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Gridge編集部

ファンと選手が一体となるトーナメント「TWGT」に注目!

私たちが普段見たり聞いたりする女子プロゴルフのトーナメントは、シード選手が出場するレギュラーツアーと、レギュラーツアーへの出場を目指す選手たちによるステップ・アップ・ツアーくらいでしょう。現在この2つはJLPGA会員資格(プロテストに合格)がないと出られません。

でも実は、JLPGA公認ではないミニトーナメントがいくつかあり、JLPGAプロテストにまだ合格していない選手たちは、それらに出場して試合勘や腕を磨いているのです。

今回はそんなミニトーナメントの中から、「THANKS WOMEN'S GOLF TOUR」(略称TWGT)という、他のトーナメントとはちょっと違うユニークな特徴を持ったトーナメントをご紹介しましょう。

出場資格はサポーターの獲得数!? 入場料を選手に還元も

TWGTは、USGTFマスターコーチの資格を持つ和田泰朗プロが発起人となり、「アスリートとファンの関係を再構築する」というコンセプトで運営されているミニトーナメントです。

TWGTがユニークな点はいくつかありますが、1つは出場資格。

選手の募集要項には参加資格として「アマチュア資格を放棄した者」とありますから、アマチュアは出られません。運営事務局によると、JLPGAの会員でも出場可能ですが、現在の参加選手はほとんどがプロテスト未合格者だそうです。

ではアマチュア以外なら誰でも出場できるのか、というとそうではなく、参加資格には「出場にあたり5口以上のサポーターの入場料支払いが完了している者」とも書かれています。これはどういうことでしょうか?

TWGTは有観客で開催されるトーナメントで、会場に入場しギャラリーとして観戦するには2万円の観戦料が必要になります。その際、必ず特定の参加選手のサポーターになる必要があります(TWGTでは観客をファンやギャラリーと呼ばずに「サポーター」と呼んでいます)。そして選手はそのサポーターを5名獲得することで、初めて参加資格を得られるということになるのです(1名のサポーターが5口でも可)。

つまり、参加選手とサポーター(観客)が必ず紐付いているということなんですね。実際にサポーターの入場証は自分がサポートする選手の顔写真になっていて、一目でどの選手のサポーターかわかるようになっているそうです。

このサポーターによる入場料は、そのまま賞金や運営費に使われています。一般的なトーナメントの賞金や運営費はほとんどが企業によるスポンサー費で賄われていますが、TWGTには企業スポンサーという制度はなく、企業もサポーターとして選手や運営をサポートするという位置づけになっています。これもTWGTのユニークな点と言えるでしょう。

選手が獲得するサポーター数には上限がないので、中には30人近くのサポーターを獲得する選手もいるとのこと。ちなみに入場料はできるだけ選手に還元するというのがTWGTの方針とのことで、5名を超えたサポーターの入場料はその70%が選手に還元されるそうです。これなら選手もサポーター獲得に力が入りますね。

コース内にはローピングなし! 選手のプレーを間近で観戦!

このように、トーナメントを運営する仕組みがとてもユニークなTWGTですが、最も特筆すべきはその観戦スタイルでしょう。

今開催されている有観客のトーナメントは、コース内にローピングがされて、観客はその内側に入って観戦することができません。また、クラブハウスやコース内の売店、トイレにも入ることもできません。

しかしTWGTにはコース内にロープはなく、サポーターは選手とともにフェアウェイを歩きながら、選手が打つところを間近で見ることができるのです。

選手の間近で観戦できると、残りの距離やホールロケーションはもちろんのこと、ライもよくわかりますので、そのショットの難度が手に取るようにわかります。

選手が使うコースガイドの「TYB18」も当日販売しているので、それを見ながらその状況でどのようなショットを選択して何番で打つのか? なんてことを思いながらの観戦は、自分がプレーをしているような感覚になれそうです。

こんなことは他のトーナメントではできないですよね。ショットの打音もハッキリと聞こえるでしょう。

プレー後には選手と紐付いたサポーターが一緒に写真を撮ったり、サインをしたりというコミュニケーションを深める時間も設けられているそうです。これもまた、TWGTならではのユニークな試みですね。

出場資格、サポーター制度、そして観戦スタイルと、まさに「アスリートとファンの関係を再構築する」トーナメントと言えるでしょう。

参加選手が練習ラウンドで何回もプレーしに来たり、ファンと一緒にラウンドすることもあるそうで、会場を提供するコースとしても来場者が増えて売上につながっているのだとか。選手、サポーター、コースの三者がWin-Winとなる仕組みができているんですね。

第4回大会は10月に平尾カントリークラブで開催! ただいまサポーター募集中!

昨年9月に静岡県の裾野カンツリー倶楽部で第1回大会が開催され、台風の接近で開催が危ぶまれる中、72ストロークで4人の選手が並び、大阪から参加した山口詩菜選手がプレーオフ1ホール目でバーディを奪って優勝。

第2回大会は12月に同じく裾野カンツリー倶楽部で行われ、1アンダーから3アンダーに5名の選手が並ぶという混戦の中、最終ホールをバーディとした河村来未選手が68ストロークで優勝。

第3回大会も裾野カンツリー倶楽部で行われ、硬くて速いグリーンに全選手が苦戦するなか、荒川侑奈選手(写真)が唯一のアンダーパーとなる70ストロークで優勝しました。

第4回大会は今年10月22日(金)に愛知県の平尾カントリークラブで開催することが決定しました。

過去3回大会と同様、ローピングをせずに選手とともにフェアウェイを歩きながら観戦でき、クラブハウスや売店、トイレも利用可能とのこと(保安上の理由から一部立入禁止区域有り)。もちろん選手とサポーターのコミュニケーションの時間もあるそうです。

すでに選手のエントリーもサポーターの募集も始まっていますので、どんな選手がエントリーしているか知りたい! 自分も選手のプレーを間近で見てみたい! と思っている方は、ぜひとも大会公式ホームページ(下記リンク)をご覧ください。

次々とユニークな試みを実現するTHANKS WOMEN'S GOLF TOURに、これからも注目し、機会があれば第4回大会もレポートしたいと思います。