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ゴルフスイング

Taddy Bear

賞金女王に学ぶ超シンプルで効果的なパット・ドリル

最終戦までもつれこんだ2019年度LPGAツアー賞金女王争いを制したのは鈴木愛選手。

最終日の猛追、68のスコアは年間7勝を上げた実力と気迫の片鱗を見せてくれました。

鈴木選手が賞金女王をつかんだ要因は数多くあります。そのひとつが確実なパット。

鈴木選手はいつも入念にパットの練習をしており、独自の方法を取り入れています。

誰でもすぐに取り入れられる賞金女王の練習方法を紹介しましょう。

スタッツが示す鈴木選手の実力

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1950年代、アクシネットが販売した「ブルズアイ」というネーミングのT字型パターは別名、キャッシュインパターと呼ばれていました。

「このパターを使えばカップイン率が高くなる」すなわち「プロは賞金が稼げるようになる」という意味の俗称ですね。

「パット・イズ・マネー」の諺(ことわざ)を始め、プロがパットに関する名言を数多く残しているのもパットが賞金に直結しているからといえます。

これを見事に立証したのが、今年の鈴木選手。

如実に表しているのがパーオンホールにおける平均パット数で、鈴木選手は堂々のトップに立ちました。

ちなみに2位は渋野日向子選手、3位が申ジエ選手と、この平均パット数順位がそのまま賞金獲得額順位と同じになっています。

また1ラウンド当たりの平均パット数は柏原明日架選手に次いで2位、3パット率(3パット以上の総ホール数÷プレーした総ホールで算出:3パット以上が少ない選手のこと)でも第3位。

渋野選手、1ラウンド当たりの平均パット数は5位に入っているものの、3パット率は25位とかなり下位に沈んでいます。

そういえば最終戦の初日でも全英オープンと同じような4パットをしていました。

確かにバウンスバック率(ボギー以上を打ったホールの直後のホールでバーディ以上の打数を記録する率)が第1位の渋野選手は派手な分、魅入られるものがあります。

しかし、年間を通じてハイレベルを維持するなら少ないパット数、とくに3パット以上を打たないことが大切、と鈴木選手のスタッツが教えてくれています。

これ、賞金がかかっていないアマチュアでも同じことですよね。

1本の棒を使った練習方法

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鈴木選手のパットが優れているのは今年に限ったことではなく、パーオンホール、1ラウンド当たりそれぞれの平均パット数は2015年度からほとんどベスト3に入っています。

いわばパットの名手ですが、このスキルも一朝一夕、才能だけでつかんだものではなく、誰よりも遅くまで練習グリーンに残ってパット練習を続けている賜物といえるでしょう。

鈴木選手のパット練習は、時折テレビ中継でも映し出されますが、その時、目についたのが独自の練習方法。

といっても特別な器具を使うわけではなく、誰でもすぐに始められる方法です。

1本の細い棒を水平にし、両脇に挟んでストロークする、これだけです。

とてもシンプルですね。

鈴木選手はクラブのシャフトを挟んでいましたが、別にシャフトでなくても構いません。

収納に使う突っ張り棒とか園芸用支柱(緑色の細い棒)とか、代用はいくらでもあります。

ただし、あまり太いと脇が締まらず、また短いと両脇から出ている棒先端の動きが見えなくなるので、自分の体型や構えに合った適当な太さと長さの棒を見つけてください。

ショートパットに悩む人必見!

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じつに簡単な練習方法ですが、メリットはいろいろあります。

まず正確なアドレスが取れること。

スクエアなスタンスを取る人は脇に挟んだ棒とボールの打ち出しラインを平行にすればいいし、オープンで構える人は自分にぴったりの開いた角度を視覚で確認できます。

次に脇の締め方が分かること。

アドレスの時は誰でもきちんと脇を締めるものですが、テイクバックを取った瞬間にインパクトを気にするあまり、右脇が開いてしまうことはけっして珍しくありません。

これ、ショートパットになるほど頻繁に発生するものです。

右脇が開くとアウトサイドインの軌道になりやすく、いわゆる引っ掛けのパットになります。

鈴木選手も棒を脇に挟んだ状態で1〜2メートル、引っ掛けが出やすい距離を長く練習していました。

ショートパットで悩んでいる人はぜひ試してください。

もちろん逆のパターン、フォロースルーで右脇が開いて押し出しが多い人にも有効です。

パットの欠点も見つけやすい!

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この練習方法、マレット型パターを使っている人ほど効果を発揮します。

マレット型の基本は手首を使わず、肩の回転で真っすぐテイクバックし、真っすぐフォローを出す振り子の原理。

両脇に棒が挟まっているとインサイドに肘が回り込まないので真っすぐなストロークをキープできます。

この練習方法で、まだボールが左右に散らばる場合は振り子の支点がインパクトでズレている、顔が早く上がる(ルックアップ)、両足の踏ん張りが足らず身体が左右に動いているなど理由はいろいろあるものの、比較的早く欠点を見つけられることもメリットです。

鈴木選手のパッティンググリップは左手人差し指を右手に被せる逆オーバーラッピング型、ストロークは手首を使わず背中の筋肉を使ったオーソドックスなスタイルです。

難しい点は何もないので誰でも真似できます。

ただし、オーソドックスなパッティングストロークは真似できても鈴木選手のように繰り返し長時間練習するのはなかなか真似できることではありません。

その継続性も、ほんの少しだけ真似できればパットのスキルは必ず向上します。

2019年度の賞金女王、パット名手の練習方法はアマチュアにもできる効果的なドリルです。