Gride

gettyimages/952330898
getty

プロゴルファー

Golive

日本の女子プロゴルファーでバンカーショットが一番上手いのは誰?

グリーン周りのバンカーショット、アマチュアはあまり練習しませんよね。

じゃ、女子プロはどうなんだろう、誰が一番上手いのか、他のショットとの関連はあるのか? という疑問が起こり、調べてみました。

サンドウェッジにまつわる昔のエピソード

getty

大山志保プロがまだ大学生のころ、筆者は少し知り合いになって話をしたことがあります。

彼女が出身地の宮崎から日本大学に進学して、千葉のとあるコース・練習場に寄宿してすぐくらいの初夏の頃の話です。

大山「最近、何かバンカーが上手くいかないんですよねー」
筆者「へー、そうなんだ。クラブなら少し分かるから見せてよ」

ということで、当時彼女が使用していたサンドウェッジを見せてもらいました。

フェースのセンターが、一瞥(べつ)してわかるくらいぼこっとへこんで錆びていました。ほーっと思い、聞いてみました。

筆者「結構きてるね。どれくらい使ったの?」
大山「半年くらいですかねえ」
筆者「短期間にだいぶん練習したね」
大山「そうですねー。毎日暗くなるまでバンカーに入ってました」

サンドウェッジがどうのという主題については、どう返答したか忘れましたが、筆者は練習し続けることができることは一番の才能だと思っていましたので、この娘はいいプロになるんだろうなあ、と思ったことを鮮明に覚えています。

JLPGAのサイトでチェック

テレビで女子プロゴルフトーナメントを観ながら、ふとそんなエピソードを思い出したのですが、じゃあ今はバンカーショットは誰が一番上手いんだろうと考えて、ショット、いやちょっと調べてみました(おやじギャグ、スミマセン)。

データで確認するのが一番ですので、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のサイトを開きました。

バンカーショットについて参考になるのは、やはりサンドセーブ率でしょう。これは、グリーン周りのバンカーから2打以内でホールアウトした確率です。

JLPGAのサイト目次に、『記録(STATS)』というのがあります。そこに、選手の年度別スタッツ(統計数値)が記載されています。また、スタッツ別に選手の順位も確認することができます。

その中にサンドセーブ率が載っています。

よく確認してみると、各選手の年度別記録の2016年以前はサンドセーブ率が「――(横棒)」になっています。

2017年以降しか統計を取っていなかったんですね。ちょっと意外でした。

サンドセーブ率は、日本では、男女プロともラウンド数での統計になっていますが、米国男子プロの統計ですと『# BUNKERS』となっています。

つまりバンカーに入った回数から調査しているのです。

その前の項目も、『AROUND THE GREEN』とあり、アプローチやバンカーからの20ヤードとか10ヤードとかの非常に細かい距離分けをしてデータを取っています。

日本の女子プロ以外の話はまた後で。

予想してみてください。

getty

さて、日本の女子プロで誰が一番サンドセーブ率が高いのか。

2019年の女子プロゴルフトーナメントはまだ3分の1も終わっていませんが、なんせサンドセーブ率の年間データが2017年と2018年しかないので、2019年も合わせて見てみることにしました。

調べる対象として、3年間のサンドセーブ率が45%以上が2回以上あるプロと賞金ランキング1位のプロ(申 ジエ、鈴木愛)としました。

3年のデータをラウンド数から計算し直して、トータルのサンドセーブ率を出しました。

最終的に、申 ジエ、鈴木愛、イ ミニョン、テレサ・ルー、森田遥、青木瀬令奈プロの6人に絞られました。

この6人の2018年と2017年のパーオン率も見てみることにしました。

バンカーも上手いということはアイアンも上手いのではないかという筆者の思い込みがあるのですが、そういうことならリカバリー率も見たほうがいいんじゃないの? ということになります。

参考データを広げ過ぎても訳が分からなくなるので、これらのデータでサンドクイーンが誰かを決めていくことにしました。

さて、皆さんはこの中で誰が一番上手いと思いますか?

