ゴルフスイング
飛太郎
ゴルフスイングの微妙なロジックたち 「前傾を崩すな!」編
こんにちは、飛太郎です。
今回はゴルファーなら必ず1年に100回は聞くであろう(?)、もっともポピュラーなロジック「前傾姿勢の維持」について。
ゴルフスイングにおいてこの前傾姿勢を維持することは、命題と言っても過言ではないでしょう。
ただ、それだけ重要なロジックであるからこそ、誤って解釈してしまうとスイングがいつまで経っても向上しません。
不肖・飛太郎とご一緒に、今一度オサライしてみませんか?
なぜ、前傾しなければならないのか
ゴルフスイングにとって、前傾姿勢は必須です。
先ほど「命題」とまで言ったことに、僕は絶対の確信を持っています。
その前段として、別途「ボディターン」についての記事も以前書かせていただきました。
そこで提起させていただいた内容と今回の記事の内容は、表裏一体の相関関係にあると考えて書きましたので、ぜひご一緒にお読みいただければ幸いです。
そもそも「前傾姿勢」なるものをなぜ取らなければならないのか。
まずすべてのゴルファー、それは熟達した上級者さん、中級者さん、初心者さんの別なく、すべての方にそこをお考えいただく必要があると考えます。
それは、ボディターンの記事にも書かせていただきましたが、ゴルフスイングが縦・横・斜めの、いわゆる3次元の角度と力を活用させる必要のあるものだからです。
線の動きでもなく、平面の動きでもない。
立体的に空間を支配し、足元にある対象物を、すべてのスポーツの中で最大級の飛距離で、正確に目的地点へと導かなければなりません。
そのための手段として、2018年の現段階でこの「前傾姿勢」をスイングに組み込むことが最も理想とされているのでしょう。
では、前傾姿勢に最適とされる前傾角度はどれくらいなんでしょう?
絶対的なアンサーは存在するのでしょうか?
前傾姿勢に潜む、「右へならえ」のワナ
あくまでも僕個人の見解ですが、先に申し上げておきますと、前傾姿勢に正解となる角度などあり得ません。
少なくとも僕は「あり得ない」と、誰に対してもどんな場所でも、きっと申し上げるでしょう。
それは前傾姿勢に限った話ではなく、何事においても絶対的なアンサーは、絶対に存在しない。
僕はそう思っているからです。
ただ一つ、もしも例外的にそのアンサーがあるとすれば、それは他でもないあなたご自身の中にだけです。
しかしこれだけを記事に書いて「はい、以上です」としてしまうと、「どないやねん!」となりますね(笑)。
なので、「前傾姿勢を崩すな!」というロジックに潜むワナをここでお伝えし、最後にそのワナを回避する僕なりの考え方をご紹介します。
ワナというと穏やかでない雰囲気が漂い始めますが、いえいえそれがどうして、決して大袈裟な表現ではありません。
生真面目な日本人気質が、ここで仇となってしまうのです。
それは、「前傾姿勢を取れ」「前傾姿勢を崩すな」と言われると、右へならえとばかりにプロのそれを模範にしてしまいがちなこと。
日常的にトレーニングを積み、毎日練習と研究に明け暮れるプロゴルファーを模倣する訳ですから、一般ゴルファーの身体に掛かる負荷は決して軽くありません。
そこまではまだ良いとしても、今度はその不慣れでキツい前傾姿勢を「崩してはならぬ!」と遵守し続ける訳です。
そうなると、本来のあなたの身体に適正な姿勢というものを見出せずに、「苦心惨憺(くしんさんたん)」という名の長いトンネルに突入してしまうことに。
「プロはこのくらいの角度でキープしてたじゃないか、だから正しいに違いない!」
そうして無理な姿勢を強いて、あなたはトンネルを走り続けてしまいます……。
それこそがこのロジックに潜むワナ。
これは僕の持論ですが、ゴルフだって人生だって、誰かの模倣物で完結するものなどあり得ません。
あなたのゴルフも人生も、あなたのもの。
あなただけの正解があるんです。
ちょっとここらで、発想の転換をしてみませんか?
崩してはいけない前傾姿勢→発想そのものを変えてみて!
