Gride

gettyimages/637043868
getty

ゴルフクラブ

モハメドアリモト

【意外と知らない、鍛造製法と鋳造製法の違い編】☆ 失敗しない、クラブ選びのヒント教えます

皆さん、こんにちは!

前回の投稿は『オーダーウェッジについて』の内容でしたが、その内容にも関係が深い事で、鍛造(フォージド)製法と鋳造製法という2種類のクラブ製造方法についてお話しします。

これは、クラブを作る過程での違いを表わしておりまして、よくアイアンのバックフェース等に『FORGED』という刻印を目にした事があると思います。

別に、内容を理解していなくても、それほど支障は有りませんが、クラブを選ぶ場合(特にアイアンやウェッジ)に知っておくと役に立つ情報ですし、その製法の違いによって調整方法が変わってきたり、もちろんそれぞれの製造方法でメリット・デメリットもありますので、知っておいて損は無い内容です。

是非最後迄お付きい下さいませ。

では、はじまりはじまり・・・。

其の①、鍛造製法・鋳造製法とは?

getty

先ず、簡単に説明すると、『鍛造』は金属を金型で叩いて成形する工法で、『鋳造』は金属を溶かして金型に流し込み成形する工法の違いです。

各メリットを説明すると、『鍛造』は金属を叩く事で金属内部の結晶の方向が整いこれにより強度が増し、打感でいう所の『粘り』が出ます。

昔からある刀物や武具の工法と同じです!叩いて成形するので金属の素材も加工しやすい『軟鉄』を多く用います。

一方、『鋳造』は、金属を一旦溶かして金型に流し込み成形するので、比較的複雑な形状も成形が可能です。

複雑なポケットキャビティーや、チタンカップ等の硬い金属の加工は、『鋳造』を多く採用します。

最近では、複雑なバックフェイス側を『鋳造』で成形し、その後、圧縮・叩きを入れる『鋳鍛造』なんていう工法もあります。

どちらが優れているという事は無く、それぞれの形状や素材に合わせて工法が選択されているようです。

特に、ゴルフクラブ(アイアン)では、中上級向きが『鍛造』、初級・アベレージが『鋳造』なんて見方もされておりますが、一概にそうとも言い切れません。

其の②、フォージドとは軟鉄という意味じゃない!

getty

よくお聞きする間違いですが、フォージドとはその①で紹介した鍛造工法という意味で『軟鉄』アイアンとは意味合いが違います。

確かに、工法の都合上『軟鉄』(炭素含有量の少ない軟らかい金属)を使用する事がほとんどですので、混同されがちですが、意味は違います。

そして最近では、鋳造工法でもこの『軟鉄』を使用する事が多くなって来ております。

理由は、鉄の心棒を叩いて成形する鍛造に比べ、型に鉄を溶かしてから流し込んで成形する工法の方が、製品誤差が出難く正確に任意の数値を出しやすいからです。

しかも、鍛造では成形しにくいような形状(ポケットキャビティー)も作る事が出来、さらに『軟鉄』を使う事で打感もよく成ります(もちろん、鍛造でもポケキャビは成形可能)。

メーカーの中には、あえて『鋳造軟鉄アイアン』やウェッジを強く売りにしている所もあります!

よくこの辺を誤解されていらっしゃる方が多いようですので、知識として憶えておいて下さい。

しかし日本では、『鍛造』の方が、鋳造軟鉄と比べると打音や独特な打感は勝るという評価が高いですね。

この辺は、繊細な感覚の日本人向きという所でしょうか?

其の③、『鍛造』と『鋳造』どちらを選ぶか?

getty

正直な所、どちらが良い・悪いというのは打つ(使用する人)の好み!といえるでしょう。

各々、メリット・デメリットがそれぞれあり、それを理解した上で、ご自身のゴルフスタイルに合わせて選択する事が“失敗しないクラブ選び”の第一歩です。

まず、ポケットキャビティーなどの、形状が複雑なクラブを鍛造製法でつくるのは、製作が困難な為、鋳造製法で作られたものが、その形状では主流です。

という事は、初心者やアベレージが『易しくて、ミスに強い』アイアンを選ぶ場合は『鋳造アイアン』がベターでしょう。

その際の注意点ですが、“軟鉄鋳造”ならば、素材が軟らかいので『ライ角・ロフト角』の調整は可能ですが、チタンや特殊合金等の鋳造アイアンでは、それが不可能です。

そして、当然ですが、『軟鉄鍛造』ならばライ角等の調整は可能になります。

また、打感も軟らかく、操作性を重視するようなクラブを探す事が出来ます。

総じて、鍛造アイアンは中上級者向けアイアンが多いという事になりますが、中にはアベレージでも十分に使えるアイアンもあります。

『鍛造』か『鋳造』かは、製造の違いであって、重要な事は『使っている素材』が何かということです。

其の④、今回のまとめ

getty

鍛造と鋳造の違い、ご理解いただけましたでしょうか?

最近では、技術の進歩で、以前までは出来なかった加工が、現在の製法では当たり前になりつつあるようなものも、多々あります。

昔、技術やコスト面で不可能だった製法も、今や当たり前の時代になっておりますので、物の質の差として『鍛造』『鋳造』どちらが精密で製品として優れているか?なんて話しは、『ひと昔前の話』といえるでしょう!

まぁ、多少手間のかかる『鍛造』の方が、どうしてもお値段の高いモデルが多いので、依然としてそんな印象を受けるかもしれませんが・・・。

結論として、購入後、ライ角やロフト角を調整したり、打感を重要視される方は『軟鉄鍛造』製法モデルを。

とにかく使い易さや価格重視と云う方には、『鋳造』製法モデルを選ばれるのも、クラブ選びの一つのヒントになると思います。

また、そんな事を気にしてクラブを見てみると、ゴルフの違った側面を見ることができ、ゴルフの魅力が一つ増えますよね!


では、今回も最後まで読んで戴きまして有り難う御座いました。      

〜最高の1打とその次のステップの為に〜

また次回まで。。。


押忍・感謝