プロゴルファー
こせきよういち
祝!5年ぶりツアー優勝フィル・ミケルソン~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#62
先週行われた世界ゴルフ選手権の「メキシコ選手権」は、随所でスーパーショットが見られる、とてもエキサイティングで面白いトーナメントでした。
その大会を制したのは、プレーオフでジャスティン・トーマスを下したフィル・ミケルソン。彼にとっては、5年ぶり(2013年の全英オープン以来)のツアー優勝でした。
そのフィルのゴルフは一貫してアグレッシブ。その分、トラブルも多いのですが、彼には抜群に巧みなリカバリーショットやアプローチがあります。
今回も見事なショートゲームがいくつもあり、その冴えが優勝をたぐり寄せました。印象的なショットを振り返ってみましょう。
深いブッシュの中からもアグレッシブ
最終日、フィルは印象的なプレーをいくつも繰り出しましたが、なかでも驚いたのは11番パー5でした。
その一連のプレーが上記、PGAツアーのツイッターに動画でシェアされていますが、第3打は深いブッシュの中からでした。
中継のカメラがフィルの姿をとらえられないほどの深いブッシュの奥で、NHKのラウンドレポーターのレックス倉本プロは「これはアンプレヤブルにするしかないですね」と語っていました。
ところが、いつでもアグレッシブなフィルは状況を確認すると、迷うことなく、あっという間にリカバリーショット。
お陰で、打ち出された方向で心配そうに見守るギャラリーは避ける間もなく、ボールが当たってしまいました。
そして、続く第4打のアプローチも大きな樹木の横ぎりぎりを通すとてもリスキーなショット。この一打にも驚かされました。
結果的にこのホールはボギーとなりましたが、それでもフィルらしさが存分に発揮された見ごたえのあるホールでした。
ブッシュからのリカバリー。フィルにとっては、「メキシコ選手権」で初めて試みたプレーではありません。
実は昨年も経験していたのです(下記動画がそのときの模様)。
彼にしてみれば、ファンが心配するほどのピンチではないのかも。
キクユ芝の難しいライからでも絶妙のアプローチ
「メキシコ選手権」で選手たちを大いに苦しめたのがラフのキクユ芝です。
2週間前、ロサンゼルスのリビエラCCで開催されたジェネシス・オープンでも何度も耳にした、とてもタフで厄介な芝です。
そのため、グリーンからわずかに外れても、深いラフであればウェッジを軽く振り下ろすチッピングでは脱出も難しく、やむなくピッチングウェッジでアプローチするシーンが何度か見られました。
ところが、そんな手ごわいキクユ芝相手でも、フィルはアプローチの冴えを披露しました。
上掲は最終日の2番ホールでのショートアプローチ。下掲は同10番ホールでみせた100ヤード余のアプローチショットです。
バンカーからも狙うはホールイン
フィルの魅力は、いろんな球筋を打ち分けるショートゲームの上手さです。
もちろんバンカーショットも巧みで、ガードバンカーからはいつもホールインを狙って打っている印象があります。
フィルにとってみれば、ガードバンカーからのアプローチは決して「ピンチ」ではなく、「チャンス」なのでしょう。
残念ながら、今回の「メキシコ選手権」ではそれを裏付けるシーンは見られませんでした。
上掲の動画は2014年メモリアル・トーナメントの第1ラウンド、14番パー4で見せた、いかにもフィルらしいバーディです。
これには、もう笑うしかありません。
しかし、そのフィルもときにこんな失敗をする、というシーンを最後にご覧ください。
2015年テキサス・バレロオープンの第1ラウンド、12番ホールでの出来事です。こちらも、笑うしかないですね。