ゴルフクラブ
Kenjiiii
コースの状態が悪い時に適用されるルールを知っておきましょう!
昨年、伊藤園レディスの初日、上原彩子プロが、異例とも言える68罰打を受けてしまうという、珍事が起きてしまいました。
なぜこんなことが起きてしまったのでしょうか……。
目次
原因は、コースの状態が悪い時に適用されるルールへの誤解でした!
伊藤園レディスの第1ラウンド(2016.11.11)は、激しい雨によりコースの状態が悪く、罰打なしでボールを拾い上げて拭くことができる「リフトアンドクリーン」のローカルルールが設定されました。
同じ様に、コースの状態が悪い時に適用されることの多い「プリファードライ」のルールと勘違いしてしまった上原プロが、15ホールで19度誤った処置をしてしまい、異例とも言える68打罰を受けてしまいました。
日米で活躍し、3勝を挙げている上原プロでさえ間違えてしまうややこしいルールです。アマチュアのプライベートラウンドにおいて、このルールを厳密に適用する必要はないと思うのですが、いい機会なので理解しておきましょう。
それにしても、100%予選通過する可能性がないのに、応援に来てくれているファンのためにと、2日目を棄権せずに68で回ってしまうところがカッコイイです。
リフトアンドクリーン
今回、適用されたルールは、この「リフトアンドクリーン」というローカルルール。
“芝を短く刈り上げた区域(フェアウェイなど)では罰打なしで、ボールを拾い上げて拭き、リプレースできる。”
この『リプレース』、つまり、ボールがあった元の場所にプレースというのがミソです。
ちなみに、今回は『芝を短く刈り上げた区域』となっていますが、ローカルルールですので、適用範囲はコースや主催者側の判断に任されます。
それと、拾い上げる前に必ずマークをすること。しないと1ペナルティとなります。
プリファードライ(Preferred Lies)
上原プロは、この「プリファードライ」というローカルルールと間違えてしまったと思われます。
“無罰でボールを拾い上げて汚れを拭き、元の場所からホールに近づかない、1クラブレングス以内の状況のいい場所にプレースできる。”
こちらは、リプレースではなくプレースです。つまり元の位置である必要はないということなのです。
なので、本来はリプレースしないといけないところを、状況の良い場所にプレースしてしまったため、ローカルルール違反の2罰打×19+スコアの過少申告(2罰打)×15ホールで、計68罰打となってしまいました。
プリファードライもローカルルールなので、その適用する状況や範囲、プレースの範囲もコースや主催者の判断に任されます。
カジュアルウォーター
雨などにより、コース内に一時的にできる水たまりや泥濘による、異常なグラウンド状態からの救済がカジュアルウォーターで、先の2つのルールとは区別されます。
カジュアルウォーターの詳細はリンク先を読んでいただくとして、紛らわしいのは、元のボール位置から設定したニアレストポイントから1クラブレングス以内に、ボールを拭いた後にプレースではなくドロップとなります(グリーン上はニアレストポイントにプレース)。
そして、リフトアンドクリーンやプリファードライが適用されている場合は、ドロップ後に救済を受けることになります。
ホントややこしいですね……。
【番外編】6インチプレース
“ペナルティーなしで、今ある位置からホールに近づかないで6インチ(15.24センチ)以内の別の場所にボールをプレースすることができる”
コンペやプライベートラウンドでもお馴染みのルールですが、当然ながらゴルフルール規則にはありません。
プリファードライは、競技で正式に使われるローカルルールなので、適用範囲も変わりますし、処置の厳正さも変わりますので、一般的な6インチプレースとは区別したほうが良いでしょう。
本来は、コースがディボット跡だらけになってしまう冬期に適用していたらしいでのですが、今はコースコンディションだけでなく、技量に応じた優遇措置としても使われています。
ちなみに、なぜ6インチかというと、正規のスコアカードの横幅が6インチなので、測りやすいということで決まったそうです。
最近は、6インチとは違うサイズのスコアカードも多いですけど。
賛否あるルールですが、キャディという立場としては、ケガやクラブの破損の予防にもなりますし、プレーの進行という意味でも良いルールだと思います。
それに、本来の目的、冬期のコンディションでの使用は、公平性という意味でも良いのではないでしょうか。
いろいろとややこしいゴルフルールですが……
その意味や、できた経緯とかを知ると、なかなか面白いものです。
しっかりルールを知った上で、スマートに、臨機応変に対処されている人は、見ていてカッコイイゴルファーだなと思います。
ルールブックや裁定集なんかは、ネットでも読むことができますので、時間のある時にでも見てみると、たくさんの「へぇ!」があって面白いですよ。