カカトでクルミを割る!〜スコットランドの諺から学ぶゴルフ上達法〜

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スコットランドの諺(ことわざ)から学ぶ上達法、第2回目は飛距離アップです。

最近、スイングメソッドで話題になっている地面反力。USPGAのプロ選手たちもこぞって取り入れていますね。

でもこのメソッド、スコットランドで諺になるほど知られていた打法なのです。

地面反力って何?

地面反力って何?

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最初に、今のゴルフのトレンドワードにもなっている地面反力について説明しましょう。

トップからダウンスイングにかけて、左足を強く踏み込むことで働く地面からの反力を利用し、上半身の前傾姿勢を安定させてヘッドを走らせる、というのが基本的な理論です。

ここで誤解しやすい言葉が反力。反力とは反対の力、すなわち外力と均衡の取れた力のことです。

……これではあまりわかりませんね。例を挙げてみましょう。

地面に2本の足で立っています。この時、2本の足には下向きの力が働いており、地面からは反対の力が働いているため、2本の足で立っていてもバランスが取れているのです。

厳密に言うと摩擦係数とか抗力とか、物理法則がいろいろ絡んできますが、ここでは省略。

これが片足だけで立つと地面からの反力が弱まり、重心位置が支持基底面からずれやすくなり、バランスを取るのが難しくなります。

ちなみに支持基底面とは支点を囲んだ面のこと。

2本足よりも4本足の動物が安定しているのは支持基底面が広いから。

また2本足でも爪先立ちより、スクワットのように踏ん張ったほうが安定度は増しますね。

これは踏ん張ることで下向きの力が大きくなったため、反力も比例して大きくなっているからなのです。

似たような言葉で反発力があります。でも、これは相互作用で反発、すなわちお互いを遠ざけようとする力。

地面反力はあくまで足の下に向いた力に対する均衡な力です。

カカトを上げたら強く下ろす!

カカトを上げたら強く下ろす!

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では本題、スコットランドの諺「ボールを遠く飛ばしたいならダウンスイングで胡桃(クルミ)を割るくらいに強く左踵(カカト)をおろせ」です。

左足の踵の使い方、昔も今も変わっていません。

ベタ足であれば左膝の絞りや腰の回転を抑えられるので、安定したコンパクトなトップ位置をキープできます。

逆に左踵を上げれば体の自由度が高まり、腰も大きく回せるのでパワーを蓄えられるトップ位置になりますね。

大事なのがダウンスイングからインパクトにかけて、上げた踵を強く下ろすこと。トップ位置までに関する左踵にセオリーはありません。

以前に比べるとヒールアップする男子プロは少なくなりましたが、それでもフィル・ミケルソン選手や、最近ではヒップの使い方が特徴的なマシュー・ウルフ選手などはヒールアップをしています。

左踵を地面につけたままでも上げた状態でも、踵を強く地面に押し付けるようにすれば重心位置がズレることはありませんし、腰の回転もスムーズに行えます。

今シーズン、何かと話題に上がるブライソン・デシャンボー選手はベタ足ですが、インパクトからフォローにかけては左足の爪先が踵を軸に4分の1回転、つまり飛球線に向いています。

それだけ、踵に強い地面反力を受けていることがわかりますね。

飛距離に悩んだらヒールアップにトライ!

飛距離に悩んだらヒールアップにトライ!

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地面反力は安定のためのメソッドです。

したがって飛距離を伸ばすのであれば諺に書かれているように、ヒールアップすることが方法のひとつです。

腰をフルに回すことで左足の捻じれが大きくなりますし、左肩も深く入れることができるはず。

そしてダウンスイングで左踵を地面に、それこそ胡桃を割るくらいの気持ちで強く押し付けるわけですね。

……実際に胡桃を踵で割ったことのある人はいないでしょうけれど。

かつては、歴史に残るゴルファーの多くはヒールアップしていました。

ボビー・ジョーンズにジャック・二クラウス、アーノルド・パーマーにトム・ワトソンなどなど。

もちろんヒールアップしていない選手もいました。

アメリカツアー64勝を誇るベン・ホーガンはその代表格。

パーシモン(柿の木)ドライバーと糸巻きボールの時代に270ヤード以上飛ばしていたのですから、ヒールアップと踵を強く踏み込む方法、飛距離アップに試す価値アリですね。

地面反力とヒールアップを試す時の注意点

地面反力とヒールアップを試す時の注意点

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踵で胡桃を割る、すなわち地面反力を利用すれば飛距離アップも可能になります。

ただし、リスクがあることもお忘れなく。

地面反力は踵を下ろす力だけに作用するわけではありません。踵にかかる重心に対応するのです。

下ろした踵の位置がアドレス時と異なっていれば重心位置が動いてしまい、体幹のブレにつながる可能性があります。

さらに悪いのは支持基底面より重心位置が左にはみ出すこと。いわゆるスウェーですね。

また地面反力を強く意識すると左足が突っ張り、腰の回転や上体の捻転を止めてしまうこともあります。

スイングが大きくなった分、飛ばそうという気持ちが生まれてくることもリスクのひとつ。

ベタ足からヒールアップを試みるなら、最初から大きく上げずに高さを少しずつ調整することをおすすめします。

それにしてもゴルフの諺に胡桃が出てくるのはいかにもスコットランド的。

なにしろ16〜17世紀の英国、高級家具といえばウォールナット(胡桃)素材が定番だったのですから。
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Taddy Bear

大手建設会社の月面都市計画から押入れのカビの取り方まで、あらゆるジャンルの記事を書き続け、気がつけばキャリア30年のライターです。 ゴルフ関連ではプロから著名人、アマチュアまで幅広い人物のインタビューを中心に執筆していました。仕事での関わりは長くても、ゴルフの楽しみはまだまだ入り口しか知りません。 皆様と一緒に楽しめる記事を書きたいと思っています。 なお、Kindleにて短編集「アームチェア・ゴルファーの優雅な午睡」などを出版しています。 https://twitter.com/TaddyBe67848124

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