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ゴルフスイング

Yanagi@TPIトレーナー&ドラコンプロ

「肩を回す」という落とし穴!!それじゃスウェーですよ?

ゴルフスイングについてアドバイスを求めると「右手は使わない」、「肩をしっかり回す」、「バンカーはわざとダフる」など、いろいろな表現で課題解決の道標を示してもらえると思います。

ただ、ここで気を付けなければならないのは、「そのアドバイスの真意は何か」ということを考えることや、アドバイスをしてくれた人のゴルフレベルや筋力などによって、注意する点が違っているということです。

例えばドライバーショットのアドバイスで、野球部出身の筋肉マンと握力の弱い人それぞれに「右手は使っちゃダメだよ」とアドバイスした場合、結果はまったく違うものになります。

おそらく、野球部出身の筋肉マンはチーピン地獄から脱出しナイスドローが出ますし、握力の弱い人はインパクトで当たり負けてヘロヘロのスライスボールが出るでしょう。

このように、アドバイスをする人、アドバイスを受ける人、それぞれの特徴を理解した上で言葉を受け取ることが大切です。

とりわけ、雑誌や書籍でのアドバイスは、プロからのアドバイスですので、そもそも話のステージが合っていない可能性もあります。

そこで今回は、私も失敗した「肩を回す」というアドバイスについて、正しい意味をご紹介します!

肩は回すのでななく「右肩を引き」ます!

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いきなり結論ですが、深いトップを作るための肩の動きは、「肩を回す」のではなく「右肩を引く」ように使います。

スポーツの動きを文字に起こすというのは非常に難しい作業で、必要以上に混乱させ、誤解を招いてしまう物です。

特にプロの場合は、基本的なスキルは習得済みで、その上で「感覚」を「言葉」にして伝えるため、文字通りそのまま読むと、まったく望まない結果・スイングフォームになってしまうことがあります。

プロのようなトップオブスイングを作る際、写真で見る限り

・左肩があごの下までしっかり回っています
・左肩が右ひざの上まで回っています
・背中が飛球線方向を指すまで左肩が回っています

というように、すごく肩が回った状態です。

しかし、「肩」を回す意識を強く持つと「体全体」が回ってしまい、スウェーしているようなフォームになりがちです。

単純に「肩」を回すイメージの場合、左肩が前に出てしまったり、軸が右にずれてしまったり、上体が起き上がったり、手打ちになってしまったり……。

というように、様々なミスショットを誘発する動きが出てきてしまう可能性があります。

また、腰から下も一緒に回ってしまうことで、上半身と下半身の捻転差が生まれず、ヘッドスピードも上がりません。

「肩を回す」意識の弊害

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「『肩を回す』という意識を持ってください」とアドバイスされれば、ほとんどの人が左肩を回し、左肩をあごの下に入れるように頑張る動きが出てくると思います。

その結果、

・体が右にスウェーする
・右股関節が緩みインパクト時に体が起きる
・トップオブスイングで手の位置が低くなる

といった弊害が出てきます。

人間の体はゴムではありませんので、捻れた分、体が逆方向に捻り返す力が強くなるということはありませんが、それでもやはり上半身と下半身の捻転差は必要です。

上記の動きは、飛距離の出にくいスイングを固める動きになるので気を付けましょう。

右肩を引くことで軸ができパワーも溜まる!

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右肩を引く動きによって、左肩をあごの下に入れ、背中を目標方向に向けていきましょう。

この動きができれば、

・頭の位置がほとんど変わらない
・上体が深く捻られる
・右股関節の締まりをキープできる
・軸がズレない
・トップでの手の位置が高くなる
・スイングアークが大きくなる
・ダウンスイングへの動きがスムーズになる
・振り遅れしにくい

といった効果を期待できます。

「肩を引く」のが難しければ「右のお尻」に集中しよう!

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テークバックでしっかりとパワーを溜めるために、「右肩を引く」というのは大切なポイントですが、それではイメージしにくいという人もいると思います。

体が硬かったり、「これからダイエットを始めようかなー」という、ちょっと身体が大きくなってしまった人は、「肩を引く」という動作がつらく感じる場合があります。

そんな方は無理して「肩を引く」のではなく、「右のお尻」をかかと方向に突き出す感じで動かしてみましょう。

肩を回すきっかけがつかめない人は、腰の動きに意識を集中させたほうがスムーズに身体が動くこともあります。

「右のお尻」をかかと方向に突き出すようなイメージで右腰を斜め後ろに動かしていきます。その動きにつられて右肩も後ろに引かれていきます。

上体の捻れが生まれにくい人は、腰を優先して動かし、上体が自然に動いてくる感覚をつかんでみましょう。

右腰の動きに連動して上体を右に向けていきますが、その際、体重を右足の内側でしっかりと支えることができれば、パワーのしっかり溜まったトップの形が完成します。

「右足の内側」が意識しにくい方は、右股の部分にズボンのシワができている状態をキープしてみてください。

身体が硬いと最初は十分に捻転できなくても、何回か練習を繰り返すことで可動域が広がっていきます。

下半身をなるべく動かさず、上体の捻りを感じながら素振りを繰り返してみましょう!