プロゴルファー
Nick Jagger
もしロングホールのティーショットがカップインしたら……
我々一般ゴルファーには縁のないスコアがありますよね。
例えば「イーグル」なんてスコアはほとんどの人が経験がないですよね。
そりゃあ、マグレでホールインワンを達成した人もいるでしょう。飛ばし屋なら、ロングホール(パー5)で2オン1パットで収めた人もいるかもしれません。
ミドルホール(パー4)のセカンドショットを直接カップインなんてこともあるでしょう。
だけど、そんなことは滅多にないのがゴルフですよね。
まして、「アルバトロス」なんてスコアは夢のまた夢。なにせ、ホールインワンよりも数百倍出すのが難しいとされるのが、アルバトロスですからね。
アルバトロスの確率は
パー5のセカンドショット、まれにパー4のティーショットが直接カップインして、規定打数(パー)よりも3打少ない打数でホールアウトすれば、アルバトロス(「アホウドリ」の意)達成ということになります。
ただし、欧米ではアルバトロスというより、ダブルイーグルという呼び名が一般的です。
いろいろなデータを調べてみると、アルバトロスの出る確率は100万回~200万回に1回くらいらしいのですが、アメリカでは1年間に4万回くらいのパー3でのホールインワンが報告されているにもかかわらず、アルバトロスは200回程度しか出ないそうですから、そのデータを単純計算すると、アルバトロスはパー3でのホールインワンよりも200倍ほど難しいということになります。
とは言うものの、一般ゴルファーの場合、ほとんどの人がパー5は飛距離的に2オンはできませんよね。
ですから、アルバトロスの出る確率は、さらに低くなり、600万回に1回あるかないかとも言われています。アルバトロスの多くは飛距離の出るプロやトップアマのような一握りのゴルファーにしか出ないものなのです。
アメリカPGAツアーでは多い年で5~6回、平均すると年間2~3回出るそうですから、その難度はパー3でのホールインワンの10~15倍ほどと、一般アマチュアゴルファーとはまったく違う数字になっています。
ただ、ツアープロでも70~80年代までは、1年間に1~2回出るかどうかというものでした。
やはり、パーシモンからメタルヘッド、さらに大型チタンヘッドや最新テクノロジーのボールという道具の進化が、モンスター級のロングヒッターを生み、アルバトロスも頻繁に出る時代になったのです。
最も有名なアルバトロスといえば、なんといっても1935年のマスターズでのジーン・サラゼンです。
第2回のマスターズ最終日、15番ホール、残り235ヤードの第2打をバッフィー(4番ウッド)で放り込み、翌日のプレーオフを制したのです。
裏話として、第2打を打つ前にキャディは「ジーンの旦那、池を越すにはスプーンが必要ですぜ」と言ったそうです。
パー4でもアルバトロスは出るのですが……
アルバトロスはパー5でしかできないものと思っている人もいるでしょうが、実はパー4のホールで達成した人もいます。
そう、ティーショットが直接入ってしまうホールインワンとアルバトロスの同時達成というパターンです。それも日本ツアーのお話です。
1998年の中日クラウンズ、名古屋ゴルフクラブ 和合コース1番ホール341ヤード、パー4で中島常幸がティーショットを放り込んでいます。
それが国内での唯一の記録です。
こんな珍記録もあります。
2015年のテキサスオープン、17番ホール336ヤード、パー4でアーロン・バデリーのティーショットはアンプレヤブル、ティーグランドからの打ち直しの第3打が直接カップインして、記録的にはバーディー、まさに幻のアルバトロスというわけです。
まさに“神ってた”有村智恵
女子プロだって負けてはいません。
すごい記録といえば、なんといっても有村智恵です。
2011年のスタンレーレディス、東名カントリークラブの8番ホール、503ヤードのパー5でアルバトロスを達成、その日の後半16番ホール、135ヤードのショートホールではなんとホールインワンというものすごいことをやってくれました。
まさに“神ってる”とはこのことですね。
ところで、もしもロングホールのティーショットが直接入ってしまったら、一体なんて言うのでしょうか?
そんなことはあり得ないとお思いでしょうが、世界は広いのです。
世界最長のホールインワンとして記録されているのが、2002年アメリカ・コロラド州グリーンヴァレー・ランチ・ゴルフクラブ9番ホール、517ヤードパー5でマイケル・クリーンという人が達成したものだそうです。
アルバトロスよりもさらに1打少ないスコアのことを「コンドル」、または「トリプルイーグル」というそうなのですが、こんなゴルフ用語覚えたところで、一生使うことはありませんよね。