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プロゴルファー

こせきよういち

ウエストウッドにバンザイ!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#207

先週の米ツアー競技「アーノルド・パーマー招待」はブライソン・デシャンボー(27歳)がその圧倒的な飛距離を武器に、ツアー通算8勝目をマークしました。

優勝インタビューでは敬愛するパーマーのトーナメントに勝てたことに感激。涙ぐむ姿に、ついこちらもほろっとしたのですが、今回はもうひとりの主役、1打差で惜敗したリー・ウエストウッドを取り上げます。

47歳の超ベテランながら、昨シーズンは欧州ツアーの年間チャンピオン(3度目)に輝いたウエストウッド。

その洒落たユーモアのセンスとゴルフ競技に対する深い理解にすっかりやられ(魅了され)ました。

このゲームに“公平”なんて意味がない

ゲームはデシャンボーが1打リードしたまま、難易度が大変に高い最終18番ホールへ。

ティーショットが深いラフにつかまる選手が多い中、ふたりはともにフェアウェイをとらえます(下掲のツイッター動画)。

ところが、ウエストウッドのボールは、不幸にもディボット跡の中へ(上掲の写真)。バーディが必須の場面で、このライは残念過ぎます。

この時SNSには同情のコメントが溢れました。人気ゴルフタレントのペイジ・スピラナックもそのひとりで、「フリードロップさせるべき」と投稿。

しかし、それに対してウエストウッドはラウンド後に、「別に何でもなかったさ。ぐずぐずしても始まらない。このゲームに“公平”なんて意味がないんだ。メンタルを試すゲームなんだから」とリプライしています。

プレー上はどんなに厳しい状況も受け入れ、ベストを尽くすのがゴルフと理解しているのでしょう。

そして、彼はこのタフなライから、少し距離は残りましたが、2オンに成功。バーディチャンスに持っていったのでした(結果はパーで、トップに届かず)。

ナイスショットにバンザイ!

「達観」とも言えるこの競技姿勢はどこから生まれたのでしょう。

メジャータイトルこそありませんが、世界ナンバー1にもなった勝負経験?

ガールフレンドのヘレン・ストレーさんにバッグを担いでもらいながら、ツアーを転戦する充実した私生活?

いろいろな要素があるのでしょうが、もうひとつ大きいのはそのユーモアのセンスなのかも。

この大会でもデシャンボーとの接戦の中、ギャラリーを笑わせるシーンがありました。

6番ホールはデシャンボーのロングドライブが話題になった大きな池越えのパー5(最終日は565ヤードの設定)です。

先に打つデシャンボーはその池を深くショートカットするルートを選択。打球は377ヤード飛んで、狙いどおりグリーン手前のバンカーへ。

それを見届けたデシャンボーは両手を上げて、バンザイ!(下掲のツイッター動画)。

続いて打ったウエストウッドは、もちろん安全なアングル狙い。

そして、無事フェアウェイをとらえると、やはりバンザイ!(上掲のツイッター動画)。

こんなふうに勝負を楽しむ姿勢が先の「達観」につながったのかも?

バンザイを教えてくれてありがとう!

翌日、デシャンボーはツイッターに上掲の投稿をしました。

「昨日の勝利の騒ぎは収まったけど、ウエストウッドがいかに素晴らしい競技者であるかは言っておきたい。彼は真摯に闘い、挑戦し続けた。謙虚で洗練されたプレーぶりには、僕はいつも感銘を受けている。彼は素晴らしい、学ぶべき競技者です。ありがとう、リー」

ちょうど20歳年下のデシャンボーからのこの賛辞に、ウエストウッドは、「ナイスショットの新しいリアクション=バンザイのセレブレーションを教えてくれてありがとう!」と愉快なリプライ。

ウエストウッドの笑顔のバンザイ!

近いうちに、また観たいものです。