ゴルフクラブ
ふーじー
中古市場で稀に起こる怪現象!?中古クラブなのに新品より高い!
中古クラブの相場は需要と供給のバランスで決まります。
限定モデルなど供給の少ないクラブに人気が集中すると、ときに新品価格より高値が付くことがあるんです。
今回はそんな人気モデルを3種ご紹介です。
2年連続賞金女王のエースパター
まずは2012年に発売されたオデッセイのパターです。ホワイトライズiXシリーズの#1SHというモデルです。
パッと見は通常のピン型のようですが、ネック形状がカギ型のクランクではなく、ヘッドに対して斜めに挿さっています。
SHとはスラントホーゼルの略で、スラントとは斜めという意味です。
ピン型のパターはフェースの開閉がしやすい形状ですが、ショートパットで左に引っ掛けるミスも起こりやすいものです。
そこでホーゼルを斜めにすることでよりフラットに見せ、左に出るイメージを消しているのがこのモデルです。
一般的な形状とは異なるので、シリーズの中でもあまりヒットした形状ではありませんでした。
そのため中古市場にもそれほど多くの数が流れてこなかったというのが、まず最初の前提です。
そしてこのパターをエースにずっと使っていたのが、2011年から日本ツアーに参戦している韓国のイ・ボミです。
当時はまだそれほど有名な選手ではありませんでしたが、2013年に2勝、14年には3勝と勝利を積み重ね、15年は7勝を挙げて賞金女王を獲得しました。
この間ずっと同じパターを使い続けていたため、当然のことながら注目が集まります。
しかしこの頃には生産が終了していたため、中古クラブが引っ張りだこになったのです。
発売当初の定価は2万5000円(税抜)でしたが、中古が4万円を超える高値を付けたこともありました。
そして16年も連続で賞金女王に輝く活躍を見せると、年末に復刻版が再販されたのです。
このときの価格も3万円(税抜)と当初の2割増という価格設定でした。
最近ではようやくイ・ボミブームも落ち着きましたが、まだ2万円前後で取引される人気パターに変わりはありません。
世界ゴルフ選手権を圧勝した日本人が手にしていたパター
続いてご紹介するのもパターです。
まだ記憶にも新しい2017年のWGCブリヂストン招待。日本の松山英樹が、最終日にコースレコードを記録する圧勝で幕を閉じました。
松山はこの試合からパターを変更しており、それがテーラーメイドのTPコレクション ミューレンプロトタイプでした。
松山のエースパターはスコッティキャメロンのGSSニューポート2というピン型のものですが、これはマレット型のパターです。
そして市販品のミューレンはショートネックが付いていますが、松山の使っていたものはベントネックが採用されており、市販品とは異なる形状のものでした。
フェースの開閉をあまり使わないストロークをする松山は、本来ならフェースバランスに近いマレット型のほうが相性がいいはずですが、あくまでもエースはピン型のもののようです。
TPコレクションシリーズはこの年の4月から発売されていましたが、テーラーメイドはスパイダーの人気が先行していたので、あまり売れているモデルとは言えませんでした。
メーカー側はそれを理解しているでしょうから、生産数も決して多くはありませんでした。
ところが松山がパターを変更した初戦でいきなり優勝したことで人気が爆発。あっという間に日本全国のゴルフショップから姿を消してしまいました。
さらに翌週の全米プロゴルフ選手権でも優勝争いを演じ、このパターの需要は一気に上昇しました。
とはいえあわてて生産しても2ヶ月はかかってしまいます。ショップへの入荷を待ちきれないゴルファーは、ネットオークションの出品を狙います。
このパターの定価は2万5000円(税抜)でしたが、私が見た中で最高値は3万5000円まで伸びていました。
しかし気まぐれの松山はその後すぐにエースパターに戻してしまいました。
さらにTPコレクションはモデルチェンジし、ミューレン2という松山の使ったものと同様のベントネック形状が発売されました。
市場の熱も冷めてしまったので、今では1万円を少々超える程度の金額で購入が可能です。
プロデビューから18年でマスターズを制したパター
スパイダーパターといえばテーラーメイドの代表的なパターですが、ジェイソン・デイのエースパターとしても有名です。
デビュー当時は黒ヘッドでしたが、その後白ヘッド、さらに赤ヘッドとカラーを変更しています。
この赤ヘッドのスパイダーは2017年に限定モデルとして発売されました。
しかしこのパターの人気に火をつけたのは、デイではなくセルヒオ・ガルシアでした。
この年の4月、マスターズをプロデビューから18年でようやく制したことで世界中が感動に包まれました。
これまで幾度もメジャーで優勝争いを演じながら、大事なショートパットを外して崩れていく姿をしばしば目にしました。
このマスターズで、このパターで、ようやくクラッチパットを決めるガルシアを見ることができました。
世のゴルファーがそれを見過ごすはずもなく、スパイダーツアーレッドは定価4万5000円(税抜)と高額ながら、あっという間に売り切れてしまいました。
アメリカからの並行品もほとんど入ってこなかったため、最高値は7万円を超えていました。
その後日本の女子ツアーでも流行し、限定数量としたことをメーカーは後悔したのか、10月に追加モデルを発売しました。
この追加モデルは白いサイトラインを入れただけのものでしたが、大量販売を狙ったのか3万3000円(税抜)という2割以上安くした上代設定でした。
おかげで限定モデルの中古価格も下がり、今では2万円程度で買うことができるようになりました。
喉元過ぎれば熱さを忘れるのが日本人ですが、価格の落ち着いてきた今こそ手にしてみてはいかがでしょうか。