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わたしのゴルフ履歴書〜Vol.22〜株式会社キャメロット 高橋宏之代表取締役社長、高橋秀五代表取締役副社長

ゴルフ好きな経営者のゴルフライフを覗く企画「わたしのゴルフ履歴書」第22弾。

インタビュアーは、へたっぴゴルフ研究所の所長Da-Birdです!

今回は、なんとGridge編集長じゅんやあくの古巣、株式会社キャメロットの高橋宏之(たかはし・ひろゆき)社長(左)と高橋秀五(たかはし・しゅうご)副社長(右)のお二人です!

わたしのゴルフ履歴書初の試みとなる、ダブルキャストでお届けします。

(撮影協力:プレステージカントリークラブ)

高橋兄弟とキャメロット

高橋宏之さんは、かつてはエニックス(現スクウェア・エニックス)に所属し、国民的RPG(ロールプレイングゲーム)『ドラゴンクエスト』シリーズの制作に携わっていました。

その後、独立してクライマックスという会社を設立します。またその次の年、当時ビジネスソフトメーカーに勤務していた弟の高橋秀五さんを誘い、セガの出資を受けてソニックという会社を設立。高橋宏之さんがクライマックス、ソニック両社の社長を兼任します。

その後、クライマックスの経営を後任に譲り、株式会社キャメロットを設立。キャメロットの社長には秀五さんが就任し、宏之さんはソニックで開発を続けました。

そして、キャメロットが軌道に乗ったところでソニックと合流。宏之さんが社長に就任して現在に至ります。

そんな家族としても、ビジネルパートナーとしても固い絆で結ばれている高橋兄弟ですが……本日はどんなお話が聞けるのでしょうか?

株式会社キャメロットってこんな会社!

getty

――まずは簡単に御社の紹介をお願いします。

(高橋宏之さん、以下“宏”)元々はセガサターン(家庭用据え置き型ゲーム機)のキラーコンテンツを開発するための会社を経営していたのですが、プレイステーション用のソフトの依頼も受けさせていただくことになりまして……そのソフトの開発のために設立したのがキャメロットなのです。

(高橋秀五さん、以下“秀”)弊社の作品の中で、Da-BirdさんやGridgeのユーザーさんが気になるのはやはり初代『みんなのGOLF』でしょう。

(宏)今では弊社は『マリオゴルフ』や『マリオテニス』といったスポーツ系ゲームのイメージが強いと思うのですが、『シャイニングフォース』シリーズや『黄金の太陽』などのRPGとスポーツの2ジャンルを軸に開発を行っております。

――そうですね! 『みんなのGOLF』については今からたっぷり語っていただきます!

『みんなのGOLF』誕生秘話

(c)SCE

(宏)元々弊社は『ドラゴンクエスト』に代表されるようなストーリー性のあるゲーム、いわゆるRPGと呼ばれるゲームの制作をメインとしていました。そこで、セガサターンとプレイステーションのコンテンツ制作を同時に受けさせていただくことになりまして……。当時は両方ともRPGを想定していました。

(秀)しかし、当時弊社の従業員は16人しかおらず……約1年の納期でRPGを2本制作するのはとても現実的ではない、と。死んじゃうぞ、と(笑)。

(宏)そこで「RPGの制作は1本にして、もう1本はもっと簡単なゲームにさせてほしい」とお願いさせてもらって、それで生まれたのが『みんなのGOLF』だったのですね。

――国民的ゴルフゲームは代案で生まれたのですね!

(秀)ゴルフがもともと大好きで……当時市場にあったゴルフゲームに不満を持っていてですね、「俺ならこう作る!」っていうものを全部詰め込んだのが『みんなのGOLF』です。

――例えば、既存のゴルフゲームのどんなところが不満だったのですか?

