プロゴルファー
こせきよういち
ウィナーズジャケットに注目~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#64
先週の国内女子ツアー競技「Tポイントレディス」は、第1ラウンドでトップに立った鈴木愛が第2ラウンド(=ファイナルラウンド、悪天候のため2日間競技に短縮)も、一度も首位を譲ることなく逃げ切りで今季初優勝を飾りました。
しかし、ここで注目するのは、彼女のプレーではなく、表彰式です。
その日、彼女が着ていたウェアが、表彰式で贈られたウィナーズジャケット(優勝ブレザー)と見事なカラーコーディネイトだったのです。
余りの見事さに、ネット中継で解説をしていた永井奈都プロと馬場ゆかりプロが、「愛ちゃん、ジャケットに合わせてウェアを選んできたのかしら!?」と驚嘆の声を挙げたほど。
実のところはどうなの?
大会関係者に確認しました。すると、「私も気になって、表彰式後に愛ちゃんに聞いたんですが、本人にそのつもりはなかったようです」
偶然! それにしては出来過ぎのミラクルなコーデでした。
国内ツアーでは、最近は優勝ブレザーを作らない大会が増えているそうです。
でも、今回のような印象的なシーンに出会うと、「優勝ブレザーって、案外いいかも」と思います。
そこで、今回はトーナメントを強く印象付けるウィナーズジャケットをリサーチ。
目次
先週の米ツアー競技「アーノルド・パーマー招待」はレッド・カーディガン
同じく先週開催の米ツアー競技「アーノルド・パーマー招待」は、パーマーさんの逝去後、初めて行われた昨年の大会から、優勝者にはパーマーさんが日ごろ愛用していた赤いカーディガンが贈呈されるようになりました。
それ以前はごく普通の紺ブレでした(下記のリンク先の記事を見てください)。
でも、パーマーさんを慕う米ツアー選手には、これ以上のウィナーズジャケットはないでしょう。
そして、今年、これに袖を通したのがロリー・マキロイです。
彼にとっては2年ぶりの優勝でしたが、その前回優勝の日=2016年9月25日は、まさにパーマーさんの命日だったのです。
ところで、この日のウェアですが、レッドカーディガンとのカラーコーディネイトがばっちりでした。
もちろん、これも偶然? いや、マキロイをかわいがっていたパーマーさんがそうさせたのかも。
来週の「ANAインスピレーション」はバスローブ
続いて来週の米女子ツアー競技ですが、開催されるのは鈴木愛も出場するメジャートーナメントの「ANAインスピレーション」です。
この大会では、ウィナーズジャケットではなく、チャンピオンズローブ(バスローブ)が贈られます(上掲画像は昨年の優勝者=ユ・ソヨン)。
なぜなら、優勝者が18番グリーンを囲む池=ポピーズ・ポンドに飛び込むのが恒例のため、池から上がってきた選手には当然のようにローブが手渡されるからです。
そして、ANAがタイトルスポンサーになった3年前からは、日本を代表する高品質タオル=今治タオルで縫製されたチャンピオンズ・ローブが贈られるようになりました。
これ、とっても好評です。でも、このローブならウェアとのコーデの心配はいりませんね。
ただし、ロングパンツは駄目かな。
再来週は「グリーンジャケット」。その次は「レッドタータンジャケット」
再来週は、男子のメジャートーナメント「マスターズ」です。
大会の優勝者には、言うまでもなくグリーンジャケットが贈られます(上掲は昨年優勝のセルヒオ・ガルシア)。
このジャケットは優勝後、一年間は選手の手元に置くことができますが、翌年、オーガスタナショナルGCに戻ってきたときにロッカールームに収めると、以降の着用は同GC内に限られます。
マスターズの翌週「RBCヘリテージ」の優勝者に贈られるのは、ゴルフ発祥の地と言われるスコットランド由来のレッドタータン柄のジャケットです。
レッドタータンはこの大会のロゴにも使われているシンボルカラーであり、柄です。
そして、このタイトルを狙う選手は、最終日には下掲画像のグレアム・マクドウェルのような、シンプルなカラーのパンツがお勧め。
いわゆる柄パンでは、最悪のコーディネイトになるでしょう。
4月最終週の欧州ツアー競技はカンフー服
「RBCヘリテージ」の翌々週、4月最後の欧州ツアー競技は今年から同ツアーに組み込まれる「ボルボ・チャイナ・オープン」です。
そして、この大会のウィナーズジャケットは、中国のシンボリックなウェア=カンフー服(上掲画像は2年前の優勝者=中国のリ・ハオトン)。
しかも、ただのカンフー服ではありません。シルク製のゴールドジャケットと言われています。
ところで、このジャケットにぴったりコーデは……。やっぱり、7分丈のカンフーパンツか?
このようにそれぞれ個性的なウィナーズジャケットって--ありきたりの紺ブレやグリーンジャケットと違いーー選手にとってもうれしいのでは? 今後も新たな趣向に期待します。