ゴルフスイング
Nick Jagger
アプローチショットでのザックリ、トップの傾向と対策
1ラウンドを90台で回るという一般的なアベレージゴルファーが、18ホールでパーオンするホールは2~3回でしょう。
調子がいい日でも、それはせいぜい4ホールといったところではないでしょうか?
プロゴルファーであっても、パーオン率は60パーセントくらいであるということを考えれば、アベレージクラスではほぼ毎ホールでアプローチショットをしているはずです。
しかし、グリーン周りから寄せワンなんてことは滅多になく、簡単にボギー以上のスコアを打ってしまいます。
その原因はザックリ、トップといった致命的なミスであることはわかっていますよね。
それでも同じミスを繰り返してしまうのは、その原因と対処法がわかっていないからではないでしょうか?
ザックリの最大の原因は力み
ザックリの最大の原因は、手に力が入って体の動きと連動しなくなることです。これは「ボールに当てよう」という意識が強過ぎるから起きることと言えます。
低い位置からクラブヘッドをボールに入れようとするとダフりそうで怖くなります。そこでダフらずに当てようとすればするほど、クラブヘッドを上から入れたくなります。
自然に振る軌道とは違うのですから、手を使うしかありません。しかし、上から落とすというイメージを持つと、ボールにヘッドを入れにいく間口が余計狭くなります。
そうなると、「上手く当たらないかも……」という不安が大きくなって、それが右手、特に指先に力みを生んでしまうのです。
その結果は、ボールの手前をザックリ……ということになります。
ボールの赤道よりも下にクラブヘッドを当てれば、いわゆるトップ気味であっても、そこそこの結果になるものです。
「ボールの赤道よりも下」というエリアにヘッドを入れるならば、低い位置から接近するほうが間口が広くなり、つまりやさしくなるのです。
しかも、逆目のライを除けば、低い位置からヘッドを入れるほうが、多少最下点がボールの手前になろうが、ヘッドは前に抜けてくれるものなのです。
ボールに当てるよりも運ぶ意識を持つ
体の回転で目標に「運ぶ」意識に変えてみましょう。
目標が「下にあるボール」だと上からになってしまいます。しかし、遠くにあるターゲットを目標として、そこまでの弾道を思い描くと、水平な動きに感覚が変わります。
このようなインパクトのイメージにすれば、手先は使わなくなり、クラブヘッドは低い位置からボールに近づき、低く抜けます。
そのほうがインパクトエリアが広くなりますので、ミスの確率は減ります。
技術的なことを言いますと、ザックリしないためには、グリップを短く持ちます。
すると、ヘッド側が軽くなりますので、重力でヘッドが落とされて、最下点が手前になってダフるということがなくなります。
また、左足体重にしてロフトを立てると、ヘッドは多少上から入りますが、フェース面が広く使えてボールが当たりやすくなります。
ボールを右へ置くのもロフトを立てることになりますし、何よりもトップからボールまでが近くなるので、地面に当たる前にボールに当てやすくなるのです。
全身の力みがトップを生む
インパクトに対して、「しっかり当たるかな……」と抱いた不安が手の力みとなって出るとザックリになりましたが、全身の力みとして出ると、トップが出やすくなります。
上体がボールの真上に突っ込んでダウンスイングをする形になり、クラブヘッドが上からボールの上っ面に当たるからです。
また、ザックリを防ぐコツは「ボールを運ぶ意識を持つ」でしたが、その意識が強過ぎますと「下から上へすくう」感覚が過剰になってしまい、トップが出やすくなります。
そこでこのような場合は、ソールを滑らせるようなつもりで振るのです。
低い位置から低い位置へ、いわゆる掃くように動かすイメージです。ここで「頭を残して打つ」という意識を持つと、ボールの手前に最下点が来たとしても、そのままソールは滑ってクラブヘッドが低く前に出ていきます。
リーディングエッジが直接当たっても、ボールの赤道よりも下であれば、ボールを拾ってくれて、そんなにひどいトップにはなりません。
ザックリを防ぐ時には、ボールではなく目標へ意識を向けることを勧めましたが、ここでは再び、下のボールに戻します。
ボールだけにすると、当てようというする弊害が起きやすいので、意識を向ける先を広く取って地面にするために、ソールを滑らせるイメージが効果を発揮します。
重めのクラブを使うと、手先で打たなくなる
また、力があるのに軽いクラブを使うこともトップする原因になりやすいのです。
アプローチショットのような小さな動きは、手先を器用に使えば打ててしまえる気がするものですが、それがトップを引き起こしてしまうのです。
重めのクラブを使えば、手先でなんとかしようとは思わなくなって、体の回転主導で掃くような軌道で振れるのです。
しかも、重さを感じることを重視すれば、力んだり、リズムが悪くなることもなくなって、スムーズな意図通りの動きを実行しやすくなるのです。