第6位と第5位は?

getty

以下、サンドセーブ率をSS、パーオン率をGIR、リカバリー率をSC(USPGAではスクランブリングというみたいです)と表します。

6人ともバンカーショットは上手いと言えるのですが、6人の中での下位になってしまった二人です。

第6位は青木瀬令奈プロ。3年のSSが41.39%です。GIR、SCは6人中5位と6位で、上位に食い込めませんでした。

第5位は鈴木愛プロとしました。SSが45.27%で6人中3位、GIR、SCが4位、2位です。

ここににパッティングが入ってくると、総合力ではもっと上位になりますよね。でも今回はサンドセーブ率が主役なので仕方がありません。

第4位と第3位は

getty

第4位は、森田遥プロとしました。SSが46.31%で2位なのですが、GIR、SCが6位、4位です。

第3位はイ ミニョンプロ。SSが2017年度が34.56%と悪いのですが、ここ2年で見ると46.67%とかなりいい成績です。

2017年以降練習を積んで上手くなったのではないでしょうか。

このように、3年のスタッツを見てみると、その選手の課題と成長度が分かります。

個人的な感想でいうと、イ ミニョンプロは、日本にいれば数年後の賞金女王候補だと思います。

森田遥プロも賞金ベストテンに食い込んでくる感じがします。

第2位は

getty

第2位は、申 ジエプロです。

SSが45.18%の4位ですが、2位から4位の差は2%もなく、GIR、SCがともに1位と抜群の安定感ですので、総合力で2位としました。

申 ジエプロは、2009年のアメリカ女子プロゴルフのマネークイーン。

日本に戻ってきてからも、賞金獲得、平均ストロークも一昨年がともに2位、今年は両方ともトップにいます。

これほどの安定感があることには文句のつけようがありません。

筆者の個人的なイメージなのですが、女子は上位にいる期間が男子に比べると短いプロが多い気がしています。

申 ジエプロはその範疇に当てはまらず、長い期間トップの地位を維持しています。

そのことで思い浮かぶのは、森田理香子プロです。2013年に賞金女王になったのですが、つい最近、ツアー撤退の報道が流れました。

その理由は様々な憶測が流れていますが、イップスもそのひとつと言われています。

個人的には、女子の中ではスイングがダイナミックで筆者が好きなプロだったのですが、とても残念です。また戻ってきてほしいプロです。

そして第1位は?

テレサ・ループロを堂々の1位としました!

ただ一人、SSが50%を超えています。素晴らしい!

GIRもSCも優秀です。

上の画像は練習中の連続写真の中の一枚なのですが、頭の位置がまったく動いていません。

体幹の強さとしなやかさを兼ね備えていて、プラス高い身体能力があるからこそのサンドセーブ率ですね。

総じて言うと、日本の女子プロは賞金ランクの高いプロが、リカバリーも上手いし、平均ストロークもいいし、バンカーも上手いということです。

日本の男子プロはどうなの?

getty

JGTOの2018年のサンドセーブ率上位3人は野仲茂、池村寛世、片岡大育プロです。

3人とも60%を超えています。日本女子と比べると、はるかに高い数値ですね。

しかしこの3人が賞金ランキングや平均ストロークの上位プロかというと、そんなでもないよね、とどなたもが思うでしょう。職人的な技のようなものがあるのでしょうか?

それと、年度で顔触れがかなり変わっています。安定して上位にいるのは、キムキョンテプロです。

USツアーのデータを一緒に見て、その理由を考えたいと思います。

USPGAツアー

getty

USPGAのサンドセーブ率の上位の顔ぶれは様々です。

みんなが上手過ぎて、誰かが抜群に飛び抜けて上手いという印象のあるプロは、筆者は浮かんできません。

賞金ランクベストテン以内のプロもいれば、名前くらいは知ってるけどというプロもいます。

他のスタッツとの関連でいうと、日本の女子プロと男子プロの中間という感じでしょうか。

日本とアメリカでは、バンカーの砂質やコースでの砂質のバラツキも違いますし、当然対応の仕方も違いが出てくるのでしょうね。

ところで、我らが松山英樹プロの2018年のサンドセーブ率を調べてみたら、63位でした。

まあ、世界ランク並みなのでしょうか? 世界ランクよりちょっと下という感じですね。

ということで、関係ないことも調べてみましたが、たまにはデータに浸ってみるのも楽しいですね。

皆さんも何かに注目して調べてみてはいかがでしょうか。