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Nick Jagger
「ボールを打ったら、考える」ホーガン流、練習の極意
最近では、「2時間打ち放題」などという練習場も多く、しかもオートティーアップですから、何も考えず、スタンスも変えずに、マシンガンのようにボールを打ちまくっている人も多いですよね。
しかし、テーマも持たずに、ただ漠然と球数をこなしているような練習は、はっきり言って、まったく上達にはつながりません。
ゴルフの練習は、本番のラウンドの時のように1球1球考えながら打たなければ、効果がないのです。
今回は、当時「練習の虫」と言われたレジェンド、ベン・ホーガンに学びましょう。
集中力の塊だったベン・ホーガン
1940年代に5度の賞金王に輝いたベン・ホーガン。
同時代のプロの中で最強と言われ、現在でも彼のスイングを模範としているゴルファーは数多いことでしょう。
特に、彼の著書『モダンゴルフ』は、ゴルフの書籍として、初のベストセラーとなり、日本のオールドゴルファーにも、この本をバイブルにしている人は多いはずです。
「ザ・ホーク」というニックネームを持ち、強い精神力の持ち主で、トーナメントに勝ち続けたホーガンの数あるエピソードには、彼の集中力に関するものが多く、伝説として残っています。
その中の1つを紹介しましょう。
タイガー・ウッズの元コーチ、ブッチ・ハーモンの父親のクラウド・ハーモン(48年のマスターズチャンピオン)と同じ組でラウンドした時の話です。
ハーモンがあるホールで、ホールインワンを達成したのです。
もちろん、ギャラリーは大喝采でした。
そして、次のホールのティーグラウンドで、ホーガンはハーモンにこう尋ねました。
「ところで、君は前のホールのスコアはいくつだった?」
彼は自分のプレーに集中していて、周囲のことなど見えていなかったのです。
ボールを打ち終わったら、とにかく考える
ホーガンは練習の虫として知られていますが、ただ球数を打ち続けていたわけではありません。
当時の練習場は、プロは自分で打ったボールを自分かキャディーが回収しなければいけませんでした。
そのため、彼が20球ボールを打つと、キャディーがボールを拾ってくるまで休憩します。
その間、自分のスイングについて、じっくり考えていたそうです。
その考える間があったからこそ、彼はゴルフスイングをとことん論理的に追及することができ、『モダンゴルフ』で有名になったあの「スイングプレーン理論」を発表できたのでしょう。
練習時間と休憩時間を同じにすると、効果が上がる
ホーガンのこの練習法は、スポーツ心理学によっても、その正しさは証明されています。
ゴルフのようにボールを打つスポーツでは、練習時間と休憩時間をほぼ同じにすると、より練習効果が上がることがわかっています。
ボールを打ち、自分のスイングを冷静に分析することで、正しいスイングがより記憶されるようになるというわけです。
ゲーリー・プレーヤーのアドバイスも紹介しておきましょう。
「ボールの入っているカゴは、できるだけ遠くに置いておこう。そうすれば、1球打つ度にインターバルができて、自分のスイングについて考えることができるからだ」
マシンガンのようにただ闇雲にボールを打ちまくっているようでは、上達はしないのです。