若い女子プロに海外志向はない?それは日本のツアーが面白いからなんです!

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若い女子プロに海外志向はない?それは日本のツアーが面白いからなんです!

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今更ですが渋野日向子選手の全英女子オープン最終日、エキサイトなゲームでした。

最終日の7番パー5、左右に分かれたフェアウェイで、2オン狙いは通常右から行くのに左ルートからの2オン、それに12番の1オンは観客を驚愕させましたね。

それから優勝インタビュー。

「米LPGA参戦の資格ができたけれど?」という質問に対しての答えは「日本のツアーに専念する」。

渋野選手だけでなく、国内の他の選手にもあまり海外志向が見られません。

これってInsularism(島国根性)?

いえいえ、日本のLPGAツアーが海外に出るよりも面白いから、なんです!

パイオニアが築いた礎

パイオニアが築いた礎

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ゴルフに限らず、およそあらゆるプロスポーツにおいてプレーヤーが母国に留まらず海外へ進出するのは、母国が『狭く』感じて海外(とくにそのスポーツの本場国)が『広く魅力的』に見えるからです。

ベースボールでは野茂英雄氏がそのパイオニアでした。

近鉄バッファローズ(2005年に解散)に任意引退扱いされた後、メジャーリーグに挑戦した時は、マスコミが“野球界の掟破り”とか“メジャーリーグで活躍できるわけがない”と散々『悪者』扱い。

これが島国根性であり、野茂氏が『狭く』感じた要因でしょう。

USLPGA(アメリカ女子ツアー)で日本人初、そして未だに他の日本人選手が成し遂げていない賞金女王を獲得した岡本綾子プロは、1981年に国内最多勝タイとなる8勝(出場28試合)を挙げ、翌年、USLPGAに挑戦しました。

ちなみに宮里藍氏は、2010年6月に世界ランク1位を獲得したもののUSLPGAの賞金ランクは2009年の3位が最高でした。

岡本プロは国内で1勝もしていない時代から「アメリカへ行きたい」と言っていたので、こちらは『広く魅力的』に見えたことが要因ですね。

この時もマスコミは「勝ってもいないので生意気だ」と叩いていました。

余談ですが、当時のマスコミ、昨今のインターネットで正義感を振りかざすサイレントマジョリティとよく似ていますね。

それはさておき、2人のパイオニア以降、ベースボールではイチロー選手、ゴルフでは宮里藍選手というスーパースターが表れて、ようやく日本国内のマスコミやスポーツ界の機構、そして選手やファンまでも海外流出というアレルギーから脱却したといえます。

熾烈な日本LPGAツアー

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パイオニアの時代から移って現在。

LPGAツアー、2019年度の「大東建託・いい部屋ネットレディス」までの優勝者回数を振り返ってみましょう。

トップは鈴木愛選手と申ジエ選手の3勝、続いて上田桃子選手や渋野選手、成田美寿々選手に勝みなみ選手の2勝、1勝には比嘉真美子選手や河本結選手、イ ミニョン選手や原英莉花選手などがいます。

外国人に中堅、若年層とまさに百花繚乱。

USLPGAやLET(欧州女子ツアー)ほどではないにせよ、日本のLPGAツアーも選手層が厚くなっているのは事実です。

優勝争いだけではありません。

LPGAツアーに残るためには獲得賞金ランク50位以内に入らなければ年間シードを獲得できませんし、たとえQTを上位で勝ち上がってもリランキング制度という厳しい条件が待っています。

そして手強い存在となるのがステップ・アップ・ツアーの試合で揉まれてLPGAツアーに上がってくる選手たち。

今年の河本結選手や渋野選手がその代表格ですね。

これだけ熾烈に戦う条件が揃っている日本のLPGAツアー、ここで勝ってこそ本当の実力、高い満足感が得られると選手が思うのも当然の話でしょう。

それでも『狭い』と感じたら……

それでも『狭い』と感じたら……

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2019年の全英女子オープンに参加した日本人選手のうち、鈴木愛選手、渋野選手、上田選手、勝選手の4名は、アース・モンダミンカップカップ終了時点で獲得賞金ランク上位5名という参加資格によって出場しました。

じつはその時点のトップは申ジエ選手だったのですが、右手首の痛みから出場を辞退しました。

本来なら6位以下の選手が出場権を得るのですが、6位のイ ミニョン選手、原選手、河本選手などは口を揃えて「自力で出場してこそ全英。繰り上げでは意味がない」等の発言をしています。

頼もしい限りですね。

賞金額や移動の距離、観客のマナーや選手ファーストの姿勢など、日本のLPGAツアーには『広く魅力的』に思える要素が他にも数多くあります。

LPGA全体とこれまで試合を盛り上げてきた選手の長年の功績ですね。

日本の女子ツアーだって、海外ツアーに引けを取らないほど選手にとっても観客にとっても十分に『広くて魅力的』な試合なのです。

それでも。

あえて言うなら、海外のツアーでは日本でけっして味わうことのできない体験が待っています。

ヨーロッパの荒々しいコースやアメリカの戦略性に富んだコース、民族の違い、大陸の広さなど……。

それらを体験することはゴルフの幅を確実に広げてくれることは間違いありません。

日本のLPGAツアーが『狭く』感じたら、その時は躊躇せず海外へ飛び出してください。

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Taddy Bear

大手建設会社の月面都市計画から押入れのカビの取り方まで、あらゆるジャンルの記事を書き続け、気がつけばキャリア30年のライターです。 ゴルフ関連ではプロから著名人、アマチュアまで幅広い人物のインタビューを中心に執筆していました。仕事での関わりは長くても、ゴルフの楽しみはまだまだ入り口しか知りません。 皆様と一緒に楽しめる記事を書きたいと思っています。 なお、Kindleにて短編集「アームチェア・ゴルファーの優雅な午睡」などを出版しています。 https://headlock2004jp.wixsite.com/taddybear

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