に入ること、それを本気で行うことで、その不安は消えていきます。
ただの50ヤードのアプローチと、バンカーがぽっかりと口を開けている50ヤードのアプローチでは、同じ精神状態ではないと思います。
“ただ寄せればいいや”というロングパットと、絶対入れなければいけない短い距離のパターでも、同じことが言えます。
ここぞという大事な場面で、ミスをしてしまったという経験は、誰しも持っていると思います。
他に気になることがあって、普段通りの動きが取れなくなるのです。
そんなときは、自分なりのプレショットルーティンや、耳をふさいでの集中を完璧に行い、それを完璧に行ったということを、自分自身で確認し、集中を取り戻してください。
自分でも驚くほどの落ち着きで、目の前のボールを打つことができるはずです。
集中力とリズム
集中するための行為を完璧に行うこと、それは、イコール自分でリズムを取っていることと同じことです。
自分にとって最適なリズムというものは、人それぞれ違います。
その最適なリズムを見つけてそのリズムでルーティンやショットを行うことが、良い結果を生むことにつながります。
数多くあるゴルフの練習道具の一つで、耳に着けて使用するメトロノームがあります。
このメトロノームを活用することで、正しいリズムでスイングができることと、そのリズムを聞くと、自然に集中に入れるという2つのメリットが得られます。
気分が良いとき、知らず知らずお気に入りの曲が口をついて出ていたということがあると思います。
人間の多くが、物事のプラス面に働くリズムというものを、意識的にか無意識的にか、持っています。
自分にとって心地よいリズムはなんだろう?
これを考え、プレーに取り入れることは、とても良い手段の一つになります。
有名なゴルフマンガ『あした天気になあれ』を知っている人も多いと思いますが、この中ではゴルフスイングのリズムを「チャー・シュー・メン」と語っています。
このリズムが果たして最適なのかは人によって違ってきますが、ぜひ、自分のリズムを見つけて、スイングに取り入れることをしてみてください。
集中力を切らさない方法、高める方法は、人によって違います
いろいろとご紹介しましたが、一人一人のスイングが違うように、集中力を切らさない方法、高める方法というのは、通り一辺倒ではなく、違ってきます。
こうすれば必ず集中が高まるか、と聞かれると、断言はできません。
自分にとって何が効果的なのか、いろいろな方法を試してみて、それを自分のものにすることで集中は生まれ、良い一打につながっていきます。
「集中が切れた!」と感じたら、ここでお伝えしたことを思い出して、試してみてくださいね。