ゴルフスイング
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ティーアップしたボールをアイアンで打つ練習のメリット
アイアンの練習法でボールをティーアップして打ちなさい、というドリルを見かけたことがある方も多いでしょう。
これにはちゃんと理由があって、上級者だってこの練習をしている方は多くいます。
実際にはティーアップしたボールをアイアンで打つ機会は、ショートホールのティーショットでしか使うことはありません。
この練習方法にどんなメリットや効果が出るのか見てみましょう。
目次
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- アイアンをティーアップして打つ練習のメリットとは?
- 練習場のマットでは知らない内にソールが滑っている
- ショートアイアンで行うとフェースの向きがよく分かる
- ロングアイアンで行うとヘッド軌道がよく分かる
- アイアンの打点が一定ならば同じ高さの打球が出る
- クリーンにとらえること、方向性を出すことにこだわって
- ティーアップをしてアイアンショットする練習の基本とは?
- ティーアップをしてアイアンショット! 低い球を打とう
- ティーアップをしてアイアンショット! 高い球を打とう
- ティーアップをしてアイアンショット! ドローやフェードを打とう
- アイアンをティーアップして打つ練習は初心者の練習にも最適
- 初心者はティーアップしたほうがダフりを恐れず振れる
- ティーアップしたほうが練習を続けやすい
- 初心者がアイアンをティーアップして打つなら少しずつ低く
- ティーアップドリルは何番を使えばいいの?
- ティーアップドリルでスライスしか出ない
- ティーアップドリルで引っ掛けしか出ない
- ティーアップドリルでティーばかり叩いてしまう
- ティーアップドリルでテンプラに!?
- コツコツ続けてショットの安定感アップ!
- ティーアップしてアイアンを打つ練習でレベルアップ!
アイアンをティーアップして打つ練習のメリットとは?
アイアンをティーアップして打つ練習にはメリットがあります。
それはヘッドの上下のブレを整えてくれたり、ダウンブローでインパクトするスイングが身についたりと、メリットが非常に大きいのです。
しかしなかなか練習場で、ティーアップしたアイアンを打つ練習している人を見かけません。
ヘッドの上下ブレやダウンブローの練習は、違う方法でも練習ができますが、ティーアップしてアイアンで打つのにはちゃんと理由があるんです。
練習場のマットでは知らない内にソールが滑っている
練習場では人工芝のマットが置かれていますよね。
練習場ではボールを打つときに、もしかしたら少しだけダフっている可能性もあります。
それは少しだけダフったとしても、マットが滑って結果ナイスショットになっているからなんです。
音をよく聞くと分かるんですが、ダフっているゴルファーはインパクト音の前に小さく「ドスッ、ザッ」という芝に触っている音がします。
ティーアップしたボールならば、同様にダフってしまうとゴムティーを叩いた音がハッキリしますし、手の感触で分かります。
ティーアップしない場合に比べて、ボールをクリーンに打つ感覚をつかみやすい練習なんです。
ショートアイアンで行うとフェースの向きがよく分かる
ショートアイアンでティーアップドリルを行うと、インパクトの時にフェースが目標方向に向かって真っすぐ向いているかを確認することができます。
例えば少し開いてインパクトを迎えた場合は右にスライスが出ますし、スライスを嫌ってフェースをかぶせすぎ過ぎれば強烈な引っ掛けが出ます。
このボールの飛球方向がハッキリと現れるのが、ロフト角のあるショートアイアンです。
ショートアイアンは地面から打つとき「あまり難易度が高くない」と感じているゴルファーが多いかもしれません。
でもティーアップしてショートアイアンを使ってみると、いきなり難易度が跳ね上がります。
フェースが真っすぐ目標に向かってとらえることができているかを確認するためには最適な練習方法なのです。
ロングアイアンで行うとヘッド軌道がよく分かる
逆にロングアイアンでティーアップドリルを行うと、サイドスピンの影響を大きく受けます。そのためボールは左右の曲がりが顕著に出てきます。
インサイドアウトならドロー、行き過ぎればフックに。アウトサイドインならフェード、こちらも極端ならばスライスになるんです。
ロングアイアンでティーアップドリルを行うと、スイング軌道のズレを確認するちょうどいい練習となります。
アイアンの打点が一定ならば同じ高さの打球が出る
アイアンでボールをしっかりとらることができていれば、打点が安定しているということになります。
引いては打点を安定させる練習にもつながるんですね。
特に打球の高さに注目してください。いつも同じ高さで飛んでいるのであれば、打点が安定している証拠です。
打球の高さがバラついているような場合は、ハンドファースト過ぎたり、たまにハンドレートになっていたりと打点が安定していない可能性があります。
クリーンにとらえること、方向性を出すことにこだわって
ティーの上という実際のショットとは違うシチュエーションでのアイアンの練習ですが、
・ボールをクリーンにとらえること
・打ち出す方向をしっかり明確にしておくこと
この2つにこだわって練習していきましょう。
常にアイアンのフェース面やヘッドの軌道、入射角などを意識して打つ練習ができるんです。普段はおざなりになりがちなチェックポイントを、しっかり意識して行えますのでぜひチャレンジしてみてください。
ティーアップをしてアイアンショットする練習の基本とは?
