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アンカリング規制に対応した長尺・中尺パターの打ち方をプロから学ぼう!
一般的なパターよりも長い「長尺・中尺パター」は、通常のパターよりも、より安定したパッティングができるということで、プロゴルファーの間でもよく使われていました。
しかし、2016年1月1日から、身体の一部を支点とするアンカリングを規制するルールができました。それにより、軒並み成績を落としたプロたちがいるのも事実です。
ただ、長尺・中尺パターそのものの使用が禁止されたわけではありません。新ルールに則った打ち方で、長尺・中尺パターは今後も使い続けることが可能です。
ここでは、長尺・中尺パターを使うメリットデメリットから、打ち方、おススメクラブまでをご紹介していきます。
目次
長尺パター、中尺パターとは?
そもそも、長尺パターと中尺パターとはどういうクラブでしょうか?
それぞれがゴルフパターの形状の一つであり、この二つのパターと、最も多くの人が使用している通常のパターとの違いは、シャフトの長さにあります。
一般的なパターは、シャフトの長さが32~34インチ前後です。対して、中尺パターは38インチ前後、長尺パターは48インチ前後のシャフトを持つパターです。
ドライバーの一般的な長さが45インチ前後と言われていますので、長尺パターになると、それよりも長いシャフトを持っているのです。
通常のパターを使い慣れている人にとっては、どう扱って良いか分からない人も多いと思われる長尺・中尺パターですが、実際はプロも使っているほど安定したパッティングができるパターなのです。
長尺・中尺パターを使うメリット・デメリットは?
ではこの、一般的なパターよりも長いシャフトを持つ長尺・中尺パターは、取り入れることで一体どんなメリットがあるのでしょうか?
まず、規制前のお話をします。
長尺・中尺パターともに、使用する際、長いグリップが体に当たります。
お腹や腕でパターを固定して、そこを支点として、ヘッドを振り子運動させることで、無駄な動きをなくした正確なパッティングができるようになると考えられます。
シャフトが長く全体の重量があるため、ショートパットでも振り急ぎが起きにくく、ゆっくり安定したストロークができることが特徴です。長尺・中尺を使うことで簡単にスコアアップが狙えると言います。
また、通常のパターよりも前傾の姿勢を浅く取るため、ロングパットで全体のラインを把握しやすいことも、パット数を減らす秘訣です。長時間練習をしていても、腰への負担がかかりにくいというメリットも挙げられます。
逆に、長尺・中尺パターを使用する上でのデメリットは、通常のパターを使っていた人が長尺・中尺パターに持ち替えると、普通のパターよりも遠心力が強いためにボールの転がりが良くなり、距離感が合いにくくなる点が考えられます。
そのため細かいコントロールが難しく、どんな距離でもしっかりと入れていくには、しばらくの期間、慣れるために練習が必要になるでしょう。
重量が通常のパターに比べて重いため、その長さとともに、持ち運ぶのに不便と感じることも挙げられるかもしれません。
このようなメリット・デメリットがある長尺・中尺パターですが、2016年1月1日以降、上記したような体の一部分に固定して使う使い方(アンカリング)が禁止となりました。
長尺・中尺パターがルールでNGになった理由
長尺・中尺のパターを身体の一部分に固定して使う「アンカリング」と呼ばれる技法は、2016年1月1日から禁止されました。
プロの中でもアンカリングを使っている人は多く、かなりの波紋を呼びましたが、その声虚しく、2019年の現在においても規制は継続したままです。
禁止された理由は、長尺パターのプレーヤーが「勝ち過ぎ」たこと。
特に、アダム・スコットが、2013年に初めてマスターズで勝利してからというもの、アンカリングするとパッティングが簡単になり過ぎるとツアープロの間でも批判が出てきました。
また、身体の一部にクラブを固定して、それを支点としてスイングをすることは、ボールを打つときにクラブ全体の動きを調節する動きであり、クラブを手に握り、ボールに向けて自発的にスイングをするというゴルフゲームの本質を変えてしまうから、とも言われています。
アンカリングしたストロークは、長い間受け継がれてきた、伝統的なパッティングストロークにとって代わるかもしれない、という恐れからです。
最終的には、すべてのクラブは自由にスイングされるべき(フリースイング)を保証する、という考えが尊重されることになりました。
禁止されたのはアンカリングだけで、長尺・中尺パターを使うこと自体は禁止されていません。なので、その後もアンカリングをせずに、長尺・中尺パターを使い続けているプロも存在しています。
規制後でもできる長尺・中尺パターの打ち方は?