さぁ僕の大好きな、発想の転換のお時間ですよ(笑)。
「前傾角度を崩すな!」というロジック、これ自体はスイングにおいての命題だと冒頭で述べた通り、その重要性は僕みたいなゴルファーでも理解できます。
「それができないから、苦労してんだよ!」
「頭でわかって、すぐ実践できるんやったら苦労せんわ!」
いろんな声が聞こえてきます……聞こえてきますよ……(空耳)。
発想の転換と言いましたが、どうでしょう。
「前傾姿勢を崩さないようにしなきゃ!」から、「崩れない程度の前傾姿勢でいいじゃん」に変えてみませんか?
例えば、しょっちゅう例に挙げて申し訳ないですが、ダスティン・ジョンソン選手のように深い前傾姿勢を「取らなきゃならない」理由はなんですか?
一流のプロゴルファーが行っていることだから、その模倣をしていればきっと間違いないハズだから……ですか?
先ほども申し上げましたが、彼ら一流のプロゴルファーは寝ても覚めてもゴルフとトレーニングの毎日、それが当たり前の日常ですよね。
そんな彼らが目的を果たすために編み出した所作は、前傾姿勢を含めて実に美しいもの。
模倣したくなるお気持ちも十二分にわかります。
しかしそれでご自身の身体の機能を無視して、プロのカタチばかり意識していては、あなたの本来のゴルフスイングは育たぬままとなってしまいます。
何より、それで身体を痛めたりスコアを崩したり、上達が感じられぬまま長い「トンネル」を走り続けていては、本末転倒ではないですか?
はやる気持ちはどうか抑え、まずは崩れない程度の前傾姿勢からあなた独自のスイング、その根幹を育ててみてはいかがでしょう?
プロのスイング要素は、それ以降に加味していくほうがさまざまな意味で得策だと思います。
最後にご参考になれば良いんですが、飛太郎がトンネルから脱出した方法をご紹介して、今回の記事を締めくくりますね。
どうか、身体の声に耳を傾けてみてください
深く揺るぎない前傾姿勢、高いトップオブスイング、鋭い切り返し、見惚れるようなフォロースルー、ビシっと決まったフィニッシュ。
数え上げればキリがないくらい、僕もいろんなプロを分析しては模倣しました。
そうこうしている内に身体を壊し、ふと気付きました。
「これは自分のスイングではなかったんだろう」と。
身体は何も言いませんが、その代わりに痛みと不具合で、僕に訴え続けていた気がします。
可動域を無視し、あるいは誤った理解でプロのスイングを取り入れ、さらに飛距離なんて求めて狂ったようなトレーニングを続けていれば、そりゃあ身体は壊れます。
ですからそれ以降、僕は身体の声を過剰なほどに聞くよう、心掛けました。
世のスイングセオリーに対しても、「それはなぜ? どういう原理で? 何が目的で?」と逆説や人体生理学も織り込んで、深堀りを始めました。
その結果、前段落のように発想を転換する重要性を知りました。
キツい姿勢や、身体に負担の大きい体勢。
時にはそれも必要なのでしょう、理に適っているのだとすれば。
しかし、それを取り入れ過ぎてスコアを落としたり、あるいは僕の場合は飛距離が落ちたり、持病が悪化していたのでは、まったく意味がありません。
前傾姿勢はとても重要です。
しかしそれは、目的を成就させるために存在するスイング要素の一片に過ぎません。
深い前傾が身体にキツいのであれば、前傾をやや起こして腰を反らさず、カカト寄りの荷重に切り替えるなどして、スイングの安定性を確保する。
縦振りにこだわり過ぎず、自分には自分のスイングアークがあると信じて、これまで繰り返していた模倣を捨てました。
おかげさまで、今もまだドラコン競技の隅っこに参加させていただけています。
身体は完治するものではありませんが、何とでも対応・適応できてしまうものなんだと、経験則からこうして皆様へお伝えすることができます。
苦心惨憺の長いトンネル、もしも突入してしまった方がいらっしゃれば、どうか早々に抜け出されることを祈っています。
抜け出す方法は、ご自分の身体がよ~くご存知だと思いますよ。
それではまた! 飛太郎でした。