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ライフスタイル

PPK

10年以上のブランクを経て、ゴルフに再チャレンジするということ(31)

若い時に練習場で知り合い、その後仕事でもお世話になった先輩がいる。

最高でJGAハンディ5まで行った方で、60を過ぎた今でも週イチでプレーしているそうだが、最近は面白くないと嘆いていた。

その方から「わかったよ! もう80は打たないよ! 教えてやるから練習場で会おうよ!」と連絡が入った。

しばらく会っていなかったし、自分のスイングがどうなっているのか見てもらおうと出かけて行った。

何言ってるのかわからない……。

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近頃行きつけの練習場の2階打席に着くと、早速レッスンが始まった。

「こうやってさ、上から“バ~ン”て叩きつけるんだよ!」
「ボール目がけて、上からバ~ンてさ!」

正面を向いたまま手を上に振り上げて、その手を下へ振り降ろしている。

??

ただのカット打ちになるだけじゃん?

「PPKちゃんのプロフィール写真見たけどさ、あれじゃダメなんだよ! 俺もそうだったんだよ。俺とそっくりなんだよ。あれじゃダメなんだよ!」

1ヶ月近く前につかんだ“ハンマー投げ”イメージの話をすると、「あ~ダメダメ。そりゃ手首も痛めるよ!」

そして8番アイアンで実際に打った。

ちょっと引っ掛かりながら、140ヤードほどのところに着弾。

「あ~ダメダメ! 全然だめだよ!! もっとこうやって、バ~ンと!」

言われた通りにして打ってみる。

ひどく左に低く出て、そこから左に曲がって行く。

“まぁそりゃあんな球になるよねぇそりゃ……。何を言っているんだろう? わかんないなぁ……。”

手取り足取りレッスン開始!

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レッスンプロと違って自分の感覚の話だから、教える側のクセや動きがベースになっていて、言葉をそのまま鵜呑(うの)みにするとめちゃくちゃになってしまう。

この時も言葉とお手本でのレッスンではよく意味がわからず、混乱するばかり。

そこでこちらから「~ですか?」「それじゃ~になりませんか?」などと質問して、自分の感覚に変換していく。

お互いにストレスが溜まってきたところで、手取り足取りのレッスンがスタート。

お互いの感覚をベースとした言葉では伝えられないことを、物理的な“カタチ”で伝え合う。

「ここでもっとこうだよ!」

「え~!? こうですか!?」

というやり取りが続く。

そして遂に言いたいことがわかって来て、何がダメなのか具体的にわかってきた。

それは“なぜ毎日の小さなスイングでの練習がショットに生きてこないのか”を教えてくれた。

わかった!

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「右肘を伸ばさないで曲げたまま、右肩をボールのところまで入れて来るんだよ。」

え?

こんな感じ!?

あ!

このカタチ、毎日やってる右手1本打ちがうまくできる時のカタチだ!

でも、ショットは別だと思ってた……。

ショットの練習として小さなワンレバースイングをしてきたのに、まるでおかしな話だが、それほどに今までの自分の頭の中にあるショットのイメージと違う。違いすぎる!

だから、本来ならショット力が上がって来なきゃおかしいのに、どうしてもそのイメージでフルショットすることが受け入れられなくて、ワンレバースイングがワンレバースイングの練習で終わっていたんだ。

“クラブヘッドを丸く振る”

ずっとゴルフスイングはそういうものだと思っていたけど、クラブヘッドを振るイメージではいけなかったんだ!

それじゃスイングの半径が小さくなって飛ばないし、ボールのところにヘッドが来た時にはもう閉じているから、フックや引っ掛けになりやすいのか!

うわ! めちゃ飛び!!

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打ってみる。

いつもの片手打ちのように、肘と手首を伸ばさずに、それでもボールにクラブが届くように肩をボールのところまで入れてくる。

右の腰が縮んで、左の腰が伸びて痛い。グンッ! と右肩が前に出るフィニッシュ。

球は派手さもなく、ゆっくりと飛んでいる。

でもその落下地点にビックリ。

2階打席ながら、8番で150ヤードに届いている。

あまり飛びそうにもないゆっくりとした飛び方で、曲がる雰囲気もなく、でも経験のないところまで飛んでゆく。

3番アイアンに持ち替える。新打法が本物かどうかを測る、自分の物差しだ。

グーンと肩を入れると、これまた特に派手さもなく、ゆっくりと飛んでゆく。

でも、なんだかなかなか落ちてこない。

そして……なんと220ヤードをキャリーで超えてしまった!
これじゃスプーン(3W)だよ……。

念のためドライバー。

正面のネットに当たって飛距離は分からないが、ゆっくりと、滞空時間の長い球で真っ直ぐ飛んで行った。

明日も打てるかな? 一人でも打てるかな?

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身体の使い方、スイングのイメージ、どちらも今までとは全然違う。

果たして、再現できるのだろうか?

あまりにも違いすぎて、せっかくの教えも、今までなら受け入れられなかっただろう。

でも“片手打ちでうまく打てる時のカタチ”を自分で発見していたので、共通点があって受け入れられた。

ただ、フルショットでも、そのまま同じようにやるとは思えていなかった……。

フルショットでは、相変わらず、ヘッドを丸く振るものだと思い込んでいた。

そう“ハンマー投げ”のように……。

ヘッドを走らせなきゃ飛ばない。弾かなきゃ飛ばない。

そう、長年のブランクで落ちた飛距離をなかなか受け入れられなくて、結果は逆に“飛ばなくて曲がるスイング”をしていたとは……。

毎日の自宅練習が正解を教えてくれていたのに、頭が固くて、信じられなかった……。

まるで見ていたかのようにタイムリーにアドバイスをして下さったツネさん、ありがとうございました!!

モノにできるように、がんばります!!