ライフスタイル
レッスンプロ・クラフトマン 河野
クラブスペックにこだわる工学博士のh様のお話
こんにちは。
レッスンプロ・クラフトマンの河野です。
今回は、工学博士のh様が「ゴルフ上達のためには、精度の高いクラブが必要」と考え、精度の高いクラブをご自分で作ることから挑戦した話です。
アイアン用のソケット
もう17、8年前のことです。
電話で、「ゴルフクラブのネックの部分のプラスチック部品を売ってもらえませんか」とお電話をいただきました。
私「はい、在庫はありますのでお分けできますよ」
ネックの部分のプラスチック=ソケットが必要ということは、自分でゴルフクラブを組み立てる方と推測できます。
何日かしてh様がご来店なさいました。
h様「電話で問い合わせたhです」
私「ソケットのことですね。ウッド用ですか、アイアン用ですか?」
h様「アイアン用です」
私「外径の太さはおわかりですか?」
h様「?」
私「外径は何種類かありますが、組み立てるアイアンを今お持ちですか?」
h様「持って来ませんでした」
ソケットの在庫の中から何種類かお見せして、「一番太いのが14φ(パイ=直径)ですが、アイアン径より太い部分はカットして使えばいいですよ」とアドバイスさせていただきました。
私「ご自分で、組み立てるのですか」
h様「はい、市販のクラブでは精度に問題があると思いますので、自分で作ってみようと思っています」
私「物作りの経験は、あるのですか?」
そこで、h様が名刺をお出しになり、見させていただくと「〇〇工業株式会社技術開発主任研究員 工学博士h」と書かれていました。
私も、工学博士が作るゴルフクラブに興味がありますので、でき上がったらお見せくださいとお願いしました。
部品の重量など記したフロー表
ひと月ほど経った頃、h様が再来店されました。
私に、1枚のペーパーを見せてくれました。
それは、アイアン作成に必要な部品のパーツの重さを統一したフロー表でした。
ヘッドの重さは1番手ごとに違いますが、8番より9番のほうが7グラムほど重くなり、順次番手ごとに重くなります。
この部分の重さをフローさせるためには特注しなければいけませんが、残念ながら市販品でしたので番手間の重さに不統一がありました。
それ以外は良く揃えてありました。
50グラムに統一されたグリップ、そのグリップの接着に使う両面テープの長さをすべて同じ長さにしています。
シャフトのミリ単位まで計測した長さ。
一般アマチュアが自分で作るには良く部品を揃えてありました(書面の上では良いと思います。現物は見ていません)。
精度の高いクラブを使えばシングルプレーヤーになれるか?
しかし、ゴルフクラブは重量と長さをフローさせればいいのではなく、ライ角や、シャフトのしなり具合など、使用する人にマッチさせることは簡単にはできません。
h様「私は、今ハンデ13ですが、このクラブを使えばシングルプレーヤーになれると思います」と言いました。
私「それは、無理ですよ。いくら精度の高い道具を作っても、使う人間の技術が伴わなければ無理です」(前回スイングを拝見しています)
こんな話は常識だと思いますが、工学博士の専門馬鹿と言いましょうか、h様は、自信満々で「シングルプレーヤーになれる」と言うのです。
あきれましたが、私は「シングルプレーヤーになったらご報告してください、お待ちしています」と言っておきましたが、未だにご報告はありません。
レッスンプロ・クラフトマンの河野でした。