(秀)当時の多くのゴルフゲームは打つ時に、番手を決めて、打つ方向を決めて、足の向きを決めて、フェースの向きを決めて……と、とにかく手順が多かったのです。確かに、実際ゴルフをプレーする時はそうなのかもしれませんが、もっと簡単にできないか、打つことよりも戦略を重視したほうが面白いのではないかと考えて設計しました。

(宏)また、当時タイガー・ウッズが大活躍していた時代で、ゴルフの試合でもタイガーひとりに何台もカメラがついていました。タイガーのようなスターになった気分で、たくさんのカメラでプレーを追ってもらえたら気持ちいいだろうということで、いろいろなアングルでショットを追うという表現に挑戦しました。

(秀)まとめると『みんなのGOLF』の開発では、特に以下の3点を重要視していました。

1.カメラワークに力を入れる
2.誰でもパープレーで回れる難易度
3.できる限り簡単に、直感的に操作できる

――確かに、『みんなのGOLF』は、いかなる場合でもボギーを叩いたらキャラが悔しそうにしていますね。プロになった気分を味わえます。

巨匠、ピート・ダイにコース設計のノウハウを学ぶ!

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(宏)『みんなのGOLF』は戦略を重視したゴルフゲームなのですが、当時我々にコース設計のノウハウがありませんでした。なので、どのようにすれば戦略性の高いコースになるのか全然わからなかったのです。

――確かに、コース設計者によってそのコースの特徴が決まりますよね。

(宏)そこで、アメリカのピート・ダイに連絡を取って、直接アメリカに行ってコース設計のノウハウを教えてもらいに行ったのです。

――え? ピート・ダイって日本でも有名なあのピート・ダイですよね?

※ピート・ダイ:世界的に有名なゴルフ場のコース設計者。難易度の高いコースを設計することで知られている。

(秀)あのピート・ダイです! あの時は楽しかったなぁ……毎日、ダイ一族に呼ばれてホームパーティーしてもらっていました。

(宏)コース設計には土木の知識が必要ということで、基礎から叩き込まれました。

(秀)水の流れとか、治水に関しても勉強しましたね。

――ゲーム開発のためにそこまで……もう高橋兄弟はコース設計者としてもやっていけそうですね(笑)。

(宏)そういえばその時、ピート・ダイの息子であるペリー・ダイに言われた言葉が印象的でした。「真っ白なキャンバスに好きなようにコース設計ができるなんて、高橋兄弟はなんて幸せ者なのだ!」と。

――実際のコース設計はもともと存在している土地の山や川などの形状ありきですものね。確かに、コース設計者冥利なのかもしれません。

大人になってもゲラゲラ笑ってプレーできるのがゴルフ!

――ところで話題は変わりますが、二人はゴルフのどんなところが好きですか? ゲームの話ではなく、実際のゴルフです。

(宏)やっぱり大人になってもゲラゲラ笑いながら、大自然の中で遊べることですね。大人になってからこんなに童心に帰れるスポーツは珍しいですよ。私は25歳から仕事の付き合いでゴルフを始めたのですが、最初のラウンドの時からゲラゲラ笑って楽しめました。

他にも……考えることが多いということも好きな要因ですね。戦略性が大切だったり、また、技術の向上に楽しみを見出して頭を悩ませることも大好きです。

(秀)私は兄の宏之に「ゴルフめっちゃ面白いから一緒にやろう!」って誘われて始めたのですが、やっぱり最初のラウンドでもう一日中笑いっぱなしで……まんまとはまりました(笑)。

また、ギアとか研究要素が多いのもゴルフの魅力だと思います。私が技術者なので、そういう要素が好きなのかもしれません。

――二人は本当にゴルフが好きなのだなぁというのがひしひしと伝わってきます!

ゴルフが上手ければビジネスで得をする?

――ゴルフをやっていて、ビジネスに活きると思うことはありますか?

