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ゴルフクラブ

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ゴルフクラブメーカー、ピン(PING)のはじめの話

ピンの創業に関する話です。

35周年記念パターを発見

先日、自宅のゴルフクラブの整理をしていたら珍しいパターが出てきました。

メーカーはピン社、最近では国内では渋野日向子選手を始めとする多くの女子プロゴルファー、海外ではババ・ワトソン選手などのメジャーチャンピオンなどが契約する老舗ゴルフクラブメーカーです。

契約外でも同社のクラブをキャディーバッグに入れていることもあり、信頼されている証拠だと感じました。1990年代〜2000年代はたくさんの新興ゴルフメーカーが現れて、やや押され気味のメーカーでしたが、近年では見事に復活した印象があります。
 
そして出てきたパターは「PING−N−PING 35th ANNIVERSARY Limited Edition」。

つまり、ピン35周年記念モデルです。

写真を見ていただけるとわかりますが、とても特徴的な形状です。8000本限定のクラブだそうで、限定品の響きに惹かれて購入したことを記憶しています。

このヘッド形状に今日のピンスピリットが集約されているようなことを感じて、少しピンの歴史を紹介したいと思います。

1960年代のアメリカ

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ピン社の創業者はカーステン・ソルハイム氏、創業の年代は1960年代のアメリカ。大手電気メーカー「GE」のエンジニアをしていたそうです。
 
43歳でゴルフを始めましたが、パターがとても苦手だったそうです。

1960年代当時のゴルフメーカーといえばマグレガー、ウイルソン、スポルティングなどが隆盛を極めていました。ドライバーはパーシモンウッド、アイアンはマッスルバック、パターはL字型かT字型のパターくらいしかありませんでした。

ソルハイム氏は自身のスコアアップのために苦手なパターを克服すべく、グリーン上で練習に励むのかと思いきや、カルフォルニア州レッドウッド自宅のガレージでオリジナルのパター製作に勤しむことになりました。

アメリカの多くのベンチャーが自宅のガレージから生まれる話をしばしば耳にしますが、ここでも同じでした。アメリカらしいストーリーです。

ヒールトウバランス(HEEL TOE BALANCE)

数年の試作期間を経て、科学的な思考と考察や計算をもとにパターは完成しました。

カップインの確率を高めることで大事にしたことは、真っすぐに転がりの良いパターを作ること。

1960年代のパターは、前述した通りL字型やT字型のパターでした。

単一の金属を成型していることでクラブのスイートスポット(芯)が非常に狭く、常に同じ転がりのパッティングをすることが難しいものでした。

ソルハイム氏の考えでは、飛行機は翼に燃料が充填されている時の方が安定するという現象に注目して、「ヒールトウバランス」を着想しました。

これは現代のゴルフクラブ工学にも影響を与えており、ミスヒットの少ないクラブを作る上で不可欠な要素です。

ピン社の初号機となった「1-A」と呼ばれたパターは、両端に比重を残すために中央部分をくり抜き、ソールにもスリットと呼ばれる切れ込みを入れたことでボールを打ったインパクトの時に「ピ〜ン(PING)」という音が鳴ることが特長でした。

もうおわかりかと思いますが、社名の由来はこのインパクトで響いた音でした。

素材はマンガンブロンズという金属比重の高いものを使用し、クラブ性能の向上を実現するためのものですが、ピンパターは製造する年代や工場移転などに伴う要因でマンガンの含有量が変化し「ピ〜ン」の音質にも変化があると言われています。

しかし、残念ながら以前の糸巻きボールから現在はウレタン系のボールに変化したために、パターヘッドもさまざまな素材の採用や形状を模索しているため、現在では打つと「ピ〜ン」と響くパターはピンにはありません。

最近インスタでジャスティン・トーマス選手やリッキー・ファウラー選手がパーシモンウッドなどの旧時代のクラブやボールでプレーする様子を観ることができましたが、打球音がなかなか良い響きでした。

ピンのすごいところ

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このパターを基に1967年に自らの名を冠したピン社の母体となるKARSTEN MANUFACTURING CORPORATION(カーステン・マニュファクチュアリング・コーポレーション)を設立。

この後、ゴルファーなら誰もが知るピン型パター「ANSER(アンサー)」が生まれ、絶大な人気メーカーとなります。

43歳からのエネルギーがすご過ぎます。そして50年以上経つ現在も、ソルハイム一族が経営されているそうで、数多くあるメーカーの中で非常に希有な存在だと思います。

1960年代の3大メーカーも、今はキャロウェイ、テーラーメイド、タイトリストなどに入れ替わり、ゴルフクラブメーカー業界の時流はとても激しいものです。

このゴルフクラブ業界で復活し再び注目を集めているのは、常に革新的なテクノロジーを開発し実装しているピン社だからこその底力だと感じました。

最近では、最新の新興ゴルフクラブメーカーといえばPXG社ですが、このクラブ開発担当者が元ピン出身ということを知り、すごいことになりそうな予感がしていたのですが、はたして……。

まだまだANSER誕生など、ピンに関しては語り切れないので、また別の記事で。