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プロゴルファー

こせきよういち

プロたちの「ファンの夢を叶える」活動に感涙 ~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#51

タイガー・ウッズの競技復帰で注目された「ヒーロー・ワールドチャレンジ」。大会を制したのはリッキー・ファウラーでした。

先日、そのリッキーが自身のインスタグラムで、10月の終わりに末期のすい臓がんとたたかっているレイエス博士(ドクター)と一緒ゴルフをプレーし、一生の思い出になる楽しい一日を過ごしたことを明かしました。

レイエス博士はリッキーのファンで、一緒にゴルフをすることを希望。それにリッキーが応え、実現したラウンドでした。

でも、それから27日後、「ヒーロー・ワールドチャレンジ」が開催される週の日曜日(11月26日)、レイエス博士は他界します。

そして、次の日曜日、リッキーは61という爆発的なスコアでマークし、見事な逆転優勝を遂げたのでした。

先のインスタグラムは、「ドクター・レイエスが人生最後の日々の一日を私と過ごしてくれたことに感謝したい。そして、この勝利は彼に捧げる。ご冥福をお祈りいたします」と結ばれています。

今週は、多くのトッププロが行ってきた、ファンの望みを叶える活動について。

ツアーでも特別なナイスガイとして知られるリッキー

まずは、今回のリッキー・ファウラーの話を下記リンク先(CBSスポーツ)など、他の情報も加えて紹介。

末期のすい臓がんにおかされていたのは、ジョージア州に住むヘルマン・レイエス博士(69歳)。

レイエス博士はリッキーとのゴルフを、人生最後の望みとして抱いていました。

10月の終わり、リッキーはそれに応えたわけですが、インスタグラムではその日のことを次のように振り返っています。

「あの日のラウンドが、彼にとって喜びに満ちていたことを願っています。私にとっては、彼以上に有意義な一日でした。コースでの朝食から午後遅くの昼食まで、それはとても楽しいものでした。私たちは一緒にカートに乗り、何度も大笑いしました。あの日、彼のパッティングは私の刺激になったように思う。あの日のことは一生忘れないでしょう」

そして、前記の彼への感謝と冥福を祈る言葉で結んでいます。

リッキーはゴルフ界に限らず、スポーツ界を代表する“ナイスガイ”です。

そのため、親友のジャスティン・トーマスは今回のことについて、「なんて素晴らしい行動だろう。でも、ちっとも驚かない。だって、彼は最高に素敵な男なんだ」とツイッターで語っています。

それにしても、レイエスさんが他界した次の日曜日に爆発的なスコアで逆転優勝なんて……。ひょっとして、天からの贈り物?

「make-a-wish」財団がゴルフ場で叶えた伝説的な逸話

今回のレイエスさんの希望がどのような経緯で実現したのかは不明ですが、アメリカでは重い病気と闘う子どもたちの夢を叶える「Make-A-Wish(メイク・ア・ウィッシュ)」財団の活動が良く知られています(日本にも同団体があります)。

ゴルフ界における同財団の活動で有名なのがグレッグ・ノーマンの話です。

白血病と闘うジェイミー・ハットン(当時17歳)は、近く予定の骨髄移植手術を前に、大好きなノーマンのプレーを見ることを希望。

同財団がその旨をノーマンに伝えると、彼は快諾。1988年のヘリテージクラシックで実現します。

大会2日目、ジェイミーが会場を訪れると、ノーマンは大歓迎で迎え、ロッカールームまで招き入れます。

そこで大勢のツアー仲間に紹介。すると、誰もがこれ以上ないほどのやさしくで迎えてくれました。

なかでも、トム・ワトソンはノーマンが練習する間、ずっとジェイミーの相手をしてくれるほどでした。

次の日、ノーマンはジェイミーをカメラマン助手としてロープ内に入れるように手配。

さらに、日曜日の朝には遠く離れた自宅に帰る予定のジェイミーを、自身のプライベートジェットを提供するので最後まで残って応援して、と提案!

お陰でジェイミーは最後の2日間をノーマンのすぐ近くで観戦することができました。

最終日、ノーマンは「ジェイミーのために」という思いでプレー。結果、66という素晴らしいスコアをマークし、逆転優勝を果たします。

表彰式、ジェイミーと並んで登場したノーマンは最後に授与されたトロフィーをジェイミーに渡します。

そのときのことを彼は自伝で、「あの日の本当のチャンピオンは白血病と闘うジェイミーだと思ったんだ。それで、病室にこのトロフィーを置いて、手術の日を迎えてほしい、と渡したのさ」と語っています。

ジェイミーの手術は成功。翌年、ノーマンはジェイミーに応援してもらうために、ジェイミーの自宅に近い「グレーター・ミルウォーキーオープン」に出場。

そして、再度、そばで見守るジェイミーのために優勝したのです。

ロリー・マキロイも同財団に協力

「Make-a-wish」財団の活動をもう一つ。

これはスポーツチャンネルのESPNとのコラボで実現した企画です。

そして、夢をかなえたのは、生後間もなく心臓病の手術を受け、ハードなスポーツができず、ゴルフに励むタッカー・デュポン(14歳)。

彼は大好きなロリー・マキロイとゴルフをすることを夢見ていました。

ある日、練習を終え、クラブの食堂で仲間と休んでいると、テレビで流れていた「スポーツセンター」というESPNの情報番組が突然、「ロリー・マキロイがタッカー・デュポン君に向けてスペシャル・メッセージを発表しました」(上記、YouTubeの3分33秒過ぎから見られます)と臨時ニュースの放送を始めたのです。

そして、画面にマキロイが現れると「はい、タッカー! ゴルフが大好きなんだってね。だったら、メモリアルトーナメントの練習日に、僕と一緒に練習しないか」とタッカーに呼びかけたのでした。とっても手がこんでいます。

10日後に実現したタッカーの夢の模様は、上記動画を見てください。