飛ばし屋の変遷。ドライバーの飛距離アップの歴史を振り返る

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毎年のように新製品が発売されるゴルフクラブ。

新しいドライバーの謳(うた)い文句は、いつの時代も「飛んで曲がらない」というのが常套句です。

コマーシャルに駆り出されたクラブメーカーの契約プロたちは「この新しいクラブを使うようになってから、10ヤードは飛距離が伸びました」などと口を揃えて言います。

これが毎年のことですから、この10年間で100ヤードも伸びたことになるのですが、そんなことはないことは、ゴルフを長くやっている人なら誰でも知っています。

実際のところはどうなんでしょう?

PGAの2020年末時点のスタッツによると、平均飛距離ナンバー1の飛ばし屋は、ブライソン・デシャンボー(写真)の337.8ヤード、ツアー全体の平均飛距離では295.4ヤードです(2021年1月4日現在)。

確かに驚くほどのビッグドライブの時代であることは間違いありません。

では、パーシモンヘッドに糸巻きボールの時代に遡って、飛距離の進化を検証してみましょう。

ジョン・デイリーの出現で300ヤードの時代に突入

ジョン・デイリーの出現で300ヤードの時代に突入

getty

まだパーシモン(柿の木)がウッドクラブの素材だった1980年、PGAツアーでもっとも飛ばしていたのはダン・ポールで、その平均飛距離は274.3ヤードでした。

ツアーでの平均飛距離は約257ヤードで、現在の女子プロのロングヒッターくらいだったのです。

ボールもまだ糸巻きが主流でした。

これが1990年になりますと、トップはトム・パーツァーの279.6ヤードで、ツアーの平均は262.3ヤードに伸びました。

10年かけて5ヤードくらいしか飛距離が伸びていないことがわかります。

時代が大きく動き始めるのは、ニック・プライスの欠場で、急きょ補欠出場し、全米プロを勝ってしまったジョン・デイリーの出現からでした。

デイリーがメタルドライバー(ヘッドの素材はステンレス)を引っ下げて、超オーバースイング(写真)で300ヤードをぶっ飛ばす姿に世界中が驚いたものでした。

彼は1997年にPGAツアー史上初めて平均飛距離300ヤード越えを達成すると(302ヤード)、2002年までは唯一の「300ヤードオーバーのプレーヤー」として、PGAツアーに君臨していました。

もっとも、このシーズンのツアー平均は約280ヤードでしたから、他のプレーヤーも1990年からの約10年で、20ヤード近くも飛距離を伸ばしています。

この理由は、ドライバーヘッドの素材がパーシモンからメタルに変わり、ボールも糸巻きから2ピースが主流になったからでしょう。

2003年、クラブとボールの進化によって、飛距離が大きく伸び始めた

2003年、クラブとボールの進化によって、飛距離が大きく伸び始めた

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そして、問題の2003年がやってきます。

この年、プロゴルファーたちの飛距離が一気に伸びたのです。

このシーズンの平均飛距離のトップはハンク・キーニーで321.4ヤードでした。

さらに、ツアーの平均飛距離も285.9ヤードと、一気に280ヤード台後半まで伸びたのです。

このシーズンは、平均300ヤード以上飛ばしたプレーヤーは9人もおり、まさにこの年から「ドライバーショットで300ヤード飛ばしても、誰も驚かない時代」に入ったといっていいでしょう。

ところが、そこから10年、ロングヒッターたちの記録もツアーの平均飛距離もピタリと止まりました。

2004~15年は、バッバ・ワトソンやダスティン・ジョンソンなど、現在脂の乗っている飛ばし屋たちが登場してくるのですが、彼らの平均飛距離は約315ヤードほどで、300ヤードオーバーのプレーヤーの数も大体20人前後で、ツアーの平均飛距離も290ヤード前後でほぼ一定していました。

2003年に飛距離が大きく伸びた要因は、ヘッド素材がステンレスから大型チタンになったことに加えて、ボールも大きく進化したからです。

「タイトリストPro V1」に代表される「多重構造+ソフトカバー」のボールが各メーカーによって次々開発され、さらにシャフトの改良も重なって、この年、一気に飛距離が伸びたのです。以来、その伸びが止まっているのです。

クラブメーカーには「10ヤードも伸びるなんて嘘でしょ」と、文句のひとつも言いたくなりますが、でもこれでいいのではないかとも思います。

飛び過ぎても面白くなくなるのがゴルフ!?

飛び過ぎても面白くなくなるのがゴルフ!?

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これ以上飛距離が伸びてくると、ゴルフコースはもっと距離を長くしなければならなくなり、例えばオーガスタナショナルはこの20年で500ヤード近くもコースの全長を伸ばしています。

近い将来、全長8000ヤードなんてコースが当たり前になりかねません。

そうなってしまうと、トーナメントを主催する側は、コースを探すだけで一苦労してしまうことでしょう。

我々一般ゴルファーだって、これ以上コースの全長が長くなってしまうと、「たまにはチャンピオンコースのバックティーからプレーしてみようよ」なんて希望も持てなくなってしまいます。

それでは、ゴルフがちょっとつまらなくなってしまいます。

プロの豪快なドライバーショットは、確かに一見の価値はあります。だからと言って、飛び過ぎてコース効力の醍醐味がなくなるのも面白くありません。

この「飛び過ぎ問題」、あなたはどう思いますか?
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