(宏)あります! やっぱりゴルフをやっていると、目上の方からふいに誘ってもらえたり、チャンスが増えたりということがあると思います。

あと、ゴルフが上手いとそれだけで目上の人から一目置かれますね。そして、目上の人から頻繁に誘われるようになります。

――上手ければ上手いほど得する訳ですね。

(宏)そう。ゴルフのプレー中とか、すごく目上の偉い人が自分に意見を求めてくれたりすることがあって、「え? 俺の意見聞いてくれるの?」ってなりますね。やっぱり自分の考えや発言を聞いてもらってアピールするのは大切だと思います。

――やっぱり社会人にとって、「ゴルフをする。ゴルフが上手い」というのはそれだけで役に立つのですね。

(宏)そういった意味でも珍しいスポーツだと思います。上手ければ上手いほど得をすることは多いと思います。

お互いの歩み寄りがゴルフ復興のカギ!?

――さて、お話を聞いた皆さんにお伺いしているのですが、現在ゴルフ業界は少し元気がなくなってきています。そんなゴルフ業界を元気にする腹案はありますか?

(宏)これは大変難しい問題だと思います。そもそも私は、ゴルフは矛盾を抱えたスポーツだと思っています。現状のゴルファーと、まだ見ぬゴルファーになり得る人たちとの間に矛盾を抱えているのです。

ゴルフってカジュアルではないじゃないですか。格式とかマナーがうるさい。それによって若い人たちがゴルフに入ってこられないということが少なからずあると思います。

――それは俺っちも常々そう思っています。

(宏)でも、それを緩くすると今度は現状のゴルファーたちの不満となる。この二律背反を解消してあげることがスタートになると思います。

――棲み分けとか共存する方法を模索するということですか?

(宏)棲み分けてしまうとずっと離れてしまうので……なんとかお互い上手くやれるような空間づくりができれば、と思います。

(秀)例えば、高反発クラブとかあるじゃないですか? ああいうのを初心者ゴルファーには許容してあげる風潮とかあるといいですよね。我々はプロではないのだし、ラクして飛ばせたほうが絶対に楽しいですからね!

(宏)草野球では金属バットをみんな使うのに、なぜ、ゴルフはあんなにもプロと同じレギュレーションにこだわるのでしょうか……。

――確かに。

高橋宏之
【ゴルフ歴】37年
【ベストスコア】ハーフベスト34、ラウンドベスト76(プレステージCC東Cフルバック)
【クラブセッティング】
1W:ドゥーカス DCD702 10.5度(シャフト:Rave IMPACT BORON)
1W:ピン G410 10.5度(シャフト:SPEEDER EVOLUTION V 569)
3W:キャロウェイ X2HOT
5W:キャロウェイ X2HOT
4U:キャロウェイ LEGACY ユーティリティ(2010)
5U:キャロウェイ LEGACY ユーティリティ(2010)
アイアン:(6~9、P)キャロウェイ APEX(2016)
ウェッジ:フォーティーン MT28 J.SPEC IV(52度、58度)
パター:スコッティ・キャメロン フューチュラ 5CB
ボール:キャロウェイ クロムソフト X
(2020年6月現在)

高橋秀五
【ゴルフ歴】35年
【ベストスコア】77(千葉CC野田C)
【クラブセッティング】
テーラーメイド M6 10.5度(シャフト:Tour-AD TP6 SR)
3W:キャロウェイ スチールヘッドXR
5W:キャロウェイ スチールヘッドXR
7W:キャロウェイ スチールヘッドXR
9W:キャロウェイ スチールヘッドXR
アイアン(5~9、P、A、S):ブリヂストン TOUR B JGR HF2(シャフト:MODUS3 105 R)
パター:スコッティ・キャメロン セレクト ニューポート2
ボール:ブリヂストン TOUR B
【愛用ブランド】プーマ、Jリンドバーグ
(2020年6月時点)

取材後記

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二人はゴルフについてもさることながら、仕事やプライベート、大きく言うと人生そのものを盛大に楽しんでおられるように感じました。

エネルギーに満ち溢れていて、取材中も終始勢いに押されっぱなしでした(笑)。

俺っちも、もうそこそこの年齢ですが、高橋兄弟のようになんでも楽しめる大人になりたいと思いました(小並感)。

それにしても……『みんゴル』の話は面白かったなぁ。