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飛距離のロス率を減らせるクラブ 見つけるために知っておきたいこと ヘッド編

ギアで飛距離アップは可能なのか? の記事で飛距離のロス率を減らせるクラブを見つければ飛距離は伸びるということを書きましたが、見つけるためにもう少しヒントになる情報を書いていきたいと思います。

重心

ドライバーヘッドを製作する上で、課せられたルールは2つあります。

1.ヘッド体積 460cc以内
2.SLEルール(反発係数)0.86以下

このルールの範囲内であれば形状、重心位置、素材などは自由に設計することができます。

では重心についてですが、ドライバーヘッドには4つの重心に関する数字があります。

1.重心距離 ネックの中心からスイートスポットまでの距離
2.重心深度 フェース面上のスイートスポットからヘッド内部の重心までの距離
3.重心角  クラブを机などに置いた時にフェースの向きが垂直から見て傾いた角度
4.重心高  フェース下部からフェース面上のスイートスポットまでの距離


それぞれの数値が及ぼす影響を説明いたしますと

1.重心距離 

平均的には36mm前後で、短いとヘッドが早く返りやすく、長いとヘッドがゆっくり返りやすくなります。

2.重心深度 

平均的には35mm前後で、それより短いヘッドを浅重心、長いヘッドを深重心といいます。

浅重心ヘッドはバックスピン量が減り、打ち出し角も低くなります。

深重心ヘッドはバックスピン量が増え、打ち出し角も高くなります。

形状的には浅重心のヘッドはディープヘッド(フェース高さが高い)が多く、深重心のヘッドはシャローバック(ヘッドが後方に長い)になります。

ウエイトが付いているヘッドならウエイトの位置で浅重心か深重心か判断できます。

フェース側に付いていれば浅重心、後方に付いていれば深重心になります。

重心距離と併せて考える必要があるのですが、重心距離と重心深度がほぼ同じ距離のヘッドは、挙動が素直でクセのないヘッドバランスがいいヘッドになります。

3.重心角

平均的には20度前後。

角度が大きければ大きいほどボールの捕まりがよくなり、小さければ捕まりを抑えたヘッドになります。

4.重心高

フェース下部からスイートスポットまでの距離ですが、フェースがディープなのかシャロー(フェース高さが低い)なのかによって意味合いが変わってくるため、数値だけでは判断できません。

重心高よりも、低重心率で判断した方がいいです。

低重心率とは重心高÷フェース高さで、平均的には60パーセント位になります。

低重心率が小さければ小さいほど有効打点面積(スイートスポットより上の場所)が増えることになり、ミスヒットに寛容になります。

ロールとバルジ

ドライバーのフェース面は真っ平ではなくて、縦にも横にも緩やかなカーブを描いた形状になっています。

フェースの縦のカーブをロールといい、横のカーブをバルジといいます。

フェース面がなぜ真っ平ではないのかというと、スイートスポットを外した時にギア効果でボールの方向性、高さに寛容性を持たせるためについています。

トウヒット(フェースの先に当たること)の場合、バルジがフックのサイドスピンを増やしてくれる効果でボールが右に飛びにくくなります。

ヒールヒット(フェースの根元側で当たること)の場合は逆で、スライスのサイドスピンを増やしてくれる効果でボールが左に飛びにくくなります。

ロールの効果はフェース下部でヒットした場合バックスピンを増やしボールの高さが出るように作用します。

フェース上部の場合はバックスピン量を減らし、打ち出し角が高くなり過ぎないように作用します。

ロールとバルジはモデルによってもカーブの強さが違うので、打点が左右のミスが多いのであれば、バルジが強めのモデル、打点が上下のミスが多いのであればロールが強めのモデルを選べばいい結果が出るはずです。

慣性モーメント MOI

ドライバーヘッドには2つの慣性モーメントがあります。

慣性モーメントとは、物体が動き出そうとする時にかかる負荷、動いているものが止まろうとする時にかかる負荷のことをいいます。

慣性モーメントが大きいと動かすのには負荷が大きいが、一旦動き出すと動き続けようとする力が大きく、止めるにも負荷が大きくなります。

小さいとその逆で動かすには負荷が小さくてすみ、止めるのも負荷が小さくても止められます。


1.ヘッド慣性モーメント

重心深度が深いヘッドは慣性モーメントが大きく、重心深度が浅いヘッドは慣性モーメントが小さくなります。

慣性モーメントが大きいヘッドは、真っすぐ動き続けようとする力が大きく働くためにフェースがスクエアにボールをヒットする確率が高くなります。

対して、慣性モーメントが小さいヘッドは負荷が小さいため、真っすぐ動き続けようとする力が小さくなりヘッドの挙動が不安定になりがちとなります。

ゆえにヘッド慣性モーメントが大きい方がミスに寛容であるといえます。


2.軸回り慣性モーメント

重心距離が長いヘッドは軸回り慣性モーメントが大きくなり、重心距離が短いヘッドは軸回り慣性モーメントが小さくなります。

軸回り慣性モーメントが大きいヘッドはヘッドの返りがゆっくりで、ヘッドが返りにくい傾向になります。

そのためチーピンのミスを防ぐ効果が期待できます。

対して軸回り慣性モーメントが小さいヘッドはヘッドの返りが速く、ヘッドが返りやすい傾向になります。

そのため、スライスのミスを防ぐ効果が期待できます。

ライ角 フェース角

(画像はゴルフクラブ数値.comさんよりお借りしました)

ドライバーヘッドのライ角とは?