ティーアップをしてアイアンショットの練習をするとき、抑えておきたい基本的なポイントがいくつかあります。
まず、飛距離を出そうとしないことが大切。フェース管理やヘッド軌道の確認や体得のための練習ですので、飛距離を出そうと力んでスイングしてしまってはいけません。
またこのときボールだけをクリーンに打つ、ヘッドをダウンブローの軌道で打つことを意識しましょう。
このときスイングの大きさは力まない程度ならいいのですが、よりスイングへ意識を持っていきたいのであればハーフショットをおすすめしたいと思います。
そして打つボールですが、高さやドロー/フェードの球筋にこだわって打つようにしましょう。
高いストレートボールばかりを狙うのではなく、低いボール、高いボール、さらに右へ左へと曲げて打つ、などいろいろなバリエーションを試してみてください。
積極的にボールを操る練習は非常に大切です。
ティーアップをしてアイアンショット! 低い球を打とう
ティーアップをしてアイアンで低い球を打ってみましょう。低いボールを打つにはハンドファーストのインパクトで打たなければなりません。するとロフトが立って低く力強いボールが出ます。
これはパンチショットの練習にも通ずるもので、風が強かったり、木の枝がかぶっていて高いボールでは狙えないという場面では、実戦でそのまま応用できる練習です。
このときに、スタンスも通常のスタンスや左足体重でのスタンスなど、いろいろと変えて練習してみましょう。
ティーアップをしてアイアンショット! 高い球を打とう
ティーアップをして今度は高いボールを打ってみましょう。今度はロフトを寝かせてインパクトするので、ハンドファーストのインパクトよりも、少しだけヘッドを先行させて打ちます。
実際のラウンドでは高いボールよりも低いボールのほうがリスクが低いと言われますが、どうしても高いボールしか打てないような場面にも遭遇します。
そういったときに自分の引き出しの1つとして、高いボールを打てるようになっておくことは非常に大切です。
高いボールを打つ練習では、必然的にインパクトではティーを叩きやすくなってしまいます。ヘッドの上下ブレにはシビアになりますので、ヘッドコントロールに細心の注意を払いましょう。
ティーアップをしてアイアンショット! ドローやフェードを打とう
高いボールや低いボールを打っていく中で、ボールを左右に曲げてドローやフェードも同時に打ってみてください。
フェース向きでボールが飛び出す方向、ヘッド軌道で回転の向きが決まります。カットに打ってみたり、つかまえてドローに打ってみたり、ティーアップしてアイアンを打つだけで感覚が非常につかみやすくなります。
芝とヘッドが干渉しないので、ヘッドの動きが素直になります。そのためヘッドを「こう動かすと、こんなボールが出るんだな」と分かりやすいのです。
ティーアップしたボールは積極的に左右に曲げて打ってみましょう。
アイアンをティーアップして打つ練習は初心者の練習にも最適
アイアンをティーアップして打つのは何も中級者以上の「ゴルフがもっともっと上手くなりたい!」というガチ勢の方ばかりが対象ではありません。
実はアイアンをティーアップしない人も多い中、アイアンをティーアップして打つ練習は、ゴルフを始めたばかりの初心者にもなかなかいい効果があるんです。
あなたもゴルフを始めたばかりの初心者だった頃を思い出してみてください。
地面に置いてあるボール。強く打とうとして、思いっきり空振りをしたり、トップをしたり、はたまた盛大にダフったり。こんな経験がありますよね。
初心者だからこそ、インパクトでヘッドの位置が安定しないんですよね。
安定しないと打つのは難しいんじゃないの? と思われがちですが、安定していない初心者にもメリットの大きい練習です。
初心者はティーアップしたほうがダフりを恐れず振れる
ゴルフを始めたばかりの人は、よく知り合いなどから「最初は7番アイアンが基本だから、7番アイアンを打てるようになったほうがいいよ」なんて言われて、ずっと7番アイアンを打っている人は多いですよね。
しかしその7番アイアンですが、初心者の方って地面から上手に打てますか?
