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Nick Jagger
もしもカップの直径が倍になったら、ショットメーカーが有利になる!?
カップの大きさは、ルールによって直径4.25インチ(約108ミリ)と決められています。
これはセントアンドリュースのコース管理人トム・モリスがたまたま近くにあった水道管を利用したことがルーツですが、彼が見つけた水道管がもう1インチ大きかったり、小さかったら、ゴルフの歴史も変わっていたでしょうね。
「カップの大きさを8インチにしよう」というサラゼンの提案
普段、当たり前のようにプレーしている108ミリのカップですが、なんとも絶妙な大きさだと思いませんか?
これより小さくては、プロでも3パットが続出するだろうし、これより大きくては、シビれるようなパットが減って、優勝争いもつまらなくなることでしょう。
直径108ミリという大きさは、他に置き換えようのない数値だといっていいのですが、1934年、アメリカのプロトーナメントで、カップの大きさが直径8インチ(約203ミリ)に変更されたことがあるのです。
言い出したのは、ジーン・サラゼンでした。
曰く「大きいカップはパットの負担を減らし、偉大なショットメーカーがその恩恵を得る」。
この主張にトーナメント主催者が同意したのです。
ショットメーカーが報われないのがパッティング!?
たぶん、サラゼンはショットは得意でも、パットが苦手だったんでしょう。
せっかくナイスショットを打っても、カップの近くに乗せても、パットが下手ではバーディーは取れませんからね。
ところが、プロの中には、ショットの精度は自分より落ちるのに、長い距離から次々にボールを沈めるパット巧者がいます。
「パット・イズ・マネー」というように、パットの出来不出来はスコアを大きく左右するものですが、それではショットメーカーは報われないと、サラゼンは考えたわけです。
ショットメーカー vs パット巧者
アマチュアゴルファーでも、パットが苦手な人ならば、思わず同意しそうなサラゼンの提案ですが、実際のトーナメントの結果はどうだったんでしょう?
優勝したのは、当時ショートゲームの達人といわれたポール・ラニアンという選手でした。
優勝スコアは、当時としては驚異的なハイスコアの25アンダーで、2位との差は11ストロークという圧勝でした。
というわけで、カップの大きさを2倍にしても、得をしたのはパットの名手だったのです。