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初心者

LITTLE RED BOOK

【耳と耳の間で考えるゴルフ05】高低差10倍の法則を知っていますか?

みなさん、こんにちは。

リトル・レッド・ブックです。

もうすぐ100切りという人から、次のような質問を受けました。

「2段グリーンが大の苦手です。球が上の段まで届かずに、打った場所まで戻って来ると、とても惨めな気持ちになります。何か距離感を出すためのいい方法はありませんか?」

実は私も初心者の頃は2段グリーンが大の苦手でした。

しかしある理論に出会ってからは、高低差に対する恐怖感はあまり感じなくなりました。

今ではこの理論を実践したくて、高低差のあるグリーンに出会えるとワクワクしています。

今回は「高低差のあるグリーンを克服する方法」について、耳と耳の間で考えてみましょう。

1.本日のグリーンの速さは9フィート、の意味について

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グリーンの速さは、スティンプメーター(Stimpmeter)と呼ばれる道具で球を転がして測定します。

これは1935年にアメリカのスティンプソンさんという人が考案したもので、現在はUSGA(全米ゴルフ協会)が標準化しています。

全長36インチのレールのような形をしており、先端から30インチ(76.2センチ)の位置に球を置く“くぼみ”があります。

測定時には、レールをグリーンの水平な場所に置き、このくぼみに球を置きます。

レールの後端をゆっくり上げて行くと、傾斜が約20度になった所で球が動き出します。

レールから転がり落ちた球は、グリーン上をしばらく転がって止まります。

ここで球が転がった距離が「本日のグリーンの速さ」になります(実際には両方向から計測し、平均を取ります)。

2.高低差10倍の法則

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グリーンの高低差と球が転がる距離の法則を導いてみましょう。

・スティンプメーターの先端から30インチのくぼみに置かれた球は、レールの傾きが「20度」になると窪みから外れて、傾斜を転がり始めます。

・その時の球の高さは地面から26センチになります(計算式:76.2センチ x sin(サイン)20度(0.342)=26.1センチ)

・一方、球が転がる距離は、9フィートすなわち2.7メートルになります。

・結論として、26センチの高さから転がした球は、270センチ転がるのです。

みなさんもうおわかりですね。

「ゴルフボールはグリーン上で、高低差の約10倍の距離を転がる」という法則があるのです。

私はこれを「高低差10倍の法則」と名付けています。

ただし、これだと高低差が0の時は転がらなくなってしまうので、実際の距離よりどれだけ転がるか(または転がらないか)の目安として、この法則を使用します。

3.高低差10倍の法則で2段グリーンを克服する

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さて「高低差10倍の法則」は、どのような場面で役に立つのでしょう。

例えば、歩測距離10歩の上りのパットを打つとします。

真横から見ると、球からカップまで「15センチ」の高低差があったとします。

球をカップに届かせるためには、平地での10歩より少し強めに球を打つ必要があります。

そのために、実際のカップの先に「仮想カップ」を想定して打ちます。

仮想カップは、実際のカップのどのくらい先に設定するべきでしょうか?

答えは「高低差15センチの10倍」すなわち150センチ(1.5メートル)先になります。

歩数に換算すると、10歩+150センチ(約2歩)=12歩

すなわち、平地における10歩分より2歩分だけ多い12歩のパットをすれば良いのです。

逆に、10歩の下りのパット(高低差15センチ)は、実際のカップより2歩手前、8歩の距離に「仮想カップ」を想定します。

簡単ですよね。

もちろんグリーンの芝は生き物なので、理論通りにはいかないこともあります。

しかし、少なくとも上の段まで球が届かず、打った場所まで戻って来てしまうというような悲惨な事態は避けることができます。

あるいは、下りのパットで球が加速してグリーンの外に飛び出してしまうというような大事故は避けることができます。

ところで、実際のラウンドでは高低差を瞬間的に目測しないとスロープレーになってしまうので注意しましょう。

私は、グリーン上の同伴競技者を「人間尺」として利用しています。

ゴルフシューズを履いた人の「地面から靴紐の結び目までの厚み」は約10センチ、「地面からくるぶしの骨の上端まで」は約15センチです。

男性の前腕(ひじから手首まで)の長さは約25センチで、足の長さ(靴のサイズ)とほぼ同じです。

直立している人の「地面から膝の骨の上端まで」は約50センチです。

ピンフラッグにストライプ模様がある場合、一番下の線は地上から30センチの位置を示しています。

このようなことを知っていると「球とカップの高低差」を一瞬で目測することができるのです。

これでもう「2段グリーン」は恐るるに足らずですよね。

ここで学んだ法則を、ぜひ実際のラウンドで試してみてください。

みなさんの明日のゴルフのお役に立てば幸いです。

リトル・レッド・ブックでした。