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ゴルフクラブ

Yanagi@TPIトレーナー&ドラコンプロ

飛距離を最大化するドライバースペックの考え方

ゴルファーたるもの、いつになってもビッグドライブに憧れますよね。

クラブメーカーも、ドライバーの飛距離が1ヤードでも伸びるよう、日夜研究を重ねています。

そこで今回は、飛距離に特化したドライバースペックの選びについて、物理学の面から解説していきます!

ゴルフは物理学!!

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ゴルフはスポーツである反面、「ボール」や「クラブ」を使うという点では、物理学の視点からいろいろなデータを計算することができます。

例えば、ヘッドスピードが1メートル/秒(m/s)上がると5.5~6ヤード飛距離が伸びるとか、最大でヘッドスピードの1.4倍のボール初速を出すことができるとか、いろいろなデータを小耳に挟んだことがあると思います。

これらは経験則から導かれたのではなく、物理学の計算式から算出され、それをざっくり丸めたものが「ゴルフの常識」になっています。

ここで問題となってくるのは、その「ゴルフの常識」が「方向性」を高めるために広まったものなのか、それとも「飛距離」を伸ばすために広まったものなのか、それぞれ正しく理解されているかという点です。

振り切れる程度に重いドライバーが飛ぶのか?

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クラブ選びの相談をすると「振り切れる程度に重いもの」がいいと、よく言われませんか?

ただここでの「いい」は「方向性」と「飛距離」どちらにいいのでしょうか?

クラブヘッドがボールに与えるエネルギーについては、「力学的エネルギー保存の法則」などを使ってある程度計算することができます。

細かい計算式は割愛しますが、

「Aさん」

・一般的なボール(46グラム)
・ちょっと軽めのドライバーヘッド(200グラム)
・ヘッドスピード40m/s

「Bさん」

・一般的なボール(46グラム)
・かなり重めのドライバーヘッド(300グラム)
・ヘッドスピード40m/s

の2人がドラコンを競った場合、質量が1.5倍のドライバーヘッドを使ったBさんが、Aさんの1.5倍飛ばせるわけではありません。

これは経験則で理解できると思いますが、実際には5~10%程度しか飛距離は変わりません。

確かに、クラブヘッドが重いほどボールに与える「衝撃力」が増すため、ボールの初速は上がります。

しかし問題はその影響度。

頑張って重いヘッドを振っても、それほど影響力はないのです。

「重量」が重くなると手打ちを防げますので、スイングは安定します。

つまり、ここでの「いい」は、方向性を増すためのアドバイスと考えましょう。

長尺シャフトのほうが飛ぶのか?

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シャフトを1インチ伸ばすとヘッドスピードが1m/sアップすると言われていますので、例えばAさんが2インチシャフトを伸ばすことでヘッドスピードも2m/s上げることができた場合、8%程度「遠心力」は大きくなります。

ヘッド重量を1.5倍にするのと同じくらいの効果が見込めるのです。

また、2インチシャフトを伸ばすことでヘッドスピードが1m/sしか上がらなかった場合でも、3%弱「遠心力」は大きくなります。

ヘッドスピード「1m/s」の重要性がよくわかりますね。

あまりに長過ぎるシャフトでは芯をとらえにくくなりますが、飛距離においては「シャフトを伸ばしてヘッドスピードを上げる」ということが1つのキーポイントになります。

飛距離を最大化するおすすめのドライバースペック

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ボールへ与える「エネルギー」は、物理的な法則から考えると「重量<速度」となります。

頑張って重いクラブをそれなりのヘッドスピードで振るよりも、軽いクラブをビュンビュン振るほうがボールは飛びます。

飛距離特化型のドライバースペックとしては、

・ヘッド重量……ヘッドスピードが落ちないなら重くしてもOK
・シャフト重量……軽くしてヘッドスピードを上げる
・シャフト硬さ……「しなり」でヘッドスピードを上げたいので、やや柔らかめ
・シャフト長さ……長くして振り切れないのなら短くてもOK

となります。

カーボンシャフトの進化によって「軽硬」が流行っていますが、このセッティングは

・軽くすることでヘッドスピードを上げる
・硬くすることでコントロール精度を上げる

という一石二鳥を狙ったスペックであると言えます。

みなさんも一度、ドライバースペックを見直してみたらいかかでしょうか?