Gride

gettyimages/682645754
getty

ゴルフクラブ

kk

同じモデルなのに打感が違う!クラブの個体差って本当にあるの?

ドライバーからアイアン、パターに至るまで、気に入ったモデルを見つけるまでは誰しも真剣に悩むことと思います。

では、たとえばゴルフショップで試打して好感触だったモデルが何本か棚に並んでいる時に、どの1本を手にしますか?

わずかな傷もないキレイなものを手に取りますか?

ある事情を知っている人は、とある1本を指定買いすることもあります。

同じモデルではありますが、その1本こそが欲しいクラブということになるのです。

その事情とは、クラブの『個体差』です。

同じモデルを買ったのに……

写真(左)のパターは、硬過ぎず柔らか過ぎずの打感が好きで、長年愛用しているオデッセイのトライホットです。

サビを落としてスチールウールで磨いているのでオリジナルのメタリック感がなくなっています。

古いモデルにもかかわらず新品同様のもの(写真右)が手に入ったのでロゴをブルーに塗り替えて気分一新、セッティングを入れ替えようと思ったのですが、あれ? 打ってみると何かが違う……。

天に抜けるような打音・打感がなく、なんだか曇った感触です。

何度打ってもスイートスポットがどこなのかわからず、転がりもよくないし、距離感がつかめません。

これでは使い物になりません。せっかくキレイなのに。

見た目にわかるほど接着にズレが生じている

なぜこんなにも打感に違いがあるのか、目で見て、触って、調べてみると、マレット後方にタングステンを接着する際の緩衝材となるプラスチックが飛び出ていました。

つまり、設計通りとならずパーツにズレが生じている状態であることがわかりました。

プラスチックだけズレているのか、それともタングステンの位置さえもズレているのか、はたまた他の気付いていない箇所にも不具合があるのかわかりませんが、欠陥品の疑いが濃くなりました。

たった1ミリのズレが、大きな違いとなって現れる、ゴルフクラブとはそれほどまでにシビアな設計がなされているということなのでしょう。

試打して気に入ったクラブが『ハズレ』の不思議

getty

もうおわかりですね。

試打したクラブはとても良かったのに、同じモデルを商品棚から選んで意気揚々、練習やラウンドに向かったものの「あれ? 上手く飛ばないなぁ」なんていう経験、あったりしませんか?

クラブはあくまで工業製品。

工場の流れ作業で作られたものであっても、職人の手で作られたものであっても、基本的にまったく同じものは存在しません。

気にする必要のないくらい軽微な誤差であれば問題ありませんが、試打したクラブと買ったクラブの差が大きかった場合は、「何か違う」ということになりかねません。

試打クラブのフィーリングが最高に気に入ったなら、そのまま「試打クラブを売ってください」と店員さんにお願いしてみるのも、アリなのです。

あの人気シャフトは10グラムも誤差があった

getty

クラブの個体差はやむなく発生する、中でも重量に関する誤差のことを、メーカーは『公差』と呼んで公表しています。

重量に差があれば、重心距離や重心深度にも影響が出ますので、クラブの特性は少なからず変化します。

これは内緒話ですが、とある工房のクラフトマンがその昔、売れ残りの人気シャフトを仕入れた時に、1本1本シャフト重量を測ってみたら、その誤差なんと10グラムもあったといいます。

70グラム台シャフトのはずが、60グラム台だったり80グラム台だったりするわけですから、感触が違うどころの話ではありません。

現在でも、ヘッド、シャフト、グリップともに、少なくとも1~2グラムの誤差はあります。

すべてのパーツが極端に軽かったり重かったりすれば、合計で10グラム近い差となって現れても不思議ではないのです。

クラブにとっての数グラムがスイングにどれだけ影響を与えるかは……また別の機会にお伝えしたいと思います。