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Taddy Bear
雨の日と眠れない夜はカウチで読むゴルフ!〜夏坂健氏の著書〜
ゴルフは芝の上(林の中や砂場の時もありますが)だけで楽しむゲームではありません。
想像力さえあれば、たとえソファで寝転がったままでもゴルフを楽しむことができます。
古今東西、ゴルフに憑かれた幾多の作家は優れた小説やエッセイを残してくれました。
そんな数々の著書はゴルフの真髄を見せてくれるだけでなく、想像力さえあれば時間軸を遡って非日常的なゴルフ体験さえ与えてくれます。
たまにはクラブを置いて、異世界のゴルフに浸ってみませんか?
世界の片隅で起きたユニークなエピソード
南アフリカ共和国で出版された「DIARY OF A DUFFER!(ダッファーの日記)」の著者、自営業のサム・クランツは32歳で突如、ゴルフにハマりました。
以後、寝ても覚めてもゴルフ漬け、結婚初夜もハネムーンの地でゴルフに没頭し、ゴルフ場で知り合った同伴競技者と朝までパブで痛飲するという為体(ていたらく)。
Golf Widow(ゴルフ未亡人)となっても離婚しない奥さんには頭が下がる思いです。
しかし、どれほど練習しても上達しないサムは、氾濫しているレッスン書が自分に合っていないことに気がつき、自らレッスン書を出版します。
それが上記の「DIARY OF A DUFFER!」ですね。
なぜ、合っていなかったのかというと、サムはかなりの肥満体型だったからです。
このエピソードは夏坂健氏著「昭和天皇のパター」で書かれた「ゴルフをせんとや」の一節を要約しました。
もちろん続きがあり、意外なオチも用意されています。
しかし、サムの著書をそのまま読んでも面白さを見つけられたかどうか、疑問です。
夏坂健氏の軽妙洒脱な文体と構成があったからこそ、遠く離れた場所の小さな話題が誰にでも分かりやすいユニークなエピソードに仕上がったと言えます。
世界中が著書の情報源
夏坂健氏は「プレーするゴルフ」と「見るゴルフ(テレビ中継のこと)」の2つしかなかった日本のゴルフに、「読むゴルフ」という新境地のジャンルを切り開いた作家として有名です。
もちろん夏坂健氏以前にもゴルフに関する小説やエッセイを書いていた作家はいましたが、夏坂健氏が精力的に執筆していた時期は日本のゴルフ人口が増大していた時期でもあったので、浸透力が強かったことから上記のような称号がついたといえます。
中高年ゴルファーの中には、夏坂健氏の著書を読んだことからゴルフにハマったという人も多くいるでしょう(筆者もその1人です)。
その魅力を一言で表すのはとても難しいことです。
なにしろ、夏坂健氏の著書数は膨大であることに加え、その内容は自身が地球の隅々まで行ってプレーした体験談から世界中のゴルフ文献、さらに小さな国の地方新聞の片隅に掲載されたゴルフ記事までが情報源になっているのですから。
登場人物も上記のサムのように市井の人々からゴルフ史に残るプロゴルファーまで幅広く、しかもその視点には偏りがなく、どこまでも平等です。
ロマンチックであり、コミカルであり、ドラマチックであり、ハートフルもあり。
ゴルフをすれば誰でも体験できることのすべてが、凝縮されています。
ひとつ、言えること。
夏坂健氏の著書を読んで面白い! と感じた人は、必ずゴルフに対する姿勢が変わります。
ゴルフ初心者でも楽しく読める内容
その姿勢は同伴競技者へのマナーであったり、自分に対する責務やルールであったり、あるいはコースへの愛情であったり、と読む人さまざまですが、読んだ後に起こる変化や発見はスコアアップよりも(もちろんスコアは大切です)ゴルフ本来の面白さや本当の楽しさへ続く道筋を教えてくれるはずです。
とくにおすすめの著書はありません。
夏坂健氏の著書はどの作品でも、どのチャプターでも、どのページから読んでも中身は違えど面白さは変わりません。
ゴルフ初心者でも分かりやすく、しかも読みやすい内容です。
お付き合いでゴルフを始めたけれどあまり気分が乗らない人、今日のゴルフで同伴競技者に恵まれなかった人、あるいはスコアが最悪で落ち込んだ人などはとくにおすすめです。
レッスン書ではないのでスコアがアップするヒントはありませんが、少なくとも清々しい気分になることは間違いありません。
夏坂健氏の著書はおそらく(きっと)あなたのゴルフの活性剤になることでしょう。