2016年の規制を受けて、短尺パターに移行したプロも数多くいました。けれど、その中の多くが、また、長尺・中尺に持ち替え、アンカリングをしない、規制後のルールに則ったストロークで、長尺・中尺パターを使い続けているのです。
前述した、長尺パターを使用するアダム・スコットも、その一人。
彼は、以前使っていた長尺パターよりも少しヘッドの小さいものを使うことで、アンカリングしなくても、ストロークのブレを少なくし、長尺パターのメリットを十分に発揮しながら、プレーを続けています。
日本のプロゴルファー市原弘大選手も、長尺でしか感じられないフィーリングを大切にし、長尺パターを使い続けています。
長尺パターの、ルール違反でない基本的な打ち方をご紹介します。
1.グリップ
長尺パターでは、左手で握る人も右手で握る人も、それぞれの握り方が存在します。
まず左手グリップですが、親指が上に来るようなイメージで、順手(左手が上)でグリップを握ります。長尺パターであれば、ちょうど左手が、胸の前に来るような位置だと思います。
右手は、左手とは違い、親指と人差し指の間にシャフトを挟むようなグリップをします。このグリップをすることで、右腕や右手首の角度を自然に保つことができます。
2.アドレス
長尺パターは、左脇を締めてアドレスすることが特徴です。
このとき、肘から先の腕を身体に密着させてしまうと、ルール違反となってしまうので注意が必要です。
左脇を締めてアドレスすることで、身体のブレが最小限となり、方向性の向上につながりますので、特に意識したい点となります。
3.ストローク
左手を支点として、右手でクラブをストロークさせる方法が、長尺・中尺パターの打ち方です。
左手は動かさず、右手だけを動かすように意識することが大切です。支点がブレにくく、ミスパットが出にくいため、ぜひ参考にしてください。
中尺パターの場合、この長尺パターと同じ打ち方の他に、通常の短尺パターの、マレット型と同じような打ち方も有力です。
中尺といっても、通常のパターよりもシャフトが長いため、前傾姿勢を浅くし、「ストレート軌道」でスイングを行いましょう。
他にも、中尺パターには、グリップの中間部を左手で握り、グリップ全体を左腕に沿わせて固定させてから、右手を添えてストロークを行う「アームロック式スタイル」というものも存在します。
パターと左腕を一体化させるこの打ち方はUSPGAプレーヤーでも使用者が多くなっています。
練習の中で、いろいろと試してみて、やりやすい打ち方で取り組んでみてください。
今から長尺・中尺パターを手に入れるなら、オデッセイの2タイプがおススメ
いかにストロークを変えたとしても、以前のクセや無意識の内にアンカリングをしてしまって2打罰のペナルティを受けてしまっては、とてももったいない話ですよね。
それを防ぐ対策として、一般的な48インチの長尺パターよりも少し短い、46インチの長尺パターを使っているプロもいるということです。
さらに、アンカリング規制以降、一度はゴルフ場から存在が消えてしまうかに思われた長尺・中尺パターですが、再びそれを手に戻ってくるプロも増えてきたことから、再度脚光を浴びています。
パット数を少なくする対策として、長尺や中尺パターを試してみようかなと思う方は、2019年5月、オデッセイから発売された、長尺・中尺それぞれのパターを試してみてはいかがでしょうか?
長尺タイプの「BROOM STICKパター」は、その長さ、さらにコンパクトな45インチ。2ボールのヘッドタイプを持ち、フェースには「ホワイト・ホットインサート」の、柔らかく静かな打音と、プロのような順回転を生む「マイクロヒンジ」が合わさった、
「ホワイト・ホット・マイクロヒンジ・インサート」が搭載されています。
また、上記の打ち方で解説をした、「アームロック式」のスタイル用に開発された39インチの中尺パター、「ARM LOCKパター」。
こちらは2つのヘッド形状から選択ができます。アームロック式で構えたときに、自然と飛球方向に向けてグリップを傾けることになりますので、ヘッドには大きなロフト角が必要です。ARM LOCKパターのロフト角は7度。
長尺・中尺と、それぞれのパターを試してみるのも良いチャレンジになるかもしれません。
長~いクラブを使いこなしてパター名人になろう!
パターと一言で言ってっても、かなりの種類があります。その中で長尺・中尺パターはスコアアップに貢献し、愛用されてきたクラブです。
アンカリングが禁止になったからといって、そのメリットが失われたわけではありません。
規制されている中でどのような打ち方をするか? どのようなクラブを使うか? 考えて、対策していくことが大切ですね。
今後も、長尺・中尺の新しい使い方やクラブが開発されるでしょう。スコアアップはいつでもできます!