今年も名シーンが見られるか？名門・川奈ホテルゴルフコースの歴史

ゴルフコース・練習場

Nick Jagger

今週はフジサンケイレディスクラシックですね。

会場は日本が誇る名コース、川奈ホテルゴルフコース富士コースです。

最近では倉本聰氏脚本で話題になった昼ドラマ『やすらぎの郷』の舞台で話題にもなりましたね。

ゴルファーなら、誰もが一度はプレーしたい憧れのコースですが、この富士コースを実際にプレーした人は少ないことでしょう。

なぜなら、原則的に富士コースをプレーするには、川奈ホテルに宿泊しなければいけません。

泊まってプレーするとなると、それなりのご予算がかかりますから、なかなかプレーするのは難しいかもしれませんね。

今回は特別に普段は入れないコースの内外を紹介いたしましょう。

開場はなんと90年前なのです

川奈ホテルの開場は1928年、今から90年前です。

LPGAのトーナメントコースは富士コースになりますが、最初にオープンしたのは大谷光明氏設計の大島コースからでした。

その8年後の1936年、イギリス人の造園家チャールズ・ヒュー・アリソン氏にによる設計で、お馴染みの富士コースが完成しました。

アリソン氏は川奈の海の美しさとその地形に惚れ込み、何日もホテルの部屋に閉じこもり設計したそうです。

戦時中は牧場に偽装

歴史あるゴルフコースですから、太平洋戦争も経験している川奈ホテル。

戦時中は東条英機によって、危うく軍の施設になるところでしたが、近隣の村から牛を借りてきて放牧し、牧場に偽装したというエピソードも残っています。

アメリカで最も権威のあるゴルフマガジン誌とゴルフダイジェスト誌両誌の「世界のベストコース100」に毎年常連のように選ばれている日本が誇る名コースも、大ピンチがあったのです。

世界のセレブもやって来た

これまで男子のフジサンケイクラシック、女子のフジサンケイレディスで何度もホテル内を歩いてきましたが、廊下に何気なく飾られている写真にも驚かされます。

あのミスター長嶋茂雄氏のアイドルであったニューヨーク・ヤンキースの強打者ジョー・ディマジオと、アメリカのセックスシンボルのマリリン・モンローが新婚旅行で訪れたときの写真にはびっくりしました。

往年の西部劇スター、ジョン・ウェインも映画「黒船」の撮影で3か月ほど滞在していたそうです。

皇族や大物政治家も

スターだけではありません。

昭和天皇ご夫妻がご静養にいらっしゃった写真や現天皇・美智子様の新婚旅行も川奈でした。

あのゴルバチョフ氏も現役大統領時代に訪れています。もしかすると、安倍首相もトランプ氏とのゴルフがあったかもしれませんね。

ドラマチックな舞台で数々のミラクルが

81年から男子のフジサンケイクラシック、2005年から女子のフジサンケイレディスクラシックの舞台となって、数々の劇的なシーン、名勝負がありました。

なんといっても6度川奈を制しているジャンボ尾崎。特に87年の16、17番で連続チップインは今も語り草です。

さらに90年には、最終日に8打差をひっくり返す大逆転勝利も忘れられません。

そのドラマは今も女子に受け継がれ、2015年の第34回大会、藤田光里の最終ホールでチップイン、ツアー初勝利などの劇的なシーンも記憶に新しいところです。

トーナメントを面白くしたのは戸張さん？

トーナメントの終盤3ホールは、「川奈のアーメンコーナー」と呼ばれています。

左に太平洋が迫る16番のパー5、2オンも可能ですが、海ポチャもあります。

風が読みにくい砲台グリーンのパー3はショートすれば、崖下まで転がりボギーは必至です。

最後は海をバックにダラダラと打ち上げていく18番ホール。

グリーンの右手前には入れたら寄せるのは困難なアゴの高いアリソンバンカーが待ち受けています。

最終日はこのバンカーの上にピンが切られるのは間違いないでしょう。

このようなドラマチックな終盤のホールがあるのは、トーナメントプロデューサーの戸張捷氏の手腕といってもいいでしょう。

実はトーナメントでは、実際の18番ホールが1番ホール、1番ホールが2番ホール、2番ホールが3番ホール…となっているのです。

戸張氏は海をバックに、テレビ映りのいいホールをトーナメントのクライマックスにしたのです。

戸張氏曰く「アリソンさんの設計した意思とは違うけど、結果的に面白い展開になったでしょう」。

今も毎年、戸張氏による改修があり、ますます難度は上がっています。

今年はどんな結末になるのでしょう？

ちなみに川奈でプレーしたい人、大島コースであれば宿泊しなくてもプレーできるプランがありますので、その重厚な歴史を感じたい人はぜひどうぞ。