プロゴルファー
こせきよういち
ルール変更で悲喜こもごも?~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#108
先週は欧米のツアーで、新しいルールでなければ見られなかったシーンがたて続けに発生しました。
今回はそのシーンを振り返りつつ、各問題に関するルールを確認しましょう。
微妙なタイミングで2ペナ、約1000万円の損失
まずは、欧州ツアー競技「オメガ・ドバイデザートクラシック」の最終日、最終組の最終ホールで生まれたリ・ハオトンの違反です。
新ルールの規則10.2bにある「キャディがプレーヤーの後方に立つことの制限」では、キャディに対し、プレーヤーがストロークのためのスタンスを取り始めたとき、プレーの線の後方線上やその近くに立っていることを禁止しています。
言い換えると、従来通りキャディはプレーヤーの後方に立ってプレーの線を確認することはできるのですが、プレーヤーがスタンスを取り始める前に後方から立ち去らなければなりません。
ただし、グリーン上では、その状態でプレーヤーがスタンスを取ったとしても、一度スタンスを解けば、違反にはなりません。
もちろん、再度スタンスを取る際に、キャディが後方に立っていてはいけません。
リ・ハオトンはこの規則に違反し、2ペナを課せられました。
とても微妙なタイミングでしたが、最終組の最終ホールでのこと、ハオトンとキャディの動きは中継カメラがばっちりキャッチ。その映像をしっかりと見ていたオフィシャルによって、違反と裁定されたのです。
結果、ハオトンは3位タイから12位タイに落ち、賞金にして約1000万円の損失となりました。
クラブで取り除いたばっかりに、約2300万円の大損
さらに巨額の約2300万円の損失となったのが、同じく「オメガ・ドバイデザートクラシック」で7位タイになったルーカス・ハーバートです。
3日目の3番ホール。ハーバートのボールはバンカー内に。
ところが、そのすぐ後ろにはルースインペディメントが散らばっていました。
新ルールでは、規則12.2aによりバンカー内のルースインペディメントは取り除くことができます。
また、同12.2bで、ボールの直前、直後の砂にクラブで触れることはできませんが、ルースインペディメントを取り除く際は除外とされています。
しかし、ハーバートはルースインペディメントとともに砂を動かし過ぎました。
この映像をチェックしていたオフィシャルはボールのライの改善と裁定。2ペナの違反となりました。
クラブではなく、手で取り除いておけば受けずに済んだ2ペナ。
これがなければ、彼は2位タイとなり、3100万円ほどの賞金を得るはずでした。
レッドペナルティエリア内の動かせる障害物
最後は、米ツアー競技「ファーマーズ・インシュランス・オープン」最終日のアダム・スコットです。
アダムは4番ホールでティーショットを左に引っかけてしまいました。
ボールは左サイドに広がるガケに向かって一直線。
ところが、超ラッキーなことに、落下地点を見守るオフィシャルが座っていたイスに当たって、その上にポトリ。事なきを得たのでした。
ところで、そのイスがあったのは、大会が定めたレッドペナルティエリア内にありました。
この「ペナルティエリア」は新ルールで生まれたものです。
旧ルールでは、水域を対象にしか設定できなかった(ラテラル)ウォーターハザードが、新ルールではガケとか岩場など、どんな箇所でも救済の受けられる「ペナルティエリア」に指定できるようになりました。
そのエリア内に止まったボールは、そのまま打つこともできますし、1罰打の救済も受けられます。
もちろん、アダムは動かせる障害物からの救済(無罰)のドロップをしたあと、そのままレッドペナルティエリア内からプレー。無事、パーをセーブしました。