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ゴルフコース・練習場

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「三菱ギャラントーナメント」の舞台、岩手県「南部富士カントリークラブ」前編〈施設・コース①〉“コース紹介・新シリーズ”第14回

現在は「ダイヤモンドカップ」の名称になっている男子プロトーナメントは、かつては「三菱ギャラントーナメント」という名称で、全国各地のチャンピオンコースを巡っていました。

東北で唯一この「三菱ギャラントーナメント」が開催されたのが、今回ご紹介する「南部富士カントリークラブ」です。

最後のトーナメント開催から27年が経ちましたが、今も岩手では名門の呼び声高い南部富士CCは、どうなっているのか?

久しぶりにラウンドしましたので、早速コースをご紹介します。

まず、このトーナメントについてご紹介しましょう!

三菱ギャラントーナメントは1973年に始まりました。

第1回は千葉県の鶴舞カントリー倶楽部で開催され、その後全国各地のコースを転戦して、南部富士CCでは、1978年(優勝:中村通)、1983年(優勝:中嶋常幸)、1992年(優勝:青木功)と3回開催されています。

最も多くの回数を開催しているのが、井上誠一設計の茨城県の大洗ゴルフ倶楽部で、過去10回の開催となっています。

なお、現在はダイヤモンドカップと名称が変わっていますが、今年は総武カントリークラブ総武コースで開催され、浅地洋佑が優勝しました。

南部富士CCのコース概要!

コース開場は1972(昭和49)年で、設計は世界的各地の名コースを設計してきた、名匠「“サー”ピーター・トムソン」です。

この名匠が「南部富士こそ、私の最高傑作」と断言しました。

西に雄大な岩手山(南部富士)、東に優美な姫神山を望む42万坪の地に、岩手山コース、姫神山コース、北上川コースの27ホールを有し、最大限に自然を生かした戦略性豊かなトーナメントコースです。

コースレートは岩手山~姫神山が最も難しくバックティー72.9、レギュラーティー70.5です。

バックティーの距離は、岩手山コース3411ヤード、姫神山コース3397ヤード、北上川コース3030ヤードとなっています。

コースは丘陵で、本格的トーナメント開催を念頭に設計されただけあって、戦略性の高いコースです。

自然の地形になるべく手を加えないような配慮がなされているため、インターバルを長くして、各ホールを周囲から隔絶したレイアウトです。

距離があって、かつ曲げると両サイドの樹林が厚く、スコアをまとめにくく、バンカーも効果的配置で息が抜けません。

今回は、岩手山〜姫神山をラウンドしましたので、この両コースをご紹介します。

※正面に見えるのが、2000メートルの南部富士「岩手山」です!

クラブハウスの佇まいは、新しくはないが歴史と落ち着きを感じさせる

クラブハウスは、決して新しくなく、中に入った瞬間の印象は、明るくなくて「やや古めかしいなぁ!」と感じました。

しかし、それは汚いということではなく、昔の古き良き時代のクラブハウスの雰囲気でした。

そんな中で、壁には三菱ギャラントーナメント開催の案内ポスターが額に入れて掲出されていました。

また、受付前方の階段を上がると、2階にはクラブハウスのレストランがあります。

27ホールのコースにしては席数は少ないなぁという感じですが、陽の光が入り明るい雰囲気のレストランでした。

まず、岩手山コースの特長とは?

距離はレギュラーティーで3169ヤードと、それほど長いコースではありません。

しかし、各ホールは、ストレートに打って行けるホールはほとんどなく、丘陵の地形をそのままコースにした感じです。

そのため、ショートホール(パー3)を除いて、アップダウン、左右のドッグレッグのホールが大半を占めています。

ヤーデージでは距離的に短くても、打ち上げのホールもあり、手前に深いバンカーが配置されていたり、とても難しい造りです。

また、フェアウェイの幅は普通ですが、フェアウェイでも2打目が狙えないところがあり、球を操る技術が求められます。

なぜなら、特にドッグレッグホールで、フェアウェイの左右に互い違いで間隔を空けて配置されている松の木があるからです。

「南部富士」のドッグレッグでは、コーナーの安全サイドに飛ばしていっても、2打目がスタイミーになるようなホールもあります。

これが、ピンポイントに運ぶショットが求められる理由です!

岩手山コースのロングホールは難しい!

ロングホール(パー5)が難しいというのが鮮烈な印象です。

一般的に、ロングホールはパーが取りやすいのですが、「南部富士」のロングホールは、距離はそれほど長くなくても、一筋縄では攻められない難しさです。

岩手山コースのロングホールはその典型です!

まず、2番・515ヤード・ハンディキャップ(HD)5は、ほぼ真っすぐなロングホールです。

このホールは、遠くにグリーンは見えますが、フェアフェイがS字になっていて、ティーショットの落ち場所は左傾斜、2打目はフェアウェイ左サイドにある大きな木のすぐ横の狭いエリアに打っていかなければなりません。

狙いが絞られる難しいホールです。グリーンも大きく、傾斜もありました。

5番・515ヤード・HD1のロングホールは、右傾斜のフェアウェイに打っていき、2打目は左の山すそに沿って打っていきます。

見えないところに打つ勇気と正確な方向性が必要です。このグリーンも大きく、しかもオーバーは禁物です。

気の抜けないロングホールでした。

岩手山コースのミドルホールは難関!

コース概要でご紹介した、ドッグレッグで安全サイドに打ち過ぎては駄目だという、典型的なミドルホール(パー4)をご紹介します。

3番・352ヤード・HD2の左ドッグレッグのホールです。

ティーショットは普通の距離なら、左山すその木の上を越していきます。しかし、飛び過ぎたり、当たりが薄くて距離が足りないと、2打目でグリーンとの間にある左右の松がスタイミーになります。

2打目は結構な打ち上げで、グリーンの手前には深いバンカーがあります。ここも、グリーンが大きく、3パットの危険があります。

9番・368ヤードのミドルホールは、HD9の右ドッグレッグのホールで、200ヤード弱のコーナー左が狙い目です。

安全な左に飛ばし過ぎると、2打目でフェアウェイ左側の松があって直接狙えません。飛ばないと、右コーナーの木がスタイミーになります。

2打目はかなりの打ち上げで、グリーン前には深いバンカーがあります。3打目勝負も考えるホールです。