ゴルフ動画
こせきよういち
新ルールなら、いろいろできる!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#98
先週に続いて、来年1月1日から施行される新ルールがテーマ。
前回同様、動画を素材に大きく変わるルールを紹介しましょう。
その前に、新しいルールブック=『ゴルフ規則書』(日本ゴルフ協会発行)は11月12日から一般販売されています。
購入については、同協会の下記リンク先をご覧ください。
目次
ルースインペディメントはどこででも無罰で取り除ける
このインスタ動画のシーンは現行のルールでは、2打罰ですね。
なぜなら、ストロークを行う前に、「(ボールが止まっている)そのハザード内にあるか、またはそのハザードに触れているルースインペディメント(ここではバンカー内に溜まった枯葉)に触れたり、それを動かすこと」は禁止されており、テークバックはストロークを行う前の動作だからです。
しかし、新ルールでは規則15.1「ルースインペディメント」に、
「コース上やコース外のどこででもプレーヤーは罰なしにルースインペディメントを取り除くことができ、その方法は問わない(例えば、手、足、クラブ、その他の用具を使用する)」
とあるので無罰になります。
ただし、新ルールでもグリーンとティーイングエリア(ティーインググラウンドの呼称が変わります)以外では、ルースインペディメントを取り除いているときにボールが動いた場合は、1打罰(ボールはリプレース)です。
ですから、このような場面では、残念ながら来年もそのまま枯葉の上のボールを打つことになるでしょう(アンプレヤブルの救済は別)。
無罰でボールを拾い上げ、再度ティーアップできる
このインスタ動画のケースは、ティーショットされたボールはインプレーになっていますから、現行のルールでは、1罰打の付加でアンプレヤブルにするしかありません(注:規則25-2「地面にくい込んでいる球」の救済はスルーザグリーン上が条件なので、この場合は適用されない)。
そして、プレーヤーは、常識的には元の場所からの打ち直しの救済を選択し、再度ティーアップすることになるでしょう。
ところが、新ルールでは、規則6.2「ティーイングエリアから球をプレーする」に、次のような新しい規則が加わりました。
「インプレーの球がティーイングエリアにある場合:プレーヤーのインプレーの球がス
トローク後に(例えば、ティーアップされた球を空振りした)、または救済を受けた後にティーイングエリアにある場合、プレーヤーは次のことができる」
として、
「罰なしに球を拾い上げたり、動かす」ことができ、さらに、
「ティーイングエリアからティーアップ(中略)することもできる」。
なので、このケースも、ボールはギリギリ、まだティーイングエリア内にありますから、プレーヤーは無罰でボールを掘り出し、再度ティーアップして第2打を打つことができるのです。
グリーン上の損傷はボールマーク以外も修理できる
ジャスティン・トーマスのこのようなリアクションやプレー(下掲の動画)は、来年からはもう見られないでしょう。
この新ルールは、多くの方がご存じのはず。
グリーン面の損傷は、これまでのボールマークと古いホール(カップ)の埋跡に加えて、「靴による損傷(例えば、スパイクマーク)、用具や旗竿が原因となる擦り傷や窪み」「芝の張り替え跡、張芝の継ぎ目、メインテナンス器具や車両による擦り傷、窪み」「動物の足跡、蹄の窪み」「くい込んでいる物(例えば、石 どんぐり、ティー)」は、いつでも修理することができます。
スパイクマークを避けるためグリーン上でウェッジを使用
おまけ――来年からはこれも無罰!
この笑える動画、ルールに関心のある人なら目にしたことがあるはず。
現行のルールでは、止まっているボールをプレーヤー自身が動かしたことになり、規則18-2違反で1打罰です。
しかし、新ルールでは、規則9.4b「球を拾い上げること、故意に球に触れること、球を動かす原因となったことに対する罰」の例外に、
「パッティンググリーンでの偶然の動き:プレーヤーがパッティンググリーンの球を偶然に動かした場合、どのようにして動いたのかに関係なく罰はない」
という規定が生まれました。
また、規則13.1d「球やボールマーカーがパッティンググリーン上で動いた場合」にも、
「偶然に球を動かす原因となったことに対する罰はない。プレーヤー、相手、またはストロークプレーの別のプレーヤーがそのプレーヤーのパッティンググリーン上の球やボールマーカーを偶然に動かした場合、罰はない」
という規定があります。
もちろん、この動画のプレーヤーが故意に動かしたのであれば、ペナルティの対象ですが、これはどう見ても「偶然」でしかありません。
今後も、新ルールを知るに役立ちそうな、そして面白い動画が見つかれば、取り上げたいと思います。