なかなか上手に打つのって難しいのではないでしょうか。
空振りやトップならまだしも、地面を強く叩いてしまうことも多いゴルフ初心者。ティーアップしないと地面とクラブが接触する恐怖を感じてしまう人もいます。
練習場でアイアンを折ってしまう初心者の方も時折見かけますしね。
そのためゴルフ初心者がまずボールを打つためには、ダフりたくない、という余計な考えをさせないのも1つのポイントになります。
ティーアップしないよりしたほうがダフりを恐れずに振り抜けるので、初心者はティーアップしてアイアンを打つことをおすすめしたいと思います。
どうせナイスショットはなかなか出るものではありません。だったら多少のミスショットでも、ボールが前に飛んで、上がりやすい、というティーアップしてのアイアンショットは悪くない練習なんです。
ティーアップしたほうが練習を続けやすい
ゴルフは最初の敷居がちょっと高めのスポーツだと思うんです。
それはボールが上手に打てるようになるまで、少し時間と練習が必要だからです。例えばマラソンなどは体力の有無、早いか遅いかは別にして、誰でも走れますよね。
しかしながらゴルフは最初にクラブをいきなり渡されて、飛距離は出ないけど、誰でも打てる、というわけにはいかないのです。
初心者でも打てる、ボールが前に飛ぶ、ボールが上がる、というのを体験してもらうには、やはりティーアップは有効です。スイングスピードがなくても、ボールがつかまっていなくても、とりあえずボールが前に飛びますからね。
「打てるようになる」までに、多少ボールが飛んでくれて「楽しい」と感じてもらえると、ゴルフを今後も続けてもらいやすくなります。
スパルタ教育も悪くありませんが、社会人になって趣味でゴルフを始めた方には、スパルタ教育はちょっと難しいですからね。
初心者がアイアンをティーアップして打つなら少しずつ低く
初心者がアイアンをティーアップして打つ場合、最初はドライバーくらいの高さに設定しておくといいでしょう。単純にそのほうが「当たる」からです。
当たらなければゴルフってやっぱり楽しくないので、最初は高めのティーアップでクラブにボールを当てる練習。そしてちゃんと飛ぶんだ、と感じてもらってゴルフって難しくないんだ、と思ってもらうのが先決。
もちろん会心の当たり、なんてものはなかなか出るものではありませんが、最初はこれで大丈夫です。
そこから少しずつティーを低くしていって、地面に近づけていきます。こうして感覚をちょっとずつ地面から打つのに近づけるように、段階を踏んでショット練習をしていくと上達も早くなるでしょう。
これができるようになって上達すれば、最終的に地面からも問題なく打てるようになってきているはずです。さらには練習していないアイアンの番手でも大きくレベルアップできていることでしょう。
またショートホール(パー3)でのティーショットの練習にもなりますので、ショートホールのティーショットの精度を上げたい方も一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ティーアップドリルは何番を使えばいいの?
