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10年以上のブランクを経て、ゴルフに再チャレンジするということ(52)

猛暑の中、窓に映る姿を見ながら、あーでもないこーでもないと素振り。

あ! これでどうかな? と思うと一発打ってみる。

良ければクラブを替えてまた一発。ダメならまた素振りに戻る。

小さなスイングはいいのだ。

勢いに乗ったフルスイングもまあまあだ。

でも、スピードを落としたり、半端な振り幅にすると途端に上手くいかない。

そのうちフルスイングもおかしくなって当たらなくなる。

小さいスイングは安定しているので、そこでリセットできるのだけが救いだが、小さいスイングとフルスイングをつなぐ事ができる、統一されたひとつのイメージは持てないのだろうか。

上手くいくパーツを確認しながら集めてみる。

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今までの日々の中で、これは絶対! と思えることがある。それを再確認してみる。

・腰を反るように張り、股関節から前傾して振り子の土台を作る。

・腕は体側からダラリと下げる。

・小さく前へならえ。ボールとの正対感。

・腕を使わずに身体全体を回して、振り子のように振る。

・終始ハンドファーストをキープ。

・スイング中にヘッドの重さ感を保ち、長い音を出す。

これらの条件をすべて満たしながら、惰性に任せるのではなくフルスイングのトップまでどう振り上げるか。

それを一発で思い出させてくれるキーワードは何か。

そしてハーフショットでも、同じキーワードで打てるか。

この中で苦手なのはどれだろう?

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これらを確認しながら素振りを繰り返す。

さすがに、毎日やってきたことは身についている。

反面、最近加えた“ヘッドの重さ感を保ち、長い音を出す”は明らかに苦手だ。

どうしたら良いかは毎日の素振りで発見していたが、それがしんどくてついついいい加減になる。体中が辛い。

“ここだな~”

長い音を出すには、手首やひじを極力使わないこと。

要は、身体を使って、半径の大きなスイングをすることだ。

そうすれば、クラブの重さも変わらず、ブ~ンと長い音を出せる。

でも、とにかくしんどいので、楽をしてしまうし、苦しくて打ち急いでしまう。

結果として手首やひじを使わなくなる、他の表現はないだろうか?

ハンドファーストが自動的に保てるように、ヘッド近くのシャフトを持って、シャフトで自分をたたかないように直立して何度も素振りをする。

手首を固定すると、ひじが曲がる。

手首もひじも固定すると、身体が辛い。左の足首が痛む。何か他にないだろうか?

これだ!

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アドレスでできた、円の半径を保てればいいはずだ。

楽をして、スイング途中で手首やひじを曲げてしまうから、円の半径が小さくなって、慣性力が失われて重さ感も変わるし、音も切れてしまう。

ブランコを漕ぐタイミングがずれて“ガシャン!”と鎖が途中で折れる様に、自分のスイングも骨折していたんだ。

だから、身体が辛くない小さなスイングではできるし、(気楽な時の)フルスイングもクラブの勢いが助けてくれるが、半端な大きさのスイングや緊張して伸び伸び振れない時に“ガシャン!”と事故ってしまうんだ。

だったら“大きな円を描こう”とすればいいんじゃないの?

水平素振りでやってみる。

へその高さでグリップし、“(クラブヘッドで描く円弧を)大きく! 遠くへ!!”と念じながら身体を回す。

すると腕が自然に伸び、回転とシンクロして上がり、スムーズにフルスイングのトップになった。

いつもよりも左肩がグッと入り、しかし腕の高さはいつもより低い。

左の肩甲骨のあたりに、すごいストレッチ感。

円弧を大きくしようとすることで、小指を突き出すようにコックは自然に入っている。

右肘は今までよりも伸びている。

そこから腕をそのままにして身体を正面に戻すと、腕はちゃんと右肩の方へ斜めに上がっている。

そのまま今度は腕をおへその前に戻すと、アドレスに戻った。

腕はねじれていない。アドレスからまっすぐ右肩に向かって上がっている。

いい感じだ。すべてが解決しそうな感じだ。

ワクワク。

何度も繰り返し、今度はハーフスイング。

上手くできる!

身体の回転と腕の上げ下げの動きを上手くマッチさせられなかったのが、“ヘッドにできるだけ大きな円を描かせる”意識を持って身体を回すと、ちゃんと必要なだけ腕が上がる!

スムーズに、ギクシャクせず。

これでどんな大きさの振り幅でも、スムーズに振れるし、大きなスイングの具体的なイメージもできる。

身体の動きをイメージすると辛かった動きが、結果をイメージする事でこんなに楽にできるなんて!

打つ!

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ビックアークと言えば、自分の中ではキム・ハヌル選手。

現実の姿は大違いだろうし、大して今までと変わらないスイングなんだろうと思うけど、体感的には大違い。

なんと言っても、迷いがないし“惰性=スピード出さなきゃ!”がないのでゆっくり振れる。

はい、結果には目を見張りました。

どのクラブに持ち替えても、完璧。

飛距離も一気に2番手伸びた。

初めての練習場なので、ゴルフネットワークのスコア入力アプリでGPS機能を使って計測すると、100ヤードも150ヤードも、距離はほぼちゃんとある。

ボールは昔ながらのワンピースボールながら、さっきまでとは別物の弾道で、53度のウエッジで100ヤードに届く。

58度でも、球だけさらって75ヤードほど。ボールをスタンスの真ん中に入れると90ヤード。

150ヤード先のネットには7番で届き、ドライバーでは正にネットに突き刺さる。

全番手、右には曲がらない感じで飛んで行くほぼストレートボール。

苦手な50~70ヤードだけは前後左右に散らかるが、当たりはいい。

楽しかった。

したたる汗にも笑顔。

あっという間に打ち終わるとあわてて車に戻り、この今の感じをすべて記録しようとノートにペンを走らせる。

もどかしい。

殴り書き。

ドンドン言葉が出てくるのに、書くスピードが遅すぎる!

後で読めるかどうかより、とにかくこの今の感覚を言葉に置き換え、記録するんだ!

この今の感覚、絶対忘れない! 忘れてなるものか!

汗だくのまま、ひたすらペンを走らせ続けた。