ヘッドのネックと地面がおりなす角度のことを言います。

この角度が大きいヘッドをアップライト、小さいヘッドをフラットといいます。

ライ角が大きいとボールの捕まりが良くなり、小さいとボールの捕まりを抑える効果があります。

最近のドライバーは可変式フェルール(ネック)のものが多く、ライ角を調整できるようになっています。


ドライバーヘッドのフェース角とは?

ヘッドをソールした時に、目標のスクエアのラインに対してフェースが左を向いているヘッドをフックフェースといいます。

フックフェースのドライバーはボールの捕まりが良くなり、スライスのミスに対して寛容性が高くなります。

また、フェースが右を向いているヘッドをオープンフェースといい、捕まりを抑え、引っかかりにくくチーピンのミスに対して寛容性が高くなります。

ロフト角 エアロ効果 溝

ドライバーヘッドのロフト角には、男性モデルであれば9.5度、10.5度などがあります。

ロフト角が多ければ、バックスピンが多くなり打ち出し角が高くなる傾向になります。

それと同時にサイドスピンが減る傾向にありますので捕まりがよく、方向性が良くなります。

また、ロフト角が少なくなればバックスピンが少なくなり、打ち出し角が低くなる傾向になります。

それと同時にサイドスピンがかかりやすくなりますので、方向性の寛容性が低くなります。

ヘッドスピードが速すぎてボールが吹き上がってしまう時にはロフト角が少ないヘッドを
選ぶと吹き上がりを抑える効果があります。


エアロ効果

ヘッドにリブを付けたりして空気抵抗を減らす。

もしくはヘッド後方の乱気流を抑えたりしてヘッドスピードを上げる効果があり、結果として飛距離アップ。

という事らしいですが、これははっきり言って無視していいと思います。

メーカーは実験データにより効果を認めているため嘘ではないと思いますが、飛距離に影響を与える程ヘッドスピードが上がるとは考えられないためです。

もし空気抵抗を減らす事がヘッドスピードを劇的に上げ、飛距離がアップするとしたら、ディープフェースのドライバーはヘッドスピードを出しにくく飛ばないドライバーということになり、シャローフェースのドライバーはヘッドスピードが出しやすく飛ぶドライバーと言うことになってしまいます。

なのでエアロ効果は無視していいと思います。




ドライバーのモデルによってはソールのフェース側に溝があるモデルがあります。

この溝の効果としてはフェースの下側でヒットしてもボール初速が落ちない効果があります。

フェースのロール効果でスピン量が増えるので打ち出し角は補われ、溝効果で初速が落ちない効果でスイートスポットを下目に外しても飛距離ロスが少なくなるようになっています。

効果としてはミスヒットに対する寛容性が高い事になります。

まとめ

getty

1.スライスで飛ばない時に効果が期待できるヘッド

重心距離 短め
重心深度 深め
重心角  多め
低重心率 低め
バルジ  多め
ヘッド慣性モーメント 大きめ
軸回り慣性モーメント 小さめ
ライ角 多め
フェース角 フックフェース
ロフト角  多め


2.フックで飛ばない時に効果が期待できるヘッド

重心距離 長め
重心深度 深め
重心角  少なめ
低重心率 低め
バルジ  多め
ヘッド慣性モーメント 大きめ
軸回り慣性モーメント 大きめ
ライ角  小さいめ
フェース角 スクエアからオープンフェース


3.ボールが吹き上がって飛ばない時に効果が期待できるヘッド

重心深度 浅め
低重心率 低め
ロール  多め
ヘッド慣性モーメント 小さめ
ロフト角  少なめ


4.バックスピンが少なすぎてドロップして飛ばない時に効果が期待できるヘッド

重心深度 深め
低重心率 低め
ロール  多め
ヘッド慣性モーメント 大きめ
ロフト角  多め


5.打ち出し角が高すぎる時に効果が期待できるヘッド

重心深度 浅め
低重心率 低め
ロール 多め
ヘッド慣性モーメント 小さめ
ロフト角  少なめ


6.打ち出し角が低すぎる時に効果が期待できるヘッド

重心深度 深め
低重心率 低め
ロール  多め
ヘッド慣性モーメント 大きめ
ロフト角  多め

メーカーにより、そのモデルによりの設計により一概には言えない部分もあります。

例えばロールやバルジが少なめのフェースではあるが、その効果を補う形で深重心で慣性モーメントを大きくしてバランスをとっているような場合があります。

しかし概ね上記のような考え方で、間違ってはいないと思います。


いかがでしたか?

次回はシャフト編を投稿したいと思いますので、興味のある方はお楽しみに!