ティーアップをしてアイアンで打つドリルですが、このとき番手は7番アイアンか8番アイアンあたりを使いましょう。
高いボール、低いボール、ドロー、フェードを打ち分けるときに、ピッチングウェッジや9番アイアンなどではサイドスピンの影響を受けにくいのが原因です。
ある程度扱いやすく、さらにサイドスピンでボールの挙動が見やすいクラブが最適なんですね。
ティーアップドリルでスライスしか出ない
ティーアップドリルでスライスしか出ないという人は、まずボールの飛び出し方向をチェックしてみましょう。
ボールが真っすぐ飛び出してから右に曲がってしまう方は、ヘッドが外から内に動くアウトサイドインのスイングになっていないか確認してみてください。
逆にボールが右に出て、そこからさらに右へ曲っていく人はフェースが打ちたい方向に向けられていません。
小さなスイングで自分のヘッドの動きを確認しながら、スライスボールが出ないような動きを見つけてみましょう。
スライスの傾向が強い人は、自分では真っすぐ打っているつもりでも、かなりヘッドが外から入っている人が多いのです。
自分では「極端かな」と感じられるくらい、ヘッドをダウンスイングで背中側から回してみると改善されることがあります。
ティーアップドリルで引っ掛けしか出ない
スライスとは逆でティーアップドリルで引っ掛けしか出ない人は、インパクトでフェースがかぶり過ぎている方が大半です。
かといってウィークグリップにしていくのも、クラブの進化とは逆方向。そんなときはフィニッシュを左へ巻き込まないようにしてみましょう。
スライスが出る人で、フィニッシュを左に巻き込んでいる人は、ボールをフェースで逃がしているような動きになります。しかしこうした引っ掛けが出る人でフィニッシュを左に巻き込む人は、ボールをフェースでしっかりとつかまえています。
しっかりとつかまった状態で左に巻き込んでしまえば、左にしか飛ばないのは当たり前です。飛球線方向を時計の12時とすると、フィニッシュを2時の方向に振り抜いてみましょう。
かなり極端な動きですが、これだけでボールをつかまえ過ぎる症状は大幅に改善されるはずです。しかも動画などで撮影してみると、思ったほど極端な動きではなく、「普通のスイング」である場合が多いんですよ。
ティーアップドリルでティーばかり叩いてしまう
ティーアップドリルでティーばかり叩いてしまう人は、インパクトしたとき、グリップと腕の角度を見てみましょう。
アドレスしたときはグリップと腕の角度がついていますが、インパクトのときにここが伸びてしまっている方がいます。アドレスで曲がっているものが伸びていれば、当然ヘッドは思っていた位置よりも下に入ります。
ティーアップしたボールは、これでは上手に打てずティーばかり叩いてしまうんですね。アドレスの位置に戻してくるためには、グリップと腕の角度はキープできていなければいけません。
ティーアップドリルでテンプラに!?
ティーアップドリルで、ティーこそ叩かないものの、ボールが高くテンプラ気味になってしまう方もいるでしょう。
こうした方はヘッドが下から入ってあおり打ちになってしまっている可能性があります。この症状が思い当たる方はトップのミスも多いのではないでしょうか。
ヘッドが下から入れば、クリーンヒットしてもリアルロフトは実際のロフト以上になってしまいます。ボールは高く舞い上がり、テンプラ気味のボールになるんです。
この症状が出ている方は、ハンドファーストのインパクトができていません。まずはロフトを立てて低いボールを打つところから始めてみましょう。
ティーアップしたボールをクリーンに、低く打ち出せるようになれば、自然とあおり打ちの症状は収まってくれることでしょう。
コツコツ続けてショットの安定感アップ!
ティーアップしたボールを打つ練習を続けていると、ヘッド軌道や入射角、ボールをとらえる位置、フェース管理、ハンドファーストなど実に様々なスイングのポイントのレベルアップにつながります。
即効性があるドリルではありませんが、コツコツ少しずつ続けていけばアイアンショットの安定感が格段に良くなってくるでしょう。
ティーアップしてアイアンを打つ練習でレベルアップ!
実はこのティーアップしてアイアンを打つ練習法、数多くのプロゴルファーを輩出した坂田塾で取り入れられていましたし、現役のプロたちもドリルとして行っている選手も多くいます。
またティーチングプロからも、アイアンの扱いが分かると太鼓判の練習なんですよ。
ぜひティーアップしてアイアンを打つドリルを、早速お試しください!