ゴルフスイング
Nick Jagger
「広いスタンス=飛ぶ」訳ではない!スタンスは狭いほうが速く振れる!
ゴルフの基本はとプロに尋ねると、ほとんどの人が「アドレス」と応えます。
アドレス、つまり“住所”が間違っていれば、指定した場所に郵便物は届きません。
ゴルフも同様で、アドレスが正しくなければ、その後のスイングが正しく行われることはありません。
確かにプロトーナメントの会場のドライビングレンジをのぞいてみると、プロがチェックしているのはたいていアドレスです。
アドレスが重要だということは、頭では十分理解しているつもりですが、練習場のアマチュアを観察すると、アドレスよりもスイングの細部に気が行っているようです。
ボールの位置にしても、毎回右や左過ぎたり、体とボールの距離が近過ぎたり、遠過ぎたり、そしてスタンス幅も毎回微妙に違ってはいませんか?
飛ばしたい時ほど、スタンス幅は広くなる
ドラコンホールや広いフェアウェイを前にすると、ここ一発ビッグドライブを放ちたいと、誰もが思うでしょう。
そんな時、たいていのゴルファーのスタンス幅はいつもより自然に広くなります。
最近では、松山英樹や石川遼らの最先端のスイングの影響から、ワイドなスタンスのほうが飛距離が出ると思われている人も多いはずです。
確かにそのようなレッスン書も多く、シューズ1足分広げれば、それだけ体重移動も大きくなるからという理屈です。
しかし、彼らのように若くて鍛え抜いた柔軟な筋肉があるのならともかく、一般アマチュアゴルファーが単にスタンスを広げるだけで飛距離アップするかというと疑問符が付きます。
スタンス幅は狭いほうが捻転が深くなる
飛距離アップの最大のエッセンスは、皆さんご存知のようにヘッドスピードです。
身体の回転量とクラブの回転量によって、ヘッドスピードは決定しますが、体とクラブのエネルギーをしっかり支えるためには、体のバランスが不可欠な要素になります。
アマチュアの大半は体の回転量が少なく、手打ちになる傾向が強いため、スタンス幅はむしろ狭いほうが体を回しやすくなるので、バランス良く最後まで振り切れるようになるのです。
広めのスタンスにすれば、土台が安定して体重移動がしやすい半面、体の回転量が制限されてしまうので手打ちになりやすいのです。
ボールに与えるクラブのエネルギー効率という点から考えると、少し広めのスタンスのほうが飛距離を出しやすいかもしれませんが、松山や石川のような広いスタンスではバックスイングの捻転が浅くなり、飛距離アップの要素であるフットワークが使えないので、アマチュアゴルファーにはお勧めできません。
特に体の硬い人や太った人には広いスタンスは適していません。
逆に手足が長く、柔軟性のある人であれば、多少広めのスタンス幅のほうがいいでしょう。
最適なスタンス幅の見つけ方
どれくらいのスタンス幅がその人に適しているかがわかる方法があります。
まず両足をぴったり揃えてアドレスし、そのままドライバーでボールを打ってみてください。
次に左足はそのまま同じ位置のまま、右足をシューズ1足分ずつ広げてボールを打ちます。最大7足分まで試してみてください。
すると、広げていくほどクラブヘッドの入射角が緩くなっていき、ボールの打ち出し角度も適正に近づいていきます。
フィニッシュまで振り切った時、体重が完全に左足に乗って、右足のつま先で地面をトントンと小突くことができるくらいのバランスをキープできれば、それがあなたの適正なスタンス幅といえます。
すると、ほとんど人が肩幅程度の、どちらかというと狭めのスタンス幅に落ち着くはずです。
一般的にスタンス幅は肩幅程度と言われますが、その言葉の解釈は人によって違います。
肩幅とシューズの中心辺りまでの幅が同じくらいがノーマルで、スタンス幅が狭いというのは、肩幅がシューズの外側にくるくらいを言います。
狭くするということは、重心も高くなるので、それだけ目とボールの距離が離れます。
それをいつもの目線、距離にしようとすれば、自然に膝は曲がります。
このことによって、スタンス幅が狭くても重心が下がって安定感が生まれますし、膝も柔軟に使えることで、その結果体重移動もスムーズに行えるというメリットも生まれるのです。
しかも重心が下がる分、力も抜けて、クラブが速く振れて、飛距離がアップするというわけです。