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ゴルフスイング

Yanagi@TPIトレーナー&ドラコンプロ

アマチュアに「パットイズマネー」という考え方は必要ない?

「パットイズマネー、ドライブイズショー」という言葉は、多くのゴルファーが聞いたことがあると思います。

これはボビー・ロック(1949~1957年に全英オープンを4勝)の言葉だとされています。

確かに、パットの重要性を痛感したことのないゴルファーはいません。

「パットが悪ければスコアにならない」のです。

ゴルフツアーの中継を見ていても、グリーン上で劇的なロングパットを決め逆転優勝、短いパットを外し逆転負けというシーンを何度も目にしていると思います。

パットのミスは即、1打上乗せされるわけですから、取り返しがつかないのです。

が、しかし……本当にパターはドライバーより重要なのでしょうか?

一般的なゴルフコースはドライバーを14回、パターを36回打つように設計されているので、パターのほうが重要と考えるのは自然です。

格言の通りです。

一方で、その定説(神話)に一石を投じた研究があります。

それは、統計学者マーク・ブローディのストロークゲインド(SG)という観点に立った研究です。

ストロークゲインド=稼いだ打数という観点に立つと、実はアマチュアゴルファーによってはパターよりドライバーの飛距離が問題であったのです。

パットが悪ければスコアになりませんが、「ドライバーが悪ければゴルフにならない」のです。

ストロークゲインドの細かい解説や重要性については『ゴルフ データ革命』(マーク・ブローディ著、プレジデント社、2014)を読んでいただくとして、ここではパッティングの「ストロークゲインド」について、『ゴルフ データ革命』に掲載された「データ」を参照しながら解説します。

トッププロとアマチュアゴルファーのパッティング精度

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まずは、トッププロと我々アマチュアゴルファーのパッティングの精度を確認してみましょう。

■15フィート(約4.6メートル)パットの精度■
15フィートを1パットで沈める確率
パットの名手:27%
PGAツアー選手:23%
アベレージ90のアマチュアゴルファー:11%

■10フィート(約3メートル)パットの精度■
10フィートを1パットで沈める確率
パットの名手:45%
PGAツアー選手:40%
アベレージ90のアマチュアゴルファー:21%

■5フィート(約1.5メートル)パットの精度■
5フィートを1パットで沈める確率
パットの名手:82%
PGAツアー選手:77%
アベレージ90のアマチュアゴルファー:51%

■3フィート(約90センチ)パットの精度■
3フィートを1パットで沈める確率
パットの名手:98%
PGAツアー選手:96%
アベレージ90のアマチュアゴルファー:87%

PGAツアーの中でパットの名手とされる選手でも、5メートル弱のパットを1発で沈めるのは10回打って2、3回です。

アベレージ90のアマチュアゴルファーの場合、同じ距離を1発で沈めるのは10回打って1回です。

一方で、5~10フィートでの差は顕著で、入れ頃外し頃ではアマチュアゴルファーは結構外します。

逆に3フィートまで寄せてしまえば、プロもアマも関係ありません。

トッププロとアマチュアゴルファーのパッティング勝負

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超ザックリの計算ですが、パー3は辛うじて乗っただけ(15フィート以上)、パー4は15フィートに乗せて、パー5は10フィートに乗せた場合、パットの名手とアマチュアゴルファーではどれくらいスコアに影響があるか計算してみましょう。

■パットの名手■
15フィート以上×4回:3パット1回+2パット3回=9パット
15フィート×10回:2パット7回+1パット3回=17パット
10フィート×4回:2パット2回+1パット2回=6パット
合計32パット

■アベレージ90のアマチュアゴルファー■
15フィート以上×4回:3パット2回+2パット2回=10パット
15フィート×10回:3パット1回+2パット8回+1パット1回=20パット
10フィート×4回:2パット3回+1パット1回=7パット
合計37パット

1つのラウンドのファーストパットの内、半分以上が15フィート残るような場合であっても、パットの名手とアマチュアゴルファーではそれほどパット数は変わりません。

ロングパットを一生懸命練習するより、距離を合わせて「お先に」の距離まで寄せることが大切です。

もちろん、プロのグリーンは速いからという声もあると思いますが、我々がプレーするグリーンはプロと違い遅い一方で、グリーン面も荒れています。

ピッチマーク、エアレーション、スパイク痕など、「不確定要素」が多いという面では結構難しいのです。

確かに、5打も差がありますが、世界のトップと比べて5打しか変わりません。

ジョーダン・スピースやタイガー・ウッズとパッティング勝負をしても、18ホールで5打しか変わらないということです!

意外ではないですか?

※もちろん、球の転がりやコントロールという点では異次元ですが、SGという点では長いクラブより差が出ません。

5フィートのパッティングを徹底的に練習しよう!

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ロングパットもショートパットも、プロとアマでは、大きな違いがありません。1日通しても1打程度しか変わらないです。

一方で5フィート程度のパット力には大きな差があるので、この距離だけは徹底的に練習しましょう。

この距離のパット力が、他のアマチュアゴルファーと差をつけるポイントです。

カップの大きさは4.25インチ、ボールの直径は1.68インチですから、5フィートのストレートラインを必ず決めるためには、フェース面のズレを3度程度に収めなければなりません。

5度ズレればノーチャンスです(ミスにミスが重なって入る場合もありますが……)。

「スコアを作る」レベルにいる、70台~80台でラウンドできるという人は徹底的に5フィートの練習をしてください!

そして「ゴルフにならない」というアベレージ90以上の人は、ドライバーを練習しましょう!!

ドライバーの飛距離と精度がスコアに与える影響については、またの機会に……。


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