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プロゴルファー

こせきよういち

多くのツアー選手が腕に着けているバンド、一体ナニ?~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#154

米ツアー競技の今年初戦「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」。

トップタイに並び、プレーオフに進んだ3人=ジャスティン・トーマス、パトリック・リード、ザンダー・シャウフェレには、共通点がありました。

それは、3人とも、ある“ギア”を活用していたことです。

海外では「アクティビティ・トラッカー」(活動量計)と呼ばれる、コンディショニングの状態を計測・分析する手首バンド式のウェアラブル端末「WHOOP」です。

今大会では他にも、いずれもベスト10に入ったリッキー・ファウラー、ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラーム。さらには、ポール・ケイシーやラント・グリフィンも手首に装着する姿が確認されています。

米ツアーで急速に普及し始めたWHOOPって、いったい何モノ?

スコット・ストーリングスが先鞭

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アメリカのゴルフメディア(最下部のリンク先)によれば、このウェアラブル端末をツアーで最初に活用したのはスコット・ストーリングスだったようです。

記事では、彼はこれにより50ポンド(約23キロ)の減量と肉体改造に成功したと紹介されています。

そのストーリングスに続いたのが、J・トーマスやロリー・マキロイでした。

昨年(19年)のメモリアルトーナメントの練習日には、マキロイがストーリングスのもとに駆け寄り、手首に巻かれたWHOOPを指さし、「プレーの邪魔にならない?」と尋ねる姿が別のメディアにレポートされています。

このときマキロイも試用を始めていたのですが、違和感なのか、ラウンド中は外していたようです。それで、ラウンド中も外さないストーリングスに具合を尋ねたのでした。

実は、先に使用者として列挙したリードとファウラーも、「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」の最終日は、手首にWHOOPは見られませんでした。

まだ、試用期間中なのでしょうか。

ファウラー、トーマスの活用で注目

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ツアーでWHOOPの存在が本格的に注目されるようになったのは、昨シーズン最後の2戦=BMW選手権とツアー選手権を、そのトーマスとマキロイが続けて優勝したからです。

トーマスは優勝の記者会見の席で、WHOOPについて「睡眠や疲労、回復の状態を記録・分析し、フィードバック(アドバイス)してくれるデバイス。僕はそれに従って、その日に行うことや食事・飲酒、トレーニングの内容などを決めている。僕にはとても役立っている」と語っています。

トッププレーヤーの彼らふたりが使用し、続けて結果を出したのですから、ツアーへの浸透は時間の問題です。

今シーズン(昨年9月開幕)に入ると、まずシャウフェレが手首に着けて登場。優勝こそなりませんでしたが、「HSBCチャンピオンズ」(上掲の写真)と「セントリー~」でともにプレーオフに進む活躍。

また、タイガーもプライベート時に試用する姿が確認されています。いずれはコース上でも見られるのでしょうか?

今年の初戦で一気に拡大

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そして、迎えた今年初戦。

前述通り、使用者が一気に拡大。多くのトッププレーヤーがこのデバイスを手首に巻いてプレーするようになったのです。

さて、このWHOOPですが、以前は「Apple Watch」や「Fitbit」など他のウェアラブル端末同様、デバイス単体で販売されていました。

また、日本国内でも販売され、代理店が開設した日本語サイトがありました(現在は確認できず)。

しかし、現在はビジネスモデルが変更され、最新モデル「WHOOP 3.0」はメンバー登録制(6か月契約で月額30ドル、12か月契約で同24ドル、18か月契約で同18ドル)での販売。

つまり、使用者にデータをフィードバックする分析プラットフォームの利用権とともにデバイスが提供されるシステムのようです。

すると、これがエリートアスリートや健康に強い関心を持つ富裕層に普及。

さらに、その成功を受け、グーグルが先ごろ「Fitbit」を約2300億円で買収するという、とてもホットなマーケットに発展しました。

2020年はゴルフをする人もしない人も、この種のウェアラブル端末